仮想通貨におけるファンダメンタルズ分析について解説します
ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析。通常、両者は分けて語られます。
しかし、その認識は完全な間違いです。
長年勝ち続けている投資家達は、ファンダメンタルズ分析もテクニカル分析も両方使いこなしています。
今回は、投資歴8年のこの私が、仮想通貨におけるファンダメンタル分析の基本触れつつ、テクニカル分析との絡め方についても徹底解説します。
この記事を読んだ後のあなたは、ワンランク上の仮想通貨投資家になっていることでしょう。ぜひ最後まで読んでください。
仮想通貨におけるファンダメンタルズ分析とは何か?
ファンダメンタルズ分析のFundamentals(ファンダメンタルズ)とは、日本語で「経済的基礎要因」を指します。
「経済的基礎要因」の言葉の通り、景気動向や財務状況などを元に、その投資商品の本質的な価値に焦点を当てて、将来の価格を予測します。
株式投資であれば、投資先企業の貸借対照表や損益計算書などを見て財務分析をして、その投資先企業の「基礎要因」を判断します。
為替であれば、投資先の国(通貨ペア)のGDPや借金の額、金融政策や地政学的リスクなど、大きな枠組みで「基礎要因」を判断します。
仮想通貨におけるファンダメンタルズは少し特殊です。ちょうど「株と為替のハイブリット」と言えます。
仮想通貨の開発元企業の活動内容や財務状況
グローバル経済が与える、仮想通貨への影響
この両者を考慮して、価格の動向を予測します。これが仮想通貨におけるファンダメンタルズ分析です。
仮想通貨におけるファンダメンタルズ分析のメリット
仮想通貨におけるファンダメンタルズ分析のメリットは、テクニカル分析だけでは見えてこない要因を把握できることです。
テクニカル分析では、投資家達の意識が集る集団心理が働く場所を特定できます。
その集団心理が可視化されたのが、ダブルボトムのようなプライスパターンや三役好転のようなインジケーターのサインです。
ところが、その集団心理が全く働かない局面が相場においては存在します。例えば以下のチャート画面を見てください。
こちらは「米国の景気が持ち直した」といったニュースのあとのEUR/USDの動きに連動した、BTC/USDのチャートです。
私が米国のニュースを知らずに、EUR/USDの為替相場のチャートを見ていなければ、全く理解不能な価格の動きです。
このように、テクニカル分析だけでは説明できない局面が相場には多々あり、ファンダメンタルズ分析を使うことで、その要因が見えてくるのです。
仮想通貨におけるファンダメンタルズ分析の限界
ファンダメンタルズ分析には、限界も存在します。
それは「プロ達が作り出した後の波」にしか乗れないことです
私達アマチュア投資家は、常に後手後手の立場です。
大きな価格の動きがあっても「ああ……、プロが大量に売ったんだな」と後からでしか、価格の動きの理由が分からないのが現実です。
下の画像を見てください。
トレンドの初期に形成された大きなロウソク足でエントリーできれば大儲けです。
ただし、あの大きなロウソク足を作りだしたのはプロ達であって、私達アマチュアは、そのタイミングを事前に知ることは、ほとんどありません。
世の中には高性能な売買シグナルが売られています。
しかし、それらを買ったとしても最も利益の大きい「プロ達が作り出す初期の大きなロウソク足の動き」には乗ることはできません。
どんなに分析を重ねても永遠に「プロの作り出した後の波」にしか乗れないこと。それが、ファンダメンタルズ分析の限界です。
仮想通貨におけるファンダメンタルズ分析で知っておきたいワード
仮想通貨でファンダメンタル分析を行う際は、覚えておきたいワードがいくつかあります。
半減期
バーン(焼却)
FUD
順番に解説します。
半減期
半減期とは、仮想通貨のマイニング報酬が半分になるタイミングのことを指します。
仮想通貨はマイニングされ続けると、市場への供給量が多くなります。そうなると仮想通貨の希少性が無くなり価格は下落をします。
半減期は、仮想通貨のマイニングをやるマイナー(採掘者)にとっては、全く美味しい話ではありません。
しかし、仮想通貨の希少性を保ち、価格の安定性を保ち、投資家達を保護するために、半減期は非常に重要なことなのです。
例えばビットコインの半減期は、およそ4年に一度の周期で訪れます。
半減期の前後は、ビットコインの価格が大きく変動しやすいという傾向があります。
ビットコインだけではなく、ライトコインやビットコインキャッシュなども半減期は存在します。
半減期の近い時期は、しっかりと価格の動きを注視すべきです。
バーン(焼却)
バーン(焼却)とは、すでに発行し市場に流通している仮想通貨の枚数を減らす行為のことを意味します。
バーンは半減期と同じように、通貨の供給量を減らすことで希少価値を上げ、価格を上昇させるのが目的です。
例えばアルトコインで、開発企業に将来性を感じ、長期でガチホールドをしている投資家がいたとします。
彼らからしてみれば、アルトコインの供給量が増えて価格が下落するのは、穏やかな話ではりません。
いくら開発企業に将来性を感じていたとしても、価格が下落をしてしまえば、ホールドを続ける気はなくなります。
仮想通貨の開発企業において、会社に将来性を感じ長期でガチホールドをしてくれる投資家は1番守りたい「お客様」なのです。
それが理由で、供給過多が懸念される仮想通貨は、定期的にバーン(焼却)をすることがあるのです。
バーンも価格に大きな影響を与えるので、投資家としては常に注視しておくべきでしょう。
FUD
FUDとは、Fear(恐怖)、Uncertainty(不安)、Doubt(疑惑)の頭文字をとった造語です。
簡単に言うと「デマ」や「ネガティブ・キャンペーン」のような意味です。
あえて投資家達の感情を煽り、価格を操作しようとする人達がいます。
例えば2018年のコインチェックの事件が有名です。当時コインチェックはハッキング攻撃を受け、約580億円の仮想通貨が盗まれました。
その際に「コインチェックは破綻するから、預けた分の金は戻ってこないぞ」といった噂が流れました。
しかし、蓋を開けてみればコインチェックは、しっかりと保証をしましたし、破綻もしませんでした。
このように「デマ」や「ネガティブキャンペーン」によって、価格を動かそうとする人はたくさんいます。
相場は投資家達の集団心理で形成されています。
混乱期こそ冷静でいる。混乱期だからこそ、調査と分析を徹底的に行う。そんな能力が投資家には求められるのです。
仮想通貨におけるファンダメンタルズ分析で、役に立つ情報ツール
ファンダメンタルズ分析をするためには、以下の情報を役に立ちます。
行政機関
仮想通貨取引所
仮想通貨開発企業
ニュースメディア
オンチェーンデータ
各国の経済指標
個別に解説します。
行政機関
政府・行政機関が発表する仮想通貨関係の情報は、常にウォッチする必要があります。
金融庁の発表など国内の政府情報も注目すべきですが、特に影響力があるのがアメリカや中国などの発表です。
アメリカは世界金融の中心地ですし、中国は仮想通貨をリードする大国です。この二つの国の発表は、特に注視する必要があるでしょう。
仮想通貨取引所
新規上場や上場廃止に関する情報は、価格に大きな影響を与えます。
ニュース等でその情報はゲットできますが、1番確実なのは仮想通貨取引所からの情報です。
定期的に仮想通貨取引所からの情報はチェックしておくべきでしょう。
仮想通貨開発企業
仮想通貨を開発してる企業の情報は重要です。
株と同じように、その開発企業の財務情報は仮想通貨の本質的な価値を評価する上で重要です。
また技術アップデートの情報や業務提携の情報などは価格に大きく影響を与えます。
TwitterやFacebookなどで、仮想通貨開発企業をフォローしておくと情報を追うのに便利です。
ニュースメディア
新聞やニュースサイトなどのメディア媒体は貴重な情報源です。
政府や仮想通貨取引所の情報を自分で収集するのが確実ですが、全部を1人でやるのには限度があります。
取材記者を雇っているメディアの力は上手く利用すべきです。
特に金融専門のメディア媒体はマーケットで影響のありそうなニュースをピンポイントで流してくれるので、これらを上手く利用すると良いでしょう。
私のオススメはブルームバーグとロイターです。ブルームバーグは金融専門のメディアとして昔から有名です。
ロイターは世界最大の国際通信社です。実は新聞社は通信社から記事を買って、それで掲載してるケースが多々あります。
通信社が大量の取材記者を抱えているからです。日本においては外国のニュースなどを独自に購入したり外国に特派員を派遣する費用を負担できない新聞社を支えるものとして通信社が生まれた経緯があります。
日本では一般的に「新聞社の情報は間違いない」と言われますが、新聞社に記事を売っている通信社の情報を見ていれば、だいたいのニュースはカバーすることが可能です。
それが世界最大の国際通信社ロイターともなると、ほぼ重要なニュースはカバーできる理屈になります。
ちなみに通信社のニュースを見るのにお金がかかることはありません。無料です。
オンチェーンデータ
オンチェーンデータとは、ブロックチェーンに保存されるトランザクションのデータを集計したものです。
ブロックチェーンはトランザクションのデータが永遠に記録されます。
そのため「どのアドレスがどれ程の仮想通貨を保有しているか?」などという事が、オンチェーンデータを見ると明らかになります。
注目すべきオンチェンデータは、以下の通りです。
Exchange inflows(取引所への流入量)
Whale(クジラ)
Active Addresses(アクティブアドレス)
順番に解説します。
以上、オンチェーンデータを見る上で、特に重要なデータについて紹介しました。
他にもLiquidity(流動性)など、見るべきモノはたくさんあります。ただ、あまりにも細かい分析は、逆に投資判断を複雑なモノにします。
そのため、オンチェーンデータに関しては、自身の投資手法に合わせて見るデータを増やしたり削ったりするのが良いです。
各国の経済指標
FXなどで利用される各国の経済指標。この影響も仮想通貨は受けます。
特に仮想通貨FXでBTC/USDやETH/USDなどと、米ドルとペアを組むので、米国の経済指標の影響は受けやすいです。
米雇用統計やFOMCの声明などは特に注視すべき経済指標として有名です。
仮想通貨FXの経済指標に関しては、日本ではまだ扱っている通貨ペアも少ないことから、あまり便利なサービスがありません。
そのため、FXトレードで利用される経済指標紹介サービスなどを利用して、その重要度に応じてポジションの有無を判断するのが良いでしょう。
こちらは、経済指標と仮想通貨のイベントを同時に閲覧できるサービスです。
好き嫌いでは判断してはいけない、自分の投資手法
テクニカル派。ファンダメンタル派。
まるで性格診断のように、自分に合った投資手法をレクチャーする、投資の入門雑誌や入門サイトがあります。
しかし、あのようなやり方で、投資手法を決められるほど、相場はシンプルなものではありません。
それは「見ているチャートのサイクルが大きくなるほど、考慮すべきファンダメンタルズの要因も大きくなること」と関係があります。
以下で、5分足チャートのトレンドと、日足チャートのトレンドを並べてみます。
日足チャートの赤いラインが、5分足チャートの部分です。
日足チャートを見れば、5分足チャートのトレンドが、いかに局所的なのか分かると思います。
5分足チャートを使うデイトレーダーが手仕舞いの判断をする場面で、スイングトレーダーはホールドの判断をするのです。
いくら5分足目線でトレンドの終わりに見えても、そこで売ってしまえば、スイングトレーダーにとっては、失敗のトレードになります。
これがトレーダーではなく、もっと長期でホールドする長期投資家なら、なおのこと考慮すべきファンダメンタルズも増えていくのです。
相場において、小さくて速い展開を読むのが上手い人もいれば、長期的な相場の流れが読むのが上手い人もいます。
長期
短期
テクニカル
ファンダメンタルズ
全ての投資手法を試さなければ「何が自分にマッチしているのか?」不明な場合が多いです。
ちなにみ私は、1番最初の投資は長期投資です。長年「短期売買のテクニカル分析をやる連中は数学をしらないカモだ」と本気で思っていました。
でも、短期売買をしっかりと学んで実践してからは、180度考え方が変わり、今では1分足で分析をするスキャルパーです。
食わず嫌いは本当に、投資家としての成長を阻害します。それくらい、色々な可能性があり、相場は複雑性に富んでいるのです。
まとめ
以上、仮想通貨におけるファンダメンタルズ分析について解説しました。
ファンダメンタルズ分析に関しては今、私が紹介した以上に奥の深い世界です。
日本よりも活発な海外の仮想通貨コミュニティでも、個人投資家達がデータを引っ張ってきて日々、白熱した議論を展開しています。
ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析は、ぜひ両方学んでください。そして、ネットでもリアルでも良いので、他の投資家と議論をしてください。
そうすれば両者の強みや弱みが可視化され「自分に最も適した使い方」が見えてきます。ぜひ試してみてください。
仮想通貨におけるテクニカル分析のショートの手法については、こちらに書いているので気になる人は、是非チェックしてみてください。
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