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2拠点生活のススメ|第66回|何者でもないという幸せ

人は、誰もが何者かにならないといけないのだろうか。

メジャー指向という価値観がある。目指す道で名を成したい、お金持ちになりたい。そのために切磋琢磨し、あらゆる方法を試し、ステップアップをモチベーションに自分のすべてを捧げ、時間も努力も惜しまない。

それぐらいでないと、その道で名を成すなんてことは不可能だと思う。

しかし、私自身、そういう思考がかなり苦手だ。

こんなことを言うと誤解されるかも知れないが、昔からそういう人を見ていると、しんどくなる。・・・というか、頼むから巻き込まないでくれと思ってしまう。

そもそも映像業界でフリーランスになった動機が忙しさから解放されるため。だから、暮らしていくのに必要な収入が確保できている間は、時間の余裕が無くなるのが嫌で、何かと理由を付けてそれ以上の仕事をセーブしていた。

かといって、何かやることがあるからセーブしていたという訳でも無い。

単なる怠け者のように思われるかも知れないが、余白の時間というものが無いと精神的に参ってしまうし、ふと思いついて行動したい時に行動できないことがストレスになるという理由からだった。

スケジュール帳が埋まってないと不安になるという人がいるが、私の場合はスケジュール帳に余白が無いと不安になるのだ。

旅をする時も、スケジュールを決めすぎるのは嫌だし、何だったら何も決めないぐらいの方が性に合ってる。

とにかく、余白が無いと何かに追い立てられるような気分になってしまう。

そんなことなら、いっそ何者でも無い方が幸せ。

だから、なかなかお金も貯まらないし、有名にもならなかった。

ただ、誤解の無いように言っておきたいが、いい加減にしか仕事をしてこなかったという訳では無い。すごい技能は無いかも知れないけど、どちらかというと何が大切で必要なのかを俯瞰で見ながら、バランスを取ることを大切にしてきた。

そんなスタンスが一定の評価を得て、フリーランスを続けてこれたのだと思う。


いよいよ還暦を控え、ここからの人生、仕事といった使命感では無く、何か社会の端っこで楽しみながらお役に立てることをやり、出会うひとつひとつの出来事を面白がりながら、収入に繋げられたらいいなと思っている。

世の中、そんな甘いもんじゃないよ・・・なんて声が聞こえてきそうだが、今更どこかに所属して身を捧げるなんてガラでも無いし、個人が発信することで某らの収入を得ることが出来るプラットフォームも多数ある。

昨日のnoteじゃないが、多様な価値観が認められる時代だし、私のような考え方に共感してもらえる人もいるんじゃないか。

必死や懸命が美徳という価値観も昭和生まれなので一定の理解はあるつもりだが、もうそういうものとは、縁を切りたい。

暮らしの中で、サーフィンしたり、料理したり、音楽を聴いたりといったことの並びの中で、収入を得るセクションを設けたいと思っている。だからあえて仕事と書かなかった。

これは、言い換えると「死ぬまで続けていけるスタイル」を作ることでもある。

そのために、ちゃんと自分の目で社会を知ること、人生の先輩としてちゃんとした歴史認識を学ぶことなど、そういう手間は惜しまず、楽しみながらやっていきたいと思っている。

もちろんこの先、歳を取ってからでも、ニーズが続いていくならば、今の仕事もやれるよう準備はしておくつもりだ。


還暦というのは、一般的に会社を卒業する歳でもある。

ただ、お金を稼ぐことを卒業できるような時代では無い。そんな中で、ストレスを溜めずに暮らしを楽しむにはどうすればいいか、それを真剣に考えているだけ。

これは、年老いていく人すべての命題とも言える。

人生100年時代、

これからが人生の美味しいところなのかも知れないな・・・。

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