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大人たちよ、一人旅に出よう!

想像していたのと違って、一人旅で宿を訪れるのは若い女性が多い。

てっきり、思いが伝わる同年代の方々がやってくるものと思っていたのだが、分からないものですね。

「大人の一人旅」というコンセプトで始めた宿だけど、よく考えると熟年層の大人達は、家族もいるし、親の介護だったり、また責任ある仕事を任されて、一人旅どころではないのかも。本当はそういう人にこそ、ゆっくりと休んで、癒されてほしいのですが、現実的なことを考えると確かに難しいのかもしれません。

旅の目的なんて何でもいい。例えば贔屓チームの応援、ようやくホームゲームでの勝利に立ち会えた

けれど、若い女性たちは、遠慮する事なく自由気ままに宿で過ごす時間をうまく楽しんでくれるし、嬉しいことに私にも馴染んでくれるので、実質的な違和感というのは、まるで無い。

以前のコラムにも書いたが、一人旅と言う環境、年齢差やしがらみの無さも手伝ってか、楽しく話しているうちに、いつしか仕事の悩みや人生相談的なことに発展することも多い。

まあ、脳みそはだんだん古ぼけてきてはいるが、長く生きてきたという経験だけはあるので、結局は自分の心の有りようがすべて・・・というような私のアドバイスを素直に受け止めてくれたりもする。

宿のある土佐泊・小鳴門海峡の長閑な風景

そういえば最近読んだ記事で、60代にピークを迎える能力があることを知った。情報処理のスピードのような能力は、50代まで向上するが、その後は急激に低下する。しかし、年をとってからは、ものをよく知っていたり、ひとつのことにじっくり取り組んだり、豊かな経験から若い人たちにアドバイスをしたりすることが得意になるというのだ。

こういう能力を「結晶性知能」というらしい。

結晶性知能とは、人生における経験や学習などから獲得していく能力で、言語能力、理解力、洞察力、社会適応力などにあたる。こちらは年をとるに従いむしろ上昇し、60代にピークを迎えるとのこと。歳を重ねることも、捨てたものでは無いんですね。

・・・だからというわけでは無いけれど、
いい大人にこそ、一人旅に出かけることで、いろんな人と交流し、いろんな発見をして欲しいなと思います。家族や仕事の事など、頭の中に先立つものはあるだろうけど、自分を後まわしにしないで最優先にしたほうが、結果的に家族も幸せになるような気がします。

すぐ近所の造船所跡の風景

家でイライラしてるのが一番ダメで、それだと家族もかわいそうだし、仕事だって機嫌よくできなくなったり。歳をとると、鬱々としたり、機嫌が悪くなってしまうことが増えてくるもの・・・、だからこそ、自分がごきげんでいることがなにより大事で、それを最優先にしたほうがうまくいくと思うのです。

旅に出たからといって何をするでもなく、昆布を干しているおじいちゃんを見て、「ああ、いろんな人生があるな、いいな」ってやさしい気持ちになったりする、ただそれだけでいい、そういう心持ちこそが何よりの心の栄養になると思うのです。

大人たちよ、一人旅に出てみませんか?


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