世間とズレちゃうのはしょうがない

伊集院光さんのラジオが好きで。伊集院光さんの考え方や、今まで生きて体験した挫折や逃避など、ギャグ以外の部分でも共感するところの多い人で。それで深夜の馬鹿力を、ずーっと聴いている。
これ以外でもそうだけど、伊集院さんの紹介した映画や本を読んでみることがあって、蛭子能収さんの「ひとりぼっちを笑うな」とか映画だと「サイダーハウスルール」とかもそうだったし、デヴィッド・リンチやテリー・ギリアムも伊集院光さんのラジオで聞いて知った。あと立川談志さんも。伊集院光さんは化け物だと思ってたら、立川談志さんはゴジラだった。大怪獣だ。

正直言えば、私と伊集院さん、もっといえば私の好きな伊集院光さんから、番組のなかでどんどんズレちゃうことってのもあって。
電車や旅路には興味ねえ!興味ねえんだよ!!を連発し、ドラクエの話をし続け、カルタが「すっとぼけ古市」だった時なんか、オレは一体何を聞いてるんだろうと思うこともあった。
私は電車も旅行も好きだし、ドラクエよりMOTHERだし、イヤミどころかわかりきったことを延々ブツクサ言われるのが大嫌いだ。

要するにコレが自分と他人のズレだ。

今回読んだのは、養老孟司さんと伊集院光さんの共著
世間とズレちゃうのはしょうがない
という本。

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二人の対談を通して、世間と自分、自分と他人、自分の中の自分とのズレを認識しつつ、どう生きて来たか。どう生きて行くか。どう上手く付き合うか……そんなことのヒントが沢山散りばめられている。

1時間半ぐらいでわーっと読んでしまった。
とにかく面白いし読みやすいし、伊集院光とらじおと、の対談スペシャルですと言われて、そのままスピーカーから聞いてたんじゃないかってぐらいスーっと入って来る。
そして私の思う、私のズレ、会社や仕事に対して、会社の人と自分とのズレなんかも、ああココに繋がるんだなと思う事があって。

極端で真ん中が許されず、また極端な中からも外れることが許されない。
塀の幅を勝手に動かされたり、塀の中から追い出されたりもする。
世間というのは何処にあって、何処にいる人たちが世間並という人物像となるのか。

なんか、人間って何だろう、オレ死んだらドコ行くんだろう、とか、夜中に考えて寝れなくなった人には絶対オススメの本だと思う。
伊集院光さんの言う通り、私もデカくて腕っぷしだけはどうにか周りの子より強くて、それである日、ガキ大将から腫れ物になり、そのまま学校に行かなくなって。そこには自分の行いの悪さも当然ながらあるんだけど、今の炎上騒ぎみたいなものと同じ
コイツは燃やしていい
と思ったらとことん薪をくべる、世間というもののいちばん小さいサイズのがあって。

私はそこから逸脱して、友達も居なくなったし、唯一のはみ出し者仲間だったジュリアーナちゃんはブラジルへ帰ってしまった。

今この年になってみれば、ホントに喧嘩なんかしたって勝ちは絶対ないし、損しかしない。
道路で行儀の悪いバイク乗りのバカと揉めたっていいことなんかひとっつも無い。こっちのことは散々いうくせに、自分の事言われると
ああん!?
とかいう50近いくせにちっちゃいバイクをイジってイキるキチガイなんかとハナシなんか通じるわけがないのに、何故そんな奴とケンカしちゃうのか、そういう自分が嫌になるだけだ(数か月前の実話。コレ以来、今まで以上に行儀の悪いバイクが嫌いだ)
で私がどうしたかと言えば、やっぱり伊集院さんと同じで、どうにかズレてもやってけるように考えたし、悩んだし、結果としては周りの人が優しかったり、環境が変わったりして、私は今日まで世間で生きて居られている。

養老さんはと言えば、早々にそんなものを諦め、我が道を行き続けている。
飄々としているようで、その奥にどんな芯があるのだろう。
私も、こういう人には憧れると同時に、何だか少し怖くなってしまう。

今の自分が居る場所を軸として捉えたら、ズレちゃったりキツかったりする時に、もう一軸作っておくといいんじゃないかな、というのが養老さんの意見で。
私の場合は、今のところネットで小説書いてイヤなヤツを片っ端からぶっ殺しては、それをアップして、投稿サイトから怒られるぐらいが関の山で。
まだ二軸人生とはいかないし、そんな余裕はとてもない。
でも、惨めになってまで、ズレてズレて息苦しいまま、生きることは無いんだなと思うし、そのためには、でも捨てなきゃならないものも沢山あって。

いずれにしても覚悟を決めて生きなきゃならないし、今みたいなままじゃ、自分はホントに一つしかないロクでもない軸をすり減らして、ボッキリ折れるか済し崩しに終わるまでこのままだぞ、と、改めて思う。

細かい内容を、コレはああで、アレはこうで、と書き出すのは正直難しいし、するべきじゃないなとも思う。コレを読んでどう感じるかは、その人次第だろうし。
だから読んでみて、フィットするものがあれば取り入れておくといいと思う。
絶対に人生の役に立つ!
とか言うよりも、豊かさ、余裕がない今のうちに、ヒントとしてコレを一つ読んで持っておくといいよ。と言いたいような、優しい本です。
皆さんも是非。

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