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大切なことは、旅が教えてくれる

大きな台風が近づきつつある。

とりあえず、宿に閉じ込められてもいいように備蓄食料の買い出しと、懐中電灯を手に入れておくことにした。ネットで気象庁のLIVE会見をみたり、地域のハザードマップを確かめたり、宿をやっている以上、自分だけのことでは無いという意識が芽生えてきた。

先日の日向灘の地震の時もそうだったが、こうした災害リスクがあると予約は入らないし、例え入っていたとしてもキャンセルになることも。自然の脅威が宿の運営に大きな影響を及ぼす、考えてみれば当たり前のことなんだが・・・。

ただ、NOMAyadoラジオで宿泊されたお客様に旅の思い出を伺っていると、案外旅先で酷い目にあったなど、ハプニングを楽しげにお話しされる方がとても多い。そういう意味では、思いがけないことが起きるというのも、旅の醍醐味のひとつなのかもしれない。

旅は、単なるエンターテイメントなんかじゃない・・・。

旅先で出会った人、見たもの触れたもの、食べたもの、そんな一つ一つがその後の人生を大きく左右した、そんなお客様のお話を伺うことも多い。「可愛い子には旅をさせろ」という諺があるように、旅は人としての成長を促すものなのだ。

今も心に焼き付いている、インド・バラナシの風景

考えてみれば自分自身、二十歳の頃にバックパックで海外を巡った経験が、今の自分を形作っている。情報に振り回されることなく、自分の価値観を常に物差しとする。賞味期限より、自分の臭覚を信じる(笑)。
自分の心が何に反応するのか、何が自分にとっての価値なのか、安全か危険かといった危機管理も含め、旅に教えられたことがたくさんある。

そんな自分が今、旅を支える宿をやっていることは実に感慨深い・・・。

実は、台風が近づく中にも関わらず、昨夜は1組の若いカップルが宿泊してくれていた。付き合ってもう7年になるというが、未だにお互いを思いやる気持ちが言葉の端々に溢れており、こちらまで初々しい気持ちになった。

そんな夜のこと、突然2人の部屋から大きな叫び声と走り回る音が響いた。
ひょっとして、何か嫌な虫でも出たのでは・・・深夜にカップルの部屋を訪ねるのもどうかと悩んだのだが、やはり心配になって、殺虫剤片手に恐る恐る部屋をノックしてみた。

するとドアの向こうから、「歓喜の叫びです」という興奮した声が・・・。

?????

よく事情が飲み込めないまま、それならまあいいか・・・と引き返す。
翌朝になって深夜の訪問を詫びると、なんとプロポーズが行われていたとのこと。そりゃ、大きな声も出るわ。歓喜のあまり、叫びながら走り回る彼女の姿が、ありありと浮かび上がってきた。

NOMAyadoをプロポーズの場所に選んでくれるなんて、宿主としてこんなに嬉しいことは無い。きっと2人にとって一生忘れられない旅になるんだろうな。

旅って、やっぱりいいもんだ。


フラワーアーティストのpètaleさんと造形作家で画家のLand Watanabeさんの
展覧会をNOMAyadoで開催します。

NOMAyado special exhibition 海を蒔く
2024.9.14 sat ~ 10.14 mon open 10:00~15:00
(オープン日時はNOMAyadoインスタグラムでご確認の上、ご来場ください)

詳しくはコチラから

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