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-パリ五輪現地観戦レポート-体操男子決勝(2024.7.29)

午前中、ハンドボールの試合を観戦後、一旦ホテルでクールダウン。
滞在中最も陽射しが強く、気温も上がるパリ。
ただ、東京ほどの蒸し暑さはありませんが。

ホテルの人によると明日は40度近くになるという。
フランスもなかなか大変です。

パリオリンピックはハシゴ観戦続きで、観光する間のないほど。
せめてセーヌ川だけでも見ておきたいと思い、片道約40分ほど街ブラしながら最後の現地観戦となる男子体操決勝が行われるArena Bercy(ベルシー)に向かいました。

途中PLACE D’ITALIEという円形の広場の周囲を囲む道路に8本の放射状にのびる道路から車や自転車がどんどん流れ込む場所に来ました。

新しいビルなどもあり、新旧混在の場所。
さまざま建ち並ぶレストランは、人で賑わっていました。

PLACE D’ITALIE
円形広場の周りに道路が囲みます

そしていよいよセーヌ川へ。

五輪期間中はセーヌ側にかかる橋を通過する車両や人は限られているようで、私はこの日の観戦者であったため、警官にチケットを見せ通ることができました。

きれいな川ではないのですが、きれいに見えてしまうのが周りの風景がそうさせるのでしょうか。

セーヌ川
ようやくパリらしい景色に出会えました

対岸に着くと、いよいよArena Berryが見えてきます。


●Arena Bercyは約20000人収容可能な室内競技場

特徴的なのは、建物の周囲が芝で覆われていること。

会場に入るととても涼しげな風が吹き抜け、歩いて吹き出た汗が収まってきました。

セーヌ川の上に架かる橋
人がいない橋を通り会場へ向かいます
体操男子団体会場アレーナ・ベルシー
芝生で覆われているのが特徴

今回購入したチケットはカテゴリー1.
確かに前方の席ではあったのですが、なぜか私の右手は報道向けに一段上がったスペースが設置され、なんといわゆる「見切れ席」となっていました。

そのため、吊輪はほんの少し、あん馬は全くみることができない場所で、後方の方も私より全体を見ることができない場所が多かったと思います。

どうも各国の報道関係者などが非番で観にこれる場所として確保していたようです。

報道関係者が集まるエリア
競技開始前の驚異的な演目!
人間の力って凄いですね

私の前の席にいらした方は日本のアナウンサー。
おひとりでご覧になっていたので日本の平行棒あたりからお話をすることになりました。(非番だったということもありお名前は控えます)
「最後の鉄棒ではジーンときてしまいましたね。落下した中国選手の様子も気になりますけど。いろいろあって涙が出てきてしまいました」などと話されていました。

しかし、このエリア、各国いろいろな方がいまして、
・隣の方は女性2人組。目の前で鉄棒くるくる回ってる選手背景にしたセルフィー撮りと電話かけまくり
・前方には完全に私の方にカメラと顔を向け、試合会場を背にセルフィーを撮りまくるムッシュ
・通路でサボって個人観戦しちゃう会場案内スタッフ
・報道スタッフだが、席を確保していなかったのか、空いている席に強引に座り込み、後から来たチケットホルダーと揉めてるムッシュ

今回の座席エリアはカオスでした。

●試合は日本男子団体、奇跡の大逆転金メダル!感動した滞在最終日

◆第1ローテ 床
実はこの床も見切れ席で半分くらいしか見ることができず、モヤモヤが残った種目なのですが、会場のモニターとあわせて観戦できたので状況は把握できました。

ここは確実に得点を積み重ね演技を終了。
中国を上回る。

◆第2ローテ あん馬
こちらは完全に私の席からは見ることができず、会場モニターを頼りに観戦。

橋本選手の演技は冒頭調子良い入りだったが、途中で引っかかりがありバランスを崩し落下。
この演技の点数が伸びず、中国に対しての貯金がなくなり合計点で逆転される。

◆第3ローテ 吊り輪
日本は強者がいない種目。

中国はパワー系の吊り輪をしっかり決め、ここで日本にかなりの点差をつける。
3ポイント近くを離され、金メダル獲得は厳しくなってきたと覚悟を決め始めました。

◆第4ローテ 跳馬
日本はミスのない演技が続く。
追走するチャンスではあったが、谷川選手の点数が伸びず。
おそらく用意のあった難易度が高い技が入っていなかったためだと思われ、大きな挽回はできなかった。

この種目は中国を上回ったが、別のローテーションで回っているアメリカの勢いもあり、順位が上がらない。

◆第5ローテ 平行棒
日本の平行棒は着地含めてかなりうまくまとまっていたが、中国はさらにその上をいく完成度でさらにポイントを離されてしまう。
着地は中国に乱れはあったが、技の完成度は日本を上回ってここで決める、という雰囲気がありました。

会場では中国の金メダルを確信する雰囲気が出てくる。
「加油!」の声が次第に大きく。
また、アメリカ選手の好演技が続き、「USA!」の声も高まる。

◆最終第6ローテ 鉄棒
日本は追走するアメリカの好演技が続き、点数接近。
中国は日本と3点以上の大差があり、ミスのない演技が続けば優勝確定。
メダル死守へ動く日本。

日本チームは演技前円陣を組んで気合をいれていました。

<日本チーム>
しっかり演技を行なっていこうという雰囲気は持続。

1番手は杉野選手。
今大会演技が大変安定していて、演技後会場へ向けてのガッツポーズやチームを鼓舞する雰囲気づくりも良かった選手。
高難度の離れ技を何度も大一番でしっかり決め、しっかり点数を稼ぎました。

2番手は岡選手。
若手のホープ。こういった極度に緊張する場面で堂々と美しい演技。
しっかり14点台を叩き出しました。

最終3番手はエース橋本選手。
ケガなどで本調子ではなかった様子でしたが、この最終局面でしっかり演技を行い、本人のベストではなかったかもしれませんが着地も少しの1歩で抑え満足な表情で14点台を確保。
あとは、中国最終選手の結果を待つのみです。

最終演技者 橋本選手
マット前で集中!
気合いを入れる日本男子選手たち

<中国チーム>
普通に演技すれば金という中、最終種目の緊張感が大きかったとしか言いようがないのですが。

1番手選手は演技自体はそつなくこなせていた中、最後の着地が大きく乱れてしまい、まさかの13点台。

2番手は若手長身中国選手。
長身を生かしたダイナミックな演技でしたが、途中でバーをつかめず落下。
私の目の前での落下に思わず声が出てしまいました。
しかし、この時点でまとめ上げれば金は濃厚。
再演技からさらにまさかの落下。
これには会場が一瞬シーンとなってしまいました。
会場からは最後まで演技を続ける選手への大きな拍手。
大一番のプレッシャー、点数は確保できていても練習通りに演技するという難しさ。
体操の奥深さを知りました。

中国チーム落下選手の結果が出て呆然とする
最終演技者 橋本選手気合いの演技へ
日本金メダル決定の瞬間
報道陣が囲む
最終結果!日本大逆転金メダル

3番手、先に日本は演技終了していた中、最終演技者はきっちり演技をまとめたものの自身の点数が出る前から負けを悟っていたようでした。

そして、最終演技者の点数が出て、日本の大逆転金メダル確定。
日本代表選手の皆さん、おめでとうございます!

●表彰式

日本チームとしてはあん馬あたりから苦しい展開にはなりましたが、個人個人がやれるべきことをやり、最後はご褒美となった金メダル獲得。

この日は橋本選手の声よりも、萱選手や杉野選手が演技後に会場を巻き込むアクションをしたり、個人としても声を出してチームを鼓舞する役割を果たしていたのが印象的。
会場で見ているとその熱が伝わってきました。
劣勢になってもその姿勢は変わらず。
チームジャパンの精神的支柱となった2人の動きは演技とともに賞賛されるべきもの。

中国選手は落胆がありながら表彰台では姿勢を正して表彰式に向かっていたのが印象的。

大声で君が代を皆さんと斉唱。
滞在最終日の最後の競技で個人的には最高のフィナーレを迎えることができました。

金メダル確定後の日本代表男子 場内へ挨拶
君が代斉唱
ジーンときました

まだまだパリ五輪は続きます。
帰国してからもテレビを通して応援を続けていきます。

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