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2拠点生活のススメ|第237回|クズ化する人間

社会学者・宮台真司さんがある対談で、現代人は感情が劣化し、いわゆるクズ化していると話しているのを聞いて、妙なシンパシーを感じ、興味を持った。

宮台さんの言葉を借りると人間のクズ化とは、言葉の自動機械/法の奴隷/損得マシンになることだという。


「言葉の自動機械」とは、自分で考えるのではなく、言葉・概念の持つシステムや体系にそのまま乗っかることで、コンピュータープログラムように自動的に動くだけになってしまう人間の心のメカニズムのこと。
そのようになると、人間は自分の感情の働きを無視し、感情と繋がらなくなってしまうので、他人との共感もできず、絆を築くことが困難になるという。

そして「法の奴隷」とは、端的に言えば、常に法に代表される社会に閉じ込められてしまっていて、例え友情や愛のためといった個人的にとても大切なことでも法を破れない。法の内側、言葉の内側にだけ正しさがあると思っている人間、つまり本当に大切なことが分からなくなっている人を差している。

そして「損得マシーン」とは、他者との共感ができないため、すべてをモノとして見て、そこで自分が利益を得ることしか考えない人、また自分の立場や地位が少しでも高くなることのみを考え、自分より高い立場の人を忖度する人を言う。


本来人が持っていた「正しさの観念」や「道徳性」よりも、「コスパ」「損得勘定」「リスク回避」が行動の基準となり、感情が著しく劣化した状態。これって人のことだけでなく、企業や行政のサービスにも言える気がするな。

「クズ」という言葉は、ちょっと過激だけど、宮台さんの言わんとすることは痛いほど分かる。今の社会の中で、ある種孤立するような言葉に出来ない違和感を感じてきたが、その理由がここに有ったんだと気づいた。

また宮台さんは、こんなことも言っている

日本人のダメさを象徴するのが「安心厨」ですね。安心と言う言葉は英語にはないんです。あるのは、"feel secure , easy , safe"。これは何故かというと、安心と安全は対立するからです。特に不確定な状況下では、下手に安心すれば安全がないがしろになるんですね。ところが、基本、日本では安心厨=ゼロリスク野郎が多くて、自分が心で安心したいためだけに自分にとって嫌なものを攻撃したり、政府に全面的に依存したりする。

宮台さんのいう「安心厨」とは、簡単にいえば、「現実を見ずに自分の心の安定だけを追い求める状態」だということ。でもコレって、確かに日本人は陥りやすいのかも、これもまさに感情の劣化、クズへの第一歩かも知れないな。


そういう意味では、自己肯定感は高くないけど、案外自分は「まとも」なのかも。

大切なのは、やっぱり自分の主体性、そこは間違ってないんだな。

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