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2拠点生活のススメ|第229回|前世は饑餓!?

こどもの頃に友人宅に遊びに行った時のこと、お菓子を出してくれたお爺さんが繁々と私の顔を見て、君はいいところにホクロがあるねと言いだした。

「口の周りに立派なホクロの有る人は、一生食べるのに困らないよ、良かったね。」

あまりに神妙な顔で繁々と私の顔を見つめるので、お爺さんには何かが見えているのだろうかと少し恐くなったこともあり、今でも良く覚えている。

確かに60年近く生きてきて、食べることに困ったことは無いけれど、特にお金持ちになった訳でも無く、かといって食べることに困窮するほど稼げないということもなく、どちらかというと人並みの食生活を続けてきたという感じ。

あえて「喰うに困らなくて良かった」と思えるような出来事があったわけでも無い。あのお爺さんは、そんなことを何故わざわざ神妙な顔で言ったのだろうか?

思い返してみると、食べると言うことに対して義務感というか責任感みたいなものを感じて生きてきた気がする。例えば、何かに熱中してご飯を食べるのを忘れそうとか、仕事が忙しくてご飯を食べる暇も無いとかといった状況でも、ちゃんとご飯のことを考えて、大急ぎでかき込んだり、コンビニでパンを買って備えておいたりといった頭が働いていたように思う。

旅行やキャンプなどに出かけた時も、夜にお腹が空くかもと保険で何か食べるものを買って置いたりして、「保険って何?」と妻に呆れられることもしばしば。

今日も、遅い朝食を取った後、炊飯器にご飯が無いことに気付き、炊いておいた方がいいんじゃないと妻に言うと、もうお昼のこと考えてるのと呆れられた。お腹が空いたからご飯のことを考えるというより、常に先々とご飯に対する対処を考えておくという習慣が付いているようだ。

そんな私を見て妻が「食いしん坊と言うより、前世に饑餓で苦しんでたんじゃない」と言い出して、思わず吹き出してしまった。前世で饑餓か・・・なるほど言い得て妙だな、それなら説明が付く・・・。

別にグルメというほど、食にうるさいわけでも無く、その日の気分で好きなモノを食べられれば満足というタイプなのだが、言われてみるとその準備や計画に余念が無いのかも知れないな。

前世は、餌にありつけない野良猫だったのか、それとも何かの病気でご飯を食べられなかった人物だったのだろうか。

常に先々とご飯のことを考えてしまうクセ。

友人のお爺さんが言ってたのは、このことだったのかも知れないな・・・(笑)。

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