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【イベントレポート】これからの企業・個人に求められるソーシャルアクション(後編)

2022年8月4日に開催されたOne Hundred GIFTs。
テーマは「これからの企業と個人に求められるソーシャルアクション」。
バラエティーに富んだ活動紹介で、あっという間の2時間半でした!
この記事では【後半】のパートをご紹介します。

*【前半】はこちらをご覧ください

【第2部 ゲストスピーカー①】株式会社BANSO-CO  土井理美 氏・伊角彩 氏

BANSO-CO代表の土井氏と伊角氏

私たちは株式会社BANSO-CO(バンソウコウ)です。すきま時間に、オンラインでメンタルヘルス支援の専門家と気軽に話ができるサービスを展開しています。社名の由来は「伴走(BANSO)する仲間たち(COMPANY)」。いつもカバンや救急箱に入れておく「ばんそこう」のように日常生活に溶け込み、もしも心に小さなケガをしたらすぐに使って傷をいやしてほしいという思いを込めています。コアメンバーのうち2名は大学でも研究をしており、社会疫学・公衆衛生学の分野で、貧困含む様々な逆境が健康に与える影響や、その影響を軽減させるものは何かをデータを使って検証しています。それらの研究成果をもとにメンタルヘルスケアを社会に実装しているのがBANSO-COです。

BANSO-COではメンタルヘルス不調が起こる前に「予防」することに特化しています。気軽かつ継続的にご相談いただくことで、いろんなステージの方を多角的・包括的にサポートします。日本だと要支援・要治療ステージになって何か手立てを打つことが多いのですが、私たちの考える社会課題として、必要な人に適切な支援が適切な時期に届いていないことがあります。例えば日本では仕事に強い不安やストレスを感じている人が2人に1人いますが、産業医や保健師などに相談したことがない人が9割に達します。 

BANSO-COの支援の特徴として、自分らしさやWell-beingの向上も含めて伴走することを大切にしています。心理的・物理的・金銭的ハードルを下げるような取り組みにも力を入れたり、言葉遣いにも考慮して心理士や精神科医を“ばんそうメイト”と呼んだりしています。企業や自治体にサービス料を負担いただくことで、利用者が無料でサービスを受けられる仕組みを中心に事業展開しています。

現在、サービスの導入企業、コラボレーション企業、マンスリーサポーターを募集中です。文京区のふるさと納税を活用したクラウドファンディングを2022年10月3日から開始予定ですので応援いただけるとありがたいです。

<応援コメント>
Kさん:社内で気軽に相談できる場を作ったり紹介したりしたいと思っていたので、BANSO-COさんの話を聞いて似たようなコンセプトだと思いました。相談先の一つとして、ぜひ検討させていただきます。

BANSO-COホームページ:https://www.banso-co.co.jp/

【第2部 ゲストスピーカー②】STORIA代表  佐々木綾子 氏

STORIA(ストーリア)代表の佐々木綾子です。STORIAは子どもの貧困という課題解決をするための団体としてお子さんと親御さんを支援しています。私は企業の管理職として勤めていましたが、東日本大震災で自分の家も全壊し、ひとり親や子ども達が苦しんでいる様子をみたことから、NPOに転身しました。行政・企業と連携しながら施策を考えたり、人の幸せや願いに寄り添うメンタルコーチもしています。
STORIAはイタリア語で物語の意味です。自分の物語は自分で決めていい、君は君のままでいいという思いで、子どもたちがありのままの自分でいられることを大切にしています。

日本の子どもの貧困は7人に1人ひとり親世帯の2人に1人が貧困と言われています。日本のひとり親の就業率は80%とOECD諸国の中でもとても高いのですが、働いていても貧困に陥ってしまう、社会の構造から貧困が生み出されています。二人親が前提であるため、子どもたちを支える仕組みが制度化されていないことが大きな原因です。
その中でSTORIAは、お子さんと親御さんが自分らしい人生を送るための包括的なセーフティーネットを作っています。子どもの貧困を解決するのは最低限必要ですが、その先に一人ひとりが幸せな人生を送れるための事業を目指しています。私たちのビジョンは、「貧困の連鎖から愛情の循環」を起こすことです。

実際には、大きく4つの事業をやっています。一つは、家庭が孤立しないように孤立家庭の発見と相談支援。二つ目は、子どもの生きる力を育むサードプレイスの提供。子どもの非認知能力、自己肯定感や自己効力感を育んでいます。三つ目は、さらに困難度の高い家庭と子どもの見守りです。サードプレイスに来られない家庭100世帯に出向いて、絵本を届けたり、親御さんの困り事を聞いたりしています。最後に、企業にむけて研修・勉強の場を提供しています。また年に20回程、子どもたちがやりたいことを実現するプログラムを実施し、卒業生がボランティアとして下級生に自分が受けた愛を流してくれています。

STORIAではいろいろな関わり方で、仲間を募集しています。企業研修や新規事業のアイディアソンの参加先を募集しています。プロボノとしても参画ができ、現在40名がSTORIAで活躍中です。最後に、マンスリーサポーターとして寄付いただくこともできます。STORIAは全て寄付で成り立っていますので、子どもたちがたくさんの愛情を受け、その愛情を他者へ流していけるような「愛情の循環」のためにご支援をお願いいたします。

STORIAホームページ:https://www.storia.or.jp/

【第2部 ゲストスピーカー③】SCUAD プログラムディレクター / proud story  知夏七未 氏

知夏七未です。小さいころからダンスやステージ、世界に友達を作ることに憧れつつダンスやステージの分野か国際協力の分野に興味がありマザーテレサか歌って踊れるお姉さんになりたかったです(笑)どっちつかずのまま成長する中で、舞台を通じた国際交流に関わらせていただいたり、ミスコンテストの世界大会に出たりしてきました。自分は世界中に友達ができたので、今はいろいろな人に世界中に友達を作ってもらうことを目標に掲げて活動をしています。
「仲良しの人が世界中にできれば、分断による無関心・差別や争いを越えて素敵な社会が作れるはず」というのが活動の根底にあります。
アフリカの友達が“Don’t come to Africa as a savior, come as a friend (アフリカに救い主としてではなく、友達として来て)”と言っていて、ものすごく的を得ている言葉だと思ってそれを文字って、“support as a friend, not as a savior(救い主ではなく友達として支え合おう)”というキャッチフレーズを大切に、お互いを褒めあうところから関係性を築いていくことを意識しています。友達という関係であればスーパーヒーローとして救ってあげるというよりも、相手が行動の中心になって自然と無理なく動けるしやれることも多いはずです。いろんな国に友達がいる方が自分も楽しいし、広がっていけると活動の中で感じています。 

またミスコンの世界大会から感じたのが、世界大会の出場者はみんなお国自慢と友達作りがミッションだということです。出場者の一人が、「(コンテストで)競争する(competing)というよりも、補い合う(Complimenting)」と言っている考え方を学びました国と国というと大きなレベルですが、人と人のレベルでその考えが実現できるのではないかと思っています。 

最近の活動としては、ラオスの不発弾から作られたジュエリー(NO WAR FACTORY JAPAN)を輸入したり、先ほどの自分や相手を褒めるワークショップのような研修、バーチャルファッションを通じて世界と友達になろうというプログラムも行っています。バーチャルファッションは企画段階ですが、2021年はコロナ禍で渡航が制限される中、日本とインドネシアとインドネシアの交流プログラムとして、バーチャルファッションを両国のZ世代同士で一緒に制作し、ファッションショーを行いました。国際交流プログラムやXRの展開としても何かの機会でご一緒できたらうれしいです! 

知夏七未さん 関連ホームページ:
SCUAD: https://worldscuad.com/
NO WAR FACTORY Japan: https://nowarfactory.theshop.jp/
 

【第2部 ゲストスピーカー④】こころの教育グローバル研究所代表  オズとも子 氏

心の教育グローバル研究所で子どもの心の教育に関する活動をしているオズとも子と申します。心理療法家として大学院時代から22年間で1万人以上と接してきました。現在は「自分らしすぎて、笑える人生を生きよう」をモットーに、子どもたちがもっと自分を好きになり、自分がいいと思えるような、自己肯定感の育成活動をしています。
日本の子どもたちの自殺が戦後最悪となり、自己肯定感もOECD諸国の中で最下位となっている中で「自分を大切にする教育」が今の日本には大切だと思っています。日本では「周りを思いやり迷惑をかけないように、周りを見て動くように」という教育はたくさんあります。素晴らしい面もあるのですが周りを気にしすぎるばかり、「自分を思いやる」という心の教育は抜け落ちていると考えます。
例えば、1人の人間を1つの王国だと例えてみると、日本の教育では、自分王国は常に脇に置かれがちで、周辺国(周りの人)に嫌な思いをさせないことばかりを考えて生きているようなものです。「自分という王国の中をみて、どんな状況か把握し、それを受け入れ、どうやって自分王国を笑顔へ導くか」は習っていないのです。
 
海外で自己肯定感が高い国ではEI(Emotional Intelligence)教育といって、人生に必要な心の知性を伸ばすスキルを小学校低学年から教えています。心は目に見えないので何となくではなく、スキルとして階段を登るように身に付けていくものなのです。欧米と日本は文化・歴史が違うこともあり、精神的にインストールされていることが違っています。そのため、欧米の心の教育を直輸入するのではなく、日本人の精神性にあった心の教育が求められます。日本人の得意な「みんなを見て動く」という外側に対して使っている力を、自分の心の中に転用して、内面を見ていくと、非常にスムーズに自己認知や自己受容ができるようになります。
 
小学校で授業をすることもあるのですが、2022年からタブレット端末が配布されたこともあり、ICTの力を使って、毎日子供たちが、自分の気持ちを認知して受け入れ、気持ちを落ち着けるような言葉を自分自身に対してかけていくことで、自己肯定感が上がるかという実証実験をしています。結果を見ると自己肯定感の数値が跳ね上がっています。
 
小学校での活動は3年目になりますが予算確保が難しいこともあり、クラウドファンディングで本を作って、より多くの子どもたちにそのエッセンスを届けることにしました。子どもでもEIのコアな部分がわかるような物語です。本を作ること自体がゴールではなく、子どもの時から心の知性を育てる教育が様々な形で存在して、子どもの笑顔が咲き誇る世の中にしたいと思っていますので。応援をよろしくお願いいたします。
 
コメント:子どもの問題と言いつつ大人の問題として一緒に考え、学んでいくことだと思いました。
 
心の教育グローバル研究所 ホームページ:https://www.coco-labo.org/about

【最後に】

岩波:発表者のみなさま、ありがとうございました。今日の発表者のみなさんは、活動そのものがライフワークになっています。自分として取り組んでいることにワクワク感や価値を感じているから続けられるし、協力者・共感者がいるのだと思います。今日の話を聞いて、応援したり、今日をきっかけに何か始める方もいらっしゃるかもしれません。私も応援したいと思います。
GIFTという名前そのもので、顔の見える関係性のコミュニティ、解放されたコミュニティで、お互いのコミュニティが重なり合えるような社会になれたら面白いのではないかと思います。すでにそれが始まっていると思わせてくれる会でした。みなさんも何でも良いのですが、ソーシャルアクションや、ソーシャル・ビジネスに自分の時間を使っていくと、また違った景色が見えてくるのではないかと思います。登壇者の方々、そして参加者のみなさんとつながっていろんなことをやっていけたら良いなと思います!

笑顔で記念撮影!

【今回の動画はこちらをご覧ください】

【ご案内】

□Facebookグループ「大企業未来共創活動態"GIFT"」
 最新情報、それぞれの活動報告をしています。お気軽にご登録ください。
 https://www.facebook.com/groups/dyhentie.gift
 
□次回ONE HUDRED GIFTS
2022/10/26(水) 13時-14時30分
「web3がもたらす新たな社会
~自律分散化する社会の中で今後大企業が果たす役割は?~」
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