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【イベントレポート】web3がもたらす新たな社会 〜自律分散化する社会の中で今後大企業が果たす役割は?〜【中】

2ヶ月に1回のギャザリング、One Hundred GIFTs、
2022年10月26日に開催されたテーマは「Web3がもたらす新たな社会」。
 
前半は、メインスピーカーに湯川鶴章氏(ITジャーナリスト。AI新聞編集長)を迎えWeb3の基礎について解説いただきました。
 
次に、湯川氏×武井浩三氏(社会システムデザイナー)で、「Web3は社会・企業をどう変化させるか?」を対話しました。
この記事では、対話の内容をお届けします。

 

*【上】の記事はこちら

対話:社会システムデザイナー武井氏とのディスカッション「Web3は社会・企業をどう変化させるか?」

社会システムデザイナー・武井浩三氏

武井:今日は技術的な観点で、NFT(Not Fungible Token)やSBT(Soul Bound Token)などが個人認証になっていくことのさらに根源はどこからくるのか?が肌感覚的にわかりにくいので、議論したいです。
ブロックチェーンは、信用担保システムと言えます。信用(クレジット)は過去のヒストリーで、信頼(トラスト)は未来の不確定に対することです。かつて科学が発達することで、宗教の役割が小さくなった経緯があるように、ブロックチェーンによって信用が厚くなれば、取引の信頼につながってくる。なのでブロックチェーンは技術的にトラストレス、セキュア、リーズナブルと言われています。
そうすると相手のことを心配せずに取引でき、お金がいらなくなると思っています。
 
湯川氏:信頼があるとお金がいらなくなるとはどういうことでしょうか?
 
武井:国家とお金、ブロックチェーンのことを一緒に語らないといけません。お金を発行することを信用創造と言ったりもします。例えば1万円の価値は中央集権で日本政府が1万円の価値がある、1万円のものと交換したり労働力を買えたりすると信用をつけています。実際は、その信用があるかはわからない中で僕らはお金を使っています。でもブロックチェーンだとデータが改ざんできないので、国家よりも信用があると言えます。

ゲストの湯川鶴章氏。ITジャーナリスト、AI新聞編集長。

湯川氏:国家だと例えば数人がデータを改ざんして問題ないと言ってしまえばそれが通ってしまう。書類の改ざんなどで実際にそうした問題が起きています。
 
武井:貨幣というのは取引履歴なので、ブロックチェーンやイーサリアム*がスマートコントラクトというのは貨幣と同じ原理になっているからです。
(*イーサリアム:の自動実行などを実現させるプラットフォームの名称。インターネット上で送金や決済ができる暗号資産としても利用される)
 
湯川氏:つまり今までは俺を信用しろと言っていたのが、システムを作って信用ができるようになった。

武井:そうです。なのでみんながそのシステムを使いだしたので法定通貨よりも安心度が高いので、いずれは国家がいらなくなるのが間違いなくて、国家もDAOになっていくと思っています。人間は社会性生物なので集団で生きていくものですが、集団でいる目的は助け合うことで。国家単位ではなく、地域やビジネス、プライベートのいろんな重なり合う形でDAOが出来ると思います。

湯川氏:国家の役割は3つぐらいあると言われていて、貨幣の発行、軍隊、教育があります。貨幣はブロックチェーンに置き換わるとして、教育はどうですか?
 
武井:教育もYouTubeで代替できますよね。教育のようなコンテンツは置き換えられ易いです。私の小学生の子どもたちもYouTubeとTikTokがあれば学校はいらないと言ってます(笑)
 
湯川さん:軍隊はどうですか?
 
武井:軍隊が物理的に、安全保障で難しいところですよね。明確にはわからないですが、軍隊の前に軍事産業がなぜ存在するのか?先ずは武器を作らないようにすることだと思います。株式会社が武器を作っていて、軍需産業の資本をたどっていくとユダヤ系資本だったりします。軍需産業、国家論、貨幣論はたどり着くところが同じです。各国の政府にお金をかしている民間銀行で、その株主が軍需産業と同じ株主だったりします。結局、貨幣システムだけではなくて、現代システムの対立構造もビジネスの一部として組み込まれてしまっています。

湯川氏:軍事産業って、恐れからきているじゃないですか。日本だと中国や韓国が攻めてくる恐れがあります。恐れというのは未来がどうなるかわからない怖さから来てると思いますが、ブロックチェーンみたいに過去のデータがわかれば相手の出方がわかって、恐れはなくなるんでしょうか?ブロックチェーンは軍事に影響してくると思いますか?
 
武井:なくなるんじゃないでしょうか。戦争っていろんな理由があると思いが、一般的には国土を取ることによるエネルギーや食糧など地球資源の奪い合いです。困窮していた時代は加速していったと思いますが、現代はそうではないはずです。国家という括りで見ると攻めてきたとなるけれど、ブロックチェーンでいうと個人レベルになる。属しているのが単一ではなく選べて、国籍・性別、見た目など関係なくやり取りできる。ブロックチェーンは助け合う世界共通の動きを助長していて、イーサリアムではアフリカの困窮者のベーシックインカムのようなDAOもできています。
 
湯川氏:グローバルが一つの村と昔から言われていますが、確かにDiscord*の中に入ると一つの村という実感がわきますね。それから所有権が変わるとも言われていますが、どうですか?
(*Discord:アメリカ発のチャット、ボイスチャットサービス。1対1でのやり取りのみならず大人数のコミュニティ運営にも適したコミュニケーションツール) 

武井:権利というのは所有権、言い換えると私有財産権、誰のものというのが分断を生んでいきますよね。かと言っていきなり、お金や不動産の権利がなくなると社会が動かなくなるので、どうやって緩やかに資本主義の所有権を最大化するゲーム、所有物が多いのが成功者という考えを変えていくかではないでしょうか。

湯川氏:物を持ちたい、なくなったら困るというのは恐れですよね。周りの人を信用できるようになったら共有し始めますよね。
 
武井:僕はこれからのプロセスは、持っている必要性がどんどん薄まっていく時代だと思います。実際に起業する、お店出すとなるとお金を借りていたのが、今はクラウドファンディングで集まります。これは社会関係資本という助け合いの経済であって、持ってることと必要な時に使える、アクセスできることがほぼ同じなので、持ってなくてもよくない?!と思います。例えば最近の若者は車を買わないですが、シャアリングとかコモニングしてみんなで共有財として使うところは増えると思います。NFTにはその役割もあります。
 
湯川氏:なるほど。今日のテーマ、大企業の果たす役割は?についてどう思いますか?
 
武井:かつて大きい恐竜が絶滅したように大きすぎると生き残ることが難しいので、全部の大企業が一律ではないですが、分解されていくと思います。大企業の法定通貨の内部留保は過去最高を毎年更新しています。できるならベーシックインカム的に給与をもらいながら、副業したり、会社の資産や資本を使ってノンプロフィタブルなことに移行していけばと思います。
 
湯川氏:経営者はそんなことはしないと思うので、勤めている個人はどうしたらいいですか?
 
武井:過去、いろんな大企業から組織の相談がきましたが共通点は「若くて優秀な人ほど辞めてしまう」ことでした。なので大企業はお金が原因というよりも、優秀な人材が流出する外的力学が働いて、変わらざるを得なくなる気がします。なので優秀な人は転職ですね(笑)
 
湯川氏:身も蓋もないですね(笑)私自身、大企業を辞めてフリーになったのですが、本当に食っていけるか恐れがありました。どんどん貯金が目減りしていく中で恐怖に打ちのめされていた時期もあり、40代50代で家族がいる人に辞めたら簡単に言えないです。それくらい日本社会の中では怖いことだと思います。
 
武井:今は仕事を続けるか辞めるかじゃなくて、副業などで資産のポートフォリオをどう変えるかだと思います。個人事業の方のボリュームが増えてきたからそろそろ会社を抜けるか、あるいは業務委託にするかを選べるようになっていくでしょう。
 
湯川氏:DAOの時代になると余計にそうした選択がし易くなりますよね。まだ日本では少ないですが、英語圏ではDAOの仕事はたくさん出てきています。
元デジタル庁の平井大臣が言っていたのですが、「日本はこれから一つの会社の給与でやっていけない時代になるので兼業してください」と。政府が言い始めている表れでもあり、もっとDAOをやって良いムードになっていくと思います。
 
武井:僕もいくつかNFTやDiscordを持っていますが、発展速度が尋常じゃなく早いというのはみなさんに伝えたいです。ITベンチャーの経営をしていましたが、IT革命どころじゃない、やばい速さだと感じます。
 
湯川氏:確かにWeb3の変化をみていると他の業界は止まっているように思えますね(笑)
半年前に言っていたことがもう覆っていたりします。
 
武井:ブロックチェーン上にDAOを作るのは、法人を登記するのと同じです。法人は国家の法律の中でやらなければいけないですが、ブロックチェーンでは一瞬です。さらに日本ではまだ無理ですが、海外ではNFTを調達することができます。海外のDAOの発達の理由は、NFTが株みたいなもので、株式でファイナンス、顧客を獲得するマーケティング、労働者のハイアリング(採用)を一気にやってしまうんです。だからめちゃくちゃスピードが速い。
 
湯川氏:確かに分断されていない。経営者と消費者、株主と従業員といった分断がなく、一人が株主であり従業員でありお客さんでもありという何役もします。この間、あるDAOの入り方がわからなくてDiscordで質問したら、熱心に教えてくださる一般の方がいました。自分の関わるコミュニティが発展すれば自分のトークンの価値が値上がりするので、自分のものという意識で教えてくれたんです。株式会社のストックオプションとは桁違いに組織を共有している感覚でもあり、ものすごいパワーだとDAOを見てて感じます。
 
武井:これから国家でもそうした現象が起きると思います。国民デジタルNFTのようなものをもって、どこの国のものを買うことができる。その中で議論したり、投票したりする。投票するときにアルゴリズムで調整できる、その辺りを後半の栗本さんが話してくれます。

まとめ

GIFT発起人の岩波

岩波:すごい濃い時間でしたね!中央集権である必要がなくなると国家の概念が揺らいでくる。湯川さんの話の中でおもしろかったのが、人間の恐れの感覚がどうなくなるかだと思います。一番初めに、科学と技術と社会性の話をしましたが、社会性の中に人間の認識があります。科学と技術が発達して、それにより認識がかわっていくことがあります。でも逆側のアプローチも必要で、自分の活動や行動は恐れからきている、と気づくことも必要なんじゃないかと思います。今その両面が来ている感覚があるのでこれから、もっと社会が変わる気がしています。

*【下】のリリースもお楽しみに!以下の動画では全編ご覧いただけます。

【今回の動画】


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