シームレス生活

一日の中で何をするか、いつ起きていつ寝るか、何を食べて、どこに出かけるか。そういったものを殆ど自分自身でコントロールできる。最近はそういう自由な暮らしをしている。

かつて憧れていたそんな生活。でもそういう日々の中で感情は希薄になり心が死んでいってるのかもしれない。

今まで書いてきたものを振り返っていた。そのどれも愚痴みたいだなと思った。

何か表現したいことがある時というのは決まって嫌なことがあったり、誰かとの別れがあったり、トラウマを掘り返されたような時だ。

心にできた傷や不安を補うという目的のためアウトプットに落とし込んでいたように思う。

最近はそういう心の不安定は殆どない。感情が動くこともあまりない。日々に波風がなく時間は滑らかに、静かに、ただ静かに過ぎ去る。

空洞の心で二度とは戻らない過ぎゆく日々を見つめている。良く言えば平和。悪く言えば退屈。そんな時には決まって物語を求める。

小説を読んだ。今年の一冊目は、金原ひとみさんの『マリアージュ・マリアージュ』。素晴らしかった。やはり彼女の文体が好きだと再認識できたし新春から良い本に巡り会えたことが嬉しい。

6つの短編で構成されているこの本。内容を詳しく書くつもりはないが、読む前と読んだ後で違う人間になっているのが分かる。

自分の中の何かが破壊され、バラバラになり、再構築された。その過程を実感できるのはなかなか無い経験である。そういうものを芸術と呼ぶ。

大切にしたい本がまたひとつ増えて、心が少し生き返った気がした。

僕の周りには本、特に小説を読まない人も多くて、もしかすると最近の若者の大半はそうなのかもしれないけど、本を読まない人とはあまり話が合わない気がする。

そして小説が好きな人とは結構仲良くなれる気がする。

今から遠野遥の『教育』を読む。今年の二冊目。今日発売の本で、さっき買ってきた。小説を発売日に買うというのは人生で初めてのことだ。

良い評判を沢山聞いているので今から楽しみ。集中してじっくり読んでいきたい。

何となく今年は小説を沢山読む一年にしたいと思っている。あと生活の面では仕事が始まって環境も変わるし、心身の状態には気をつけなければと思う。

良い一年になるといいな。


遅ればせながら、あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。


読んでくださり、ありがとうございました。 今後より充実したものを目指していきます。