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65.8:39 勝手に切なく、勝手に納得、の美術展

黄砂がくるって本当ですか?
12月ですけれど。
そんな朝。
家族を見送って、一人でのんびり日記を書く時間がとても好きなことに気づいた。
今更ながら、好きなことが見つかってなんだか嬉しい。
そんな朝。


久しぶりに美術展へ行った。

「テート美術館展 光 -ターナー、印象派から現代へ」


実は、大阪中之島美術館に行くのも初めて。
否が応でも期待が膨らむ。
国立国際美術館へは何度も足を運んだことがあるが、その道向かいにできた大阪中之島美術館。
外観は都会的でオフィス街にマッチしているが、さすが美術館、どでかい猫のモニュメントが出迎えてくれた。

私は、あまり予習をして美術展に行くことがない。
その場での印象や沸き起こる感情が大切だと思っている。
なんて格好つける気はないのだが。
単に細かな予習が面倒なのと、やはりアートは出会いだと思うからだ。
勿論美術展のタイトルに惹かれて行くことを決めている。
そして、所謂「うり」となる作品は何となく把握しているものの、実際はどんなアートに出会えるのかとワクワクしながら赴く。
それが楽しくて仕方がないのだ。

さて、今回の美術展はというと、一言で言えば面白かった。
印象に残った作品がいくつかあった。
例えば、ジェームズ・タレル≪レイマー・ブルー≫。
その空間で佇むことしばし。
たった一人で、その空間にいられたことは貴重な経験だった。
ただ、あっさりした印象の美術展だった。

アート以外に目が行ってしまったのが、あるスーツ姿の男性。
私は10時過ぎから鑑賞したのだが、ほぼ同時に鑑賞したため、何度も作品の前で出会った。
つい癖で、「スーツってことはサラーリーマンなのかな。」「仕事はどうしたのだろう。」「さぼっているのかな。」などと余計なお世話ではあるが、想像してしまった。
最後の作品まで、「一緒」に鑑賞した男性。
きっと彼は私のことなど目にも入っていないだろう。
けれど、私は作品に没入することもあれば、訪れている人々を観察してしまうこともあるのだ。
前回の観察についてはこちらを参照。

それはさておき、今回の美術展は、まるでTATEテートというものを紹介をされたようだった。
良かったら知っていって、まだまだ素晴らしい作品がTATEにはあるよ。
そんな風に。
テートの良い所を少しずつ紹介し、本場の美術館にいざなっているかのよう。
それが、あっさりした印象の原因ではないかと思う。

そりゃあ行けたらいいよ。
いいんだけれど、そう簡単に行けないのが庶民の辛い所。
なんだか、切なくなった。
そう考えれば、こうやって紹介だけでもしてくれるのはありがたいことなのだと、改めて気づいた。
一生見られないかもしれないアートを、日本の地で観られたのだから。

勝手に切なくなって、勝手に納得した。
そんな美術展の一日だったのである。

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