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中東初のカジノ予定地 アル・マルジャン島の不動産は買いなのか?

今回は、 中東初のカジノが建設される予定の ラスアルハイマのアルマルジャン島の不動産価格とプロジェクトについて考察します。

この記事はこんな人に向いています。
✅ ラスアルハイマの不動産が気になっていた人
✅ カジノリゾートが好きな人
✅ キャピタルゲインを狙いたい人


ラス・アル・ハイマとは?

ラス・アル・ハイマの位置

Ras Al Khaimahは、UAEを構成する7つの首長国(エミレーツ)のうちの1つです。7つのエミレーツは、アブダビ、ドバイ、シャールジャ、アジュマン、ウンム・アル・クイン、ラル・アル・ハイマ、フジャイラです。

ラル・アル・ハイマは UAE の中でも最北端に位置する エミレーツです。
2022年時点で人口は19万人、「ラス・アル・ハイマ」という名前は「テントの岬」を意味し、この地域でよく見られたテントやヤシの葉の家に由来します。約7,000年にわたり継続的に人が住んでおり、14世紀から16世紀にかけては重要なイスラム教の集落と港として繁栄していた歴史があります。

ラス・アル・ハイマは特に経済と観光分野に力を入れています。ラス・アル・ハイマ・エコノミック・ゾーン (RAKEZ) は、セラミックスや製薬業などの多様な産業で事業を支援しています。RAK Ceramics は世界有数のタイルメーカーであり、Gulf Pharmaceutical Industries(ジュルファール)は糖尿病治療薬や一般薬を製造しています。

アル・マルジャン・アイランドとは?

アル・マルジャン・アイランドのロケーション
アル・マルジャン・アイランド

現在、ラス・アル・ハイマが最も力を入れている観光プロジェクトとして、アル・マルジャン島に中東初のカジノを誘致しました。元々、イスラム教ではギャンブルは禁止されているため、中東にはカジノリゾートがありませんでした。

開発が発表されているプロジェクト

主要なプロジェクト
マスタープラン

アル・マルジャン島は、4つの島で構成されています。アイランド3にWynn カジノ・リゾートができます。アイランド4には、6つビーチがあり、中東最大手のEMAARのADDRESSホテルも建設されます。

島全体で10箇所程度のビーチエリアがあり、カジノとビーチが楽しめるリゾート地として開発されています。これまで12,000以上の物件が完売しており、政府が本腰を入れて不動産開発をしています。

ドバイの大手デベロッパーも開発を次々と発表しています。

ラスアルハイマの強みと魅力

Knight FrankのDestination Dubaiレポートによると、調査回答者(世界の超高額所得者)の49%が今後12ヶ月以内にUAEに投資する予定です。これは、ラスアルハイマ(RAK)が世界的に訴求できる高い潜在力を示しています。

1.  観光産業
観光客の流入があり、UAEの外国人居住者の増加とともに、観光拠点として位置付けられています。綺麗なビーチと海、北部には山や温泉などもある、自然のアクティビティが豊な観光資源があります。ドバイから車で1時間~1時間半のアクセスです。

2. ウィンリゾート&カジノ
観光客の流入を30万人から今後350万人に増加させる可能性があります。またカジノの周辺に世界のトップクラスのホテルが建設されると予想されています。

3. ゴールデンビザの取得
2M AED以上の物件価格を購入することで、ゴールデンビザを申請することができます。

4. 競争力のある不動産価格
他のカジノ都市と比較して、RAKはまだ手頃な価格であり、堅調な価格上昇を見せています。他のカジノ都市と同様のトレンドになるなら、さらに価格上昇が見込めます。

不動産価格の推移

ラスアルハイマ(RAK)の不動産市場は、ドバイ同様に非常に、コロナ後成長しています。2022年の取引総額は7.3B AED、2023年は6.9B AED(約2800億円)です。
2022年1月にラスアルハイマ政府は正式に、Wynnカジノリゾートの建設が発表されました。コロナで一時的に下落していた不動産価格からの回復と重なり、2022年にピークとなっています。2023年は若干落ち着いた展開で、2024年上半期は前年を超えるペースになっています。

RAK不動産の販売総額

ドバイ、アブダビ、RAKで価格上昇率を比較をしたグラフが下図です。

RAKの不動産価格変化率の比較

価格変化率を、5年前、1年前、1ヶ月前 という順で比較しています。

5年前の価格と比較すると、ラスアルハイマは38.93%上昇しています。一方、ドバイは22.31%、アブダビは-4.04%です。
1年前との比較では、ラスアルハイマが35.87%、ドバイが19.84%の上昇となりました。

ラスアルハイマとドバイでは、都市の成熟度が異なるため、ラスアルハイマの方が価格変化率が大きくなりやすいですが、それにしてもかなりの上昇率です。

次に、デベロッパーからの販売価格の単価を見てみます。

主要プロジェクトの販売単価

現在アルマルジャン島に発表されているプロジェクトの中で、トップクラスのプロジェクトです。

  • EMAARのAddress Residence(5つ星ブランドホテル)

  • AldarのNikki Beach Residence

  • Dar GlobalのThe Asteria interior by Aston Martin

  • EllingtonのCala Del Mar

  • H&H DevelopmentのNOBU Residence

  • The LuxeのOceano

  • DAMAC(詳細未発表)

これらのプロジェクトについて、デベロッパーからの販売価格は、2,500~3,000 AED/Sqftとなっています。

7月に発売されたドバイクリークハーバーのPalace Residenceで、2,600 AED/Sqft前後だったので、ドバイ新エリアのウォーターフロントとほぼ同水準の価格です。

ドバイの大規模開発の新エリアと同水準の価格ほどの街になるかと言われると、まだ全貌が見えていない分、割高に感じます。しかし、この数字が投資家の期待値を表していると考えられます。

将来の価格予測

では、アルマルジャン島の不動産価格は今後上昇するのか、過去にカジノが建設された事例としてマカオを見ていきましょう。

マカオのカジノ開発

2002年 - 賭博免許の再発給
2002年、マカオ政府は賭博免許を6社に再発給しました。これにより、長年ポルトガル人経営のSJMホールディングスが独占していたマカオのカジノ市場に、新規参入企業が加わることになりました。

2004年 - ウィンマカオ開業
2004年、ウィンマカオが開業しました。これは、米国のカジノ大手ウィン・リゾーツが手がけた初のアジア進出プロジェクトでした。

2007年 - ベネチアンマカオ開業
2007年8月、世界最大級のカジノリゾート「ベネチアン・マカオ」がオープンしました。米国ラスベガス・サンズ社が手がけたこのプロジェクトは、水の都ベニスをモチーフにした内装が特徴です。

2000年代からカジノが開発されたマカオの過去30年の不動産価格推移をチェックしてみます。

マカオの不動産価格推移(前年比はミスです。5年前比)

5年ごとのマカオの住宅平均価格
  • 1990年代後半から2000年代前半にかけて、価格は緩やかに上昇。

  • 2004年から2014年にかけて、価格は大幅に上昇。この期間、年平均17%のペースで経済成長を遂げたことが要因。

  • 2015年は経済後退の影響で13%下落したが、その後は再び上昇に転じた。

  • 2023年の平均価格は110,000 MOP/㎡と推定され、2024年も10%程度の上昇が見込まれている。

ご覧の通り、マカオの不動産価格は 2004年にWynnリゾートが開発されて以降、価格が上昇し続けています。2004年 25,000MOP から 2024年 110,000MOPとなっており、20年で4.4倍になっています。

出口戦略

ラスアルハイマ政府によると、今後30年を見据えて開発をしており、将来的には25.5万人の居住者が暮らせる島にする計画だそうです。現在は1.2万人程度の居住者と言われています。
25.5万人がどのくらいの数字かというと、現在のドバイマリーナの人口が約12万人と言われています。ドバイで最も外国人に有名なドバイマリーナエリアで12万人ですから、25.5万人はかなりの建物が必要になります。

政府の公開する情報では、RAKへの投資収益率は、IRRで20~30%としています。

ラスアルハイマ アルマルジャン島の公式サイトより

理論上の将来価格

仮に、現在の不動産価格からマカオと同様に20年後の2044年に4.4倍になると仮定すると、11,000 AED * 4.4 = 440,000 AED / Sqftとなります。
440,000AED/Sqftは、1AED=40円計算で、約163.5万円/㎡です。

2024年4月の東京23区の新築マンションの平均面積単価は、172.4万円/㎡でした。杉並区が165.2万円/㎡でした。あと20年後に、現在の東京23区の平均くらいの水準に成長する可能性があります。

一方、ラスアルハイマがいくらカジノリゾートがあるからといって、ドバイの都心部よりも価格が高くなりづらいだろうと予測しています。そのため、ベンチマークとしてドバイの主要なオーシャンフロントの不動産価格もチェックする必要があります。

バイヤー

ラスアルハイマの物件を購入しているバイヤー層を見てみましょう。現在のプロジェクトの購入者割合は、下記のようになっています。

  1. ロシア : 27.7%

  2. カザフスタン : 9.4%

  3. UK : 8%

  4. チェコ : 4.8%

  5. ドイツ : 4.6%

  6. インド : 4.2%

圧倒的に、ロシア人の購入者の割合が多いことがわかります。この背景にはロシア-ウクライナ戦争、ロシアのインフレなどが関係していますが、将来30年にわたって続くことは考えにくいでしょう。

ロシアの情勢が変化すれば、ラスアルハイマの物件需要も変化することは十分考えられます。一方で、ロシア以外で仮に情勢不安が拡大した場合、その国・地域からUAEに投資が流れる可能性もあります。

まとめ

ラスアルハイマのカジノができるAl Marjan(アルマルジャン)島について考察しました。

不動産価格にポジティブな要因は、ラスアルハイマ政府が国策として注力している点、中東初のカジノリゾートであり、観光客や居住者の増加が見込める点です。過去のマカオの事例にあるように、カジノリゾートの開発は周辺の不動産価格を上昇させています。
長期的に見れば、価格は上昇トレンドにあると考えられるでしょう。

リスク要因としては、外部環境の変化に大きく左右されるマーケットである点です。
- 主要なバイヤーであるロシア人の需要が低下した場合
- ドバイやアブダビにカジノ開発がスタートした場合
この2つが非常にRAKの不動産価格に影響を与えると予想できます。

以上から、私はRAKのアルマルジャン島の投資について、長期的な資金に余裕がある人にとっては買い、UAEの投資1件目として予算ギリギリで購入する場合にはおすすめしていないという判断をしています。

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参考文献
https://www.globalpropertyguide.com/asia/macau/price-history
https://www.prc-magazine.com/macaus-real-estate-market-remains-challenging-in-2024/
https://www.globalpropertyguide.com/news-macaus-housing-market-weakens-4296
https://tradingeconomics.com/macau/housing-index
https://tradingeconomics.com/hong-kong/housing-index
https://marjan.ae/about-us/


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