2拠点生活のススメ|第76回|耳鳴りと付き合う方法
2年ほど前に突発性難聴を発症したことがある。
ある朝起きると、近くで鳴っているはずの音が、やけに遠くで鳴っているように感じた。例えて言うなら、まるで海の底で音を聞いているかのよう。
すぐに通院したおかげで、今では日常生活に支障が無い程度に回復したのだが、その後、キーンという耳鳴りが付きまとうようになった。最初は慣れないので、そのキーンという音が気になって聴きにいってしまい、余計にイライラしていた。
しかし、人間不思議なもので、意識を違うところに持って行くと、音は鳴ってるんだろうけど、気にならなくすることもできる。なかなか自分でコントロールするというのは難しいが、他のことに意識を集中すれば音はマシになる。
ようは、意識しなければ、気にならないことを学んだ。
だから私の耳鳴りも、日常仕事をしたり、出かけたりしている間はほとんど気にならない。ただ、本を読もうと落ち着いて座ったり、ベッドに入ってさあ寝ようかと思うと、突如として復活する。
静かで心落ち着くと、耳鳴りが避けられなくなるというジレンマを抱えることになった。
ところが、毎朝座禅をするようになって、そのジレンマが消えつつある。
座禅は静かな場所で心落ち着けるのが目的なので、当然耳鳴りがやってくる。へたに耳鳴りに意識を集中したりすると、どんどんそのキーン音はボリュームアップするので、例えば鳥の声だったり、時計の音だったり、他の音を聞くように意識を向けるとボリュームは下がっていく。
しかし、いつまでも意識が出しゃばっていると、座禅にならない。
そんな日々を繰り返していく中で、座禅中は耳鳴りというか、感覚も意識も切り離すということが少しずつできるようになってきた。
どうやって?・・・と言われてもなかなか説明できないが、座禅を続けていく中で、感覚も意識もあるがままでほったらかしておき、脳を通さないという感じだろうか。
これはなかなかの強みで、耳鳴りが酷く、夜ベッドに入っても気になって仕方ないというときでも、なんとか眠れるようになってきた。
しかし、そんな偉そうなことを言いながら、こうして耳鳴りについて記事を書いていると、さっきから耳鳴りが大きくなってきた。自分では意識しているつもりはないのだが、知らぬ間に意識してるんだろうな。
そう思うと、ほんと感覚と意識の関係性は、一筋縄ではいかないようだ。
逆に、感覚を研ぎ澄まし、最大限意識させることで、人間は凄いパワーを発揮する。
一流の指揮者は何十種類の音を聞き分けることができると言うし、精密部品を作る研磨職人は、指先で3ミクロンの違いを感じることができるという、3ミクロンというと1ミリの1000分の1という単位。これは機械では削れない単位らしい。
人間の能力って、エゲツないな。
感覚を極限まで研ぎ澄まさないようにできれば、耳鳴りはまったく気にならなくなるのかな。だれかそのやり方を教えてくれないだろうか・・・。
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ちなみに、耳鳴り対処アプリというのを見つけたので紹介しておきます。
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