天浜線の転車台1.

天竜浜名湖鉄道というのがあって。静岡県湖西市の新所原駅から掛川駅まで、浜名湖に沿って北上し天竜二俣駅を経由して南下していく路線で、三ヶ日らへんを走っていると、単線の線路や鉄橋の上を一両だけの可愛い車両がトコトコ走っているのをよく見かける。
それがTHRこと天竜浜名湖鉄道だ!
THRって書いてあるんだもん、車両の先頭部分に。

ガス屋さんだった頃、湖西市だの三ケ日だのよく走ってたし、子供の頃から竜ヶ岩洞に連れてって貰ったり、今でもジェラート食べに行ったりしてて。天浜線を見ることはあっても…あの辺はクルマで走る場所であって乗ることはあまりなかった。
興味はあるし鉄道が好きなので三ヶ日駅ぐらいまで軽く乗ったことはあった。でも、それっきり何年も乗っていなかった。

ので、2021年5月16日の雨んなか、急に折り返し地点とも言える天竜二俣駅まで乗って来ることにした。

まずは東海道本線でJRの新所原駅へ。

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数年前に跨線橋が出来ると同時に駅周辺も綺麗にリニューアル。ロータリーから駐車場から横断通路まで出来て便利になりました。
あのさーーーー、ほんと、あのJRの踏切よ!新所原の手前の、中原の!わかるよな、昔サークルKからファミマになって、いま空き地の。
あの踏切がマァーーーー開かないんで朝なんか死ぬほど詰まるわけ。冗談じゃなしに火打坂くらいから流れが悪いもんね。毎朝。
あれが嫌で私は早出をしてたぐらい。

それがさー、跨線橋のおかげかだいぶ緩和されたのよ。公共工事万歳、作業員さんの賃上げもお願いしますよ。あんな役に立つ橋なかなかないよ。

でそのJR新所原駅の、おとなりに、ちょこんと地面から生えているようなレトロ駅舎と、ウナギ屋さん。これが天竜浜名湖鉄道の新所原駅だ。
ウナギ屋さんはホントに本物の、なんつーか、マジで美味しいウナギ屋さんが駅舎にテナントとして入っている。中に入ってウナギ丼を食べたこともある。美味しい。
小さなお店で、メニューもシンプル。だからこそ美味しいウナギが手軽に食べられるってわけで。時間になればウナギの駅弁も販売していますので皆様も是非。
私が着いたときには朝9時過ぎで、まだ開店していなかった。

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窓口で尋ねると若くて元気のいい駅員さんが対応してくれて、そこで
みかんきっぷ
というのを買う。

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正式名称は
新所原~天竜二俣1日フリーきっぷ
という。要するにそういう事だ。天竜浜名湖鉄道の路線のうち、新所原(しんじょはら)駅から天竜二俣(てんりゅうふたまた)駅までの区間なら、一日中何回でも乗り降りが可能というステキな切符。それでいて運賃は大人ひとり1430円とお得。
思い出と興味の尽きない天竜浜名湖鉄道沿線を訪ねる旅が始まるのだ。

まず新所原駅から出発するのに数分間、車内で待つ(旅が始まらねえじゃねえか)のだが、ホームで待っていたのは静岡の会社ってことでHONDAさんのラッピング広告が施された車両だった。

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これがカッコイイのだが、HONDAさん、一つだけ…窓のデザインのところは、窓にしておいていただけませんか…黒い目の細かいメッシュで覆われていて車窓の眺めが見えない…目がちかちかしちゃう。毎日フツーに通勤通学で乗る人はいいかもしれないけど、たまの楽しみでアレだとちょっと残念だったので…
あっHONDAさんが悪いんじゃないです、全然大丈夫です。私なんなら10年以上ステップワゴンスパーダ乗ってますんでむしろHONDAさん好きなんですよ。
買ったのは中古車ですけど…

で、その車窓の眺めが台無しの、素晴らしい広告で満ち満ちた、天竜浜名湖鉄道さんとHONDAさんにとってWin-Winな車両を(やめなさい!)途中下車して東都築(ひがしつづき)駅。

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無人駅どころか三十年ぐらい前から時間が止まってそうな、なんともいえないムードの駅。天浜線のいいところの一つに、そういう往時の様子を残す駅舎や周辺の風景が残っていることがあって。この東都筑駅なんかは、その代表格とも言える。

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ミカン型トイレ。


木造で、古びた静かな駅舎の前を通る県道。ここは私も仕事や行楽でしょっちゅう通る道。でこの東都筑駅を出てすぐ右にあるのが
カフェ琥珀

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さん。昔ながらのローカル線駅舎のすぐ隣に、昔ながらの喫茶店。
中に入ると、おじさんとおばさんが切り盛りしていて、テレビが点いてて、コーヒーのいい匂いがする。壁にはモーニングセットやコーヒーチケットのカラフルな張り紙があったり、コーヒーのポスターがあったり。
そんなお店。いいねえ、こういうお店。

アイスコーヒーとホットサンドのモーニングを注文。

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ホットサンドにはケチャップのスクランブルエッグ。香ばしくってあったかくって美味しくって。常連さんらしきお年寄りから親子連れまでいろんなお客さんが居て。
窓の外は緩く雨。良い朝だ。

お会計の時に、実はこの前の道をよく走ってて、一度来てみたかったんだと打ち明ける。ご主人は喜んでくれた。
行ってみたかった!って、閉まるとなってから言うなよ!
と、お店をやっている人の悲痛なツイートが回って来たけれど
行ける限り行ってるけど限度があってね…と、それに対しては何も言えないんだけど、何か言う前に、何処か行く方が有意義だからな。こういう世の中ではあるけれど…。

東都筑駅から、今度はマトモな窓の(やっぱり根に持っている)車両で天竜二俣駅までカタコト向かう。いつも道路を走って見る、浜名湖沿岸や里山のミカン畑、見慣れた景色も少し離れて、線路の上から眺めると、これもまた格別。雨だけど、この雨が逆にいいんだな。晴れた日の景色も忘れないけど、雨の降る日に出かけた場所の事も、案外イイ感じに覚えてるもんだよ。それはそれで。

金指、都田、岩水寺とくれば天竜二俣駅も、すぐそこ。この辺りの新東名の高架が威容を誇るのを不思議な気持ちで見てたけど、私泣いたりするのは違うと感じてた…
かーーーーざりじゃないのよ涙h
まあそれはいいや。昔よくクルマやバイクで来てた頃は建築中で、これがこんな立派な道路になって、なんも無かった空と田んぼと里山に跨っている。凄いな道路とか建築物って。

西鹿島(にしかじま)駅では遠鉄と連絡していて、ローカル線同士の、田舎駅での連絡ってこっちじゃあんまりない気がするので、見ているだけでもとても楽しい。
ちなみに天浜線の新所原駅から天竜二俣駅か、掛川駅から天竜二俣駅だったか西鹿島駅までだったかのフリーきっぷに、遠鉄の西鹿島から新浜松までのフリーきっぷが付いたお得な乗車券もあるので、興味のある方は是非。私も乗りたい。今度はソッチにしよう。

西鹿島駅で遠鉄のシュッとした車両も見て(特急しなのをモノレールにしたみたいな車両yよね遠鉄)、天竜川を渡る風変わりな鉄橋を渡れば天竜二俣駅だ。なんでも二つの建築様式が合わさった珍しい鉄橋だそうな。あれだな、半分ジェノベーゼで半分ペパロニミックスのピザみてえな…ちょっと違うか?
二俣本町駅も古くて味わいのある、いい駅だねえ。
そして天竜二俣駅。この近くを車やバイクで走ったことはあったけど、訪れるのは初めてだ。

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国の有形文化財になったという事で、中を見学できるミニツアーも開催中だ。予約不要、天浜線で天竜二俣駅に来て申し込むと参加費が百円引きになるというユニークな価格設定もある。ちなみに通常だと350円。天浜線ご利用で250円だ。安い。
気になる内容は、お昼ご飯を食べてから……。つづく

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