2023年11月29日 「万国の学生と労働者よ」

やばい。10日も日記をサボってしまった。

先週は3日くらい発熱でダウンしたあと胃腸がぐずぐずでやばかった。たぶん合計2日分くらい食事を抜いているので痩せたんじゃないかしら。まあ抜いてない分もウイダーとかで済ませたので消化器がすっからかんだった時間あったはず。

今回の発熱はちょっと壮絶で、去年罹ったコロナより酷かったとすら思う。最高39.1℃まで行った。それも持続的に。特に熱が下がり始める前の夜中に激ヤバ悪寒に襲われたときはやばかった。全身の関節がガタガタと震えて、このまま死ぬんじゃなかろうか、死んだほうが楽なんじゃなかろうかと思ってしまう。暑いときは暑いときで、自分で暴れて掛け布団がぐちゃぐちゃになってるのに、たくさんの誰かが奪い合っているような気分になって苦しかった。別に明確にそう思ってたわけではないけど、掛け布団が不如意に動いてしまうような感覚。

幸いコロナでもインフルでもなかったらしいので、ある程度落ち着いた翌日は体力も回復していないのに京大のNFを一日中ぐるぐるした。森見登美彦の講演とかを聴いた。登美彦氏は小説執筆以外はかなりのんべんだらりとした学生生活を送っていたようで、とかく羨ましい。一方で現代の我々は頑張ることを強要されている。万国の学生と労働者よ、団結して布団に潜れ!

友達と通話しながら韓国ホラー映画『箪笥』を観た。演出は真っ当に怖くて、しかし謎解き要素もありわくわくでき、それも程よい難易度で、観終わって一通り謎が解けてくると再びちょっと怖くなる。ちょっとスカッともする。ちょっと完璧な面白さなんじゃないかと思う。後腐れのないホラー映画は良い。

大阪中之島美術館の『長沢蘆雪展』と『テート美術館展』に行った。どっちも最初はリズムとか雰囲気を掴むのが難しくて時間がかかったけど、徐々に掴めてきてからはとにかく楽しかった。蘆雪のパキパキした衣服の表現と墨の濃淡の抜群の手際。その中で《降雪狗児図》が珍しくて良かった。黒く染めた紙に粘度の高い絵の具で子犬が描かれていて、墨絵よりも毛のモフモフ感がよく出ていた。他にもこのやり方で描いたりしたんだろうか。だんだん興が乗っていったので最後に画面に収まりきってない牛の絵が出てきたときは最高に楽しかった。テートの方は18・19世紀のイギリス絵画から現代アートまで幅広くあって、私の好きなハマスホイの絵とかが見れたので良かった。でも後半疲れちゃったな。

行きたかったtoi booksは閉まってるようで残念だった。

北野武の『首』を観た。キタノ映画は初めてだったのだが、かなりよく、とはいえこれまでのキタノ映画とは違うらしい。これまでの全ての戦国時代劇をぶっ潰すようなニヒリズムと暴力性。戦国武将を「○○公」とか言って有り難がってるのとかバカじゃねーの?みたいな。「民衆のため」とか誰も思ってるわけねーじゃん。結局恋と性欲がでかいんだから。武士の死とか有終の美とか秀吉は百姓だから関係ないし。あんな異常な世界はパワハラセクハラがないと成り立たないのは当たり前。そんな相手に忠義も何もないわ。あと別に賢くもないんだから。みたいな世界。この世は地獄。

暴力のシリアスさとバカバカしいコメディが連発されるのも、それぞれ別個の楽しさではなく、同根なんだろうなと思う。あと同性愛と人種問題を茶化してなくて良かった。むしろ戦国社会のホモソーシャリティという構造と合わせて、中心軸として真剣だった。この映画を観た上で「ポリコレを笑い飛ばしてて最高!」とか言ってる奴はバカです。

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