仮想通貨におけるショート(空売り)とは何か?
投資と言えば基本的には「安く買って高値で売ることで儲けるもの」このように認識してる人が多いと思います。
しかし、ショート(空売り)で儲けることもできるのです。「売ることで儲ける」投資初心者の方には想像しにくい事だと思います。
今回の記事では投資歴8年のこの私が、仮想通貨におけるショート(空売り)について、説明してみたいと思います。
仮想通貨におけるショート(空売り)は証拠金取引における用語
「安く買って高値で売ることで儲ける」これは現物取引における考え方です。ロング(買い)とショート(空売り)とは証拠金取引における用語です。
証拠金取引は新規注文の際に必要証拠金を支払う代わりに 「現時点の仮想通貨と決済時の仮想通貨の差額を貰える権利」と 「買い戻さなければいけない義務」 を同時に注文します。
決済時にその権利と義務を行使するのです。
要するに架空の仮想通貨を持っていると仮定して権利だけを売買してるんですね。
これを差金決済と言います。
取引の開始時点では実際の通貨は動かさず、約定時の結果だけを反映させる取引のことです。
取引の結果で生じた、差額の利益や損失分だけのお金を移動させます。これが仮想通貨FXにおいて、ショート(空売り)で儲けることができる仕組みです。
仮想通貨におけるショート(空売り)のメリット
仮想通貨でショート(空売り)ができるとは、いったいどのようなメリットがあるのでしょうか?いくつかあるので、ご紹介したいと思います。
上昇相場ではなく、下降相場でも儲けることができる
現物取引は上昇相場でないと儲けることができません。常に買い注文をした仮想通貨の価格が上昇することに期待をかけないといけません。
しかし、証拠金取引をする人は、売りからのエントリーも可能なので下落相場でも儲けることができます。
最も有名な空売り劇は1992年著名投資家ジョージ・ソロス氏による、クォンタム・ファンドのポンドの空売り劇です。
当時のイギリス政府の為替介入に対抗して、ポンドを空売りし15億ドルもの利益を得たと言われています。
またマネー・ショートと言う映画があります。リーマンショックによる世界経済の破綻を事前に察知して、空売りを仕掛けた投資家達も影で存在しているのです。
技術を愛しビジネスに真剣に向き合っている、技術者や起業家の方などには嫌われるかもしれませんが、その投資商品がオワコンになることに賭けて儲けることが可能なのも相場の魅力でもあったりします。
レバレッジによって、小額で大きな金額の取引が可能
現物取引の場合、例えば30万円の資本金ならレバレッジの無い時は30万円分までの取引しかできません。
しかし、Leverage(レバレッジ)が日本語で、『てこの原理』の意味があるように、レバレッジ取引ではその30万円を証拠金としてレバレッジの倍率分の取引が可能になります。
先の30万円の証拠金で日本の2倍のレバレッジを例に取ると、1BTCあたり約100万円だとして60万円の資金で1BTC分の取引ができる計算になります。
これが25倍だと30万円の証拠金で750万円まで。100倍だと3000万円までの取引が、証拠金30万円で可能になります。
もちろんレバレッジに関しては良い事ばかりではありません。レバレッジを高くすると、それだけハイリスクなトレードになります。
利益は大きくなりますが損失も大きくなるんですね。なので相場にまだ不慣れな初心者の方は国内のレバレッジ2倍の中での取引から、まずはスタートすべきだと思います。
両建てによる、リスクヘッジができる
現物取引では相場が上昇しないと儲けることができません。つまり下落をしていると損失を被るわけです。
しかし、証拠金取引だとロングもショートも可能なので、両建てをすることでロングで損失が出ていても、ショートポジションで損失を相殺することが可能です。
両建ての手法は十分な研究と検証が必要なのですが、単純な話『ロングとショート、両方のポジションを最初に保有しておいて、大きく動いた方だけのポジションをそのまま保有して利益を伸ばして、反対方向のポジションは損切り』なんて手法もアリです。
両建ては相場に慣れていない初心者の方には難しいので、国内では禁止にしている業者も多いのですが、海外業者だとOKにしている業者もあるので、気になる人は調べてみると良いと思います。
仮想通貨におけるショート(空売り)のデメリット。特に注意したいこと
ショート(空売り)は証拠金取引であるため、現物取引には無いリスクが存在します。その注意点についていくつか見ていきたいと思います。
追証とロスカットライン
追証(おいしょう)とは、この追加証拠金の略称です。損失により証拠金が一定水準を下回った場合、そのままにしているとロスカットが執行されます。
証拠金取引はレバレッジの関係上、大きく利益を出す可能性もありますが、大きな損失を抱える可能性もあります。
ロスカットとはポジションの含み損が大きくなり損失が一定の水準に達した場合に、これ以上損失が拡大しないように業者側が強制的に決済を行う制度です。
資産が0になるという経験は誰にとってもショックの大きいことです。二度と相場の世界に戻ってこれなくなるほど、ショックを受ける人も出てきます。
ロスカット制度とは投資家の資産が0になる前に傷の浅いうちに強制的に撤退させて、また再起を計ってもらおうといった救済制度なんですね。
業者によって、そのロスカットラインが50%であったり75%だったりするのですが、そのロスカットラインの前にロスカットアラートが通知される仕組みです。
通常はそのロスカットアラートが通知された段階で、追証として証拠金を積み増すことで、継続して取引を行うようにしてもらいます。
相場が乱高下してる時は仕方ありませんが、通常の相場で追証が必要になるのは、既にトレードプランは破綻している可能性が高いので注意が必要です。
逆指値注文(ストップロスオーダー)が常に必要
証拠金取引はレバレッジの関係で、急な相場の乱高下や、ちょっとしたトレードプランの破綻で、簡単に追証が必要になったり強制ロスカットで退場になってしまうことがあります。
なので「ロスカットアラートが鳴る前にトレード毎に自分で強制的に撤退するラインを決めて、機械的に撤退してしまう」といった方法があります。
逆指値注文逆指値注文とは通常の成行注文や指値注文とは逆のことをする注文形態です。
「ここまで価格がいったら決済!」などと利益確定のために使ったり、あるいは「価格が自分の予想に反してここまでいったら撤退!」などとストップロスオーダーなどにも使われます。
それが逆指値注文を利用したストップロスオーダーです。
成行注文や指値注文をした後に『ここまで自分の予想と逆の方向に価格が動いたら決済』といったラインを決めて、そこに価格が差し掛かったらポジションを解消するオーダーを出すのです。
投資の勉強をしていると『論理の積み重ねだ』と思いがちですが、感情に左右されてしまう部分が多々あります。特に負けトレードの時はそれが顕著です。
リアルトレードをしないと、その感覚は想像がしにくいと思いますが、人間は負けている時こそ『あと、もう少し粘れば取り返せるかも……』と言った心理が働いてしまいます。
その時点の相場が荒れていようが、トレード手法が破綻してようがおかまい無しに、『逆転したい』と言った心理が働いてしまうのです。
これは感情の話なので、対処が非常に難しいです。ストップロスオーダーとは、その制御の難しい投資家心理への1つの対処法なのです。
これは世界中の投資家が日々研究をしていることなので、初心者の方は是非調べてみてください。色々な方法があります。
ちなみに、逆指値注文は「ここまで価格が予想通りにいったら決済」といったことにも利用可能です。
投資の格言にもあります通り『頭と尻尾はくれてやれ』です。自分の感情に任せて必要以上に利益を求めずに、しっかりと利益を確保して次に繋げるといった、相場での生存戦略に上手く利用できる注文方法です。
仮想通貨におけるショート(空売り)ができる取引所
ショートとロングとは証拠金取引に使う用語だと書きました。
なのでショート(空売り)をしたい人は、必然的に仮想通貨FXをやっている取引所を選ぶことになります。
いくつか代表的な取引所を紹介します。
DMM Bitcoin
国内の取引所の中では取り扱い銘柄数が多い方です。
日本円だけではなくビットコインやイーサリアムも証拠金として建てることが可能です。
DMM BitcoinはスマホのUIがシンプルで、取り扱っているアルトコインの量も多いことから初心者の方には、とても人気があるようです。
私は完全にPC派なのですが、PC版の取引システムも迷い無く使えるよう設計されていますし、チャートも見やすいので私はオススメの取引所です。
GMOコイン
セキュリティに定評のあるGMOグループの仮想通貨FXです。
ロスカットは証拠金維持率の75%を下回ってからですが、1タップで注文できるスピード注文の機能は有名です。
デイトレーダー達に重宝されているようです。
CryptoGT
CryptoGTは海外業者です。取り扱い通貨も豊富で、レバレッジが500倍までと国内取引所と比べると驚くべき柔軟性です。
また、CryptoGTはゼロカットルールが適用されるので、たとえ突然の相場の乱高下で資産がマイナスになっても借金を背負うことはありません。
さらにFXトレーダーならおなじみの、あのMT5が使えます。自分独自のインジケーターや自動売買システムもMQL5を勉強すれば比較的簡単に導入できます。
MQL5はC++に近い言語です。ちなみにCryptoGTは、きっちり日本語対応しているので、英語に不安のある方でも安心して使えます。
仮想通貨におけるショート(空売り)具体的なやり方
注文方法を選ぶ
取引量(Lot)を入力
レバレッジを入力
証拠金を入力
仮想通貨におけるショート(空売り)のやり方は、基本的には上記の手順を踏みます。
どの仮想通貨取引所を使っても、だいたい共通したやり方です。
細かい部分は使っている仮想通貨取引所の取引ツールによって違うのですが、この基本を理解していれば、どのような取引ツールを使っても対処は可能だと思います。
①注文方法を選ぶ
まずは注文方法を選びましょう。仮想通貨FXにおいて注文方法はいくつも存在します。ここで代表的な注文方法を少し紹介します。
この他もOCO注文やIFDなど、いろいろな注文方法が存在しますが、初心者の方は、まずはこの2つの基本的な注文方法を使いこなせるようになるべきでしょう。
私はデイトレードとスキャルピングをやるので、特に成行注文を多用しています。
スリップページには頭を抱えることが多いですが、短期売買の場合エントリーを考える僅か数分の間に相場の展開が変化してしまうことが多々あります。
この話は、もう少し大きいサイクルで相場分析をしている投資家の方は、そこまでこだわる話でもないかもしれません。
②取引量(Lot)を入力
Lot(ロット)とは取引する通貨量のことです。例えばDMM Bitcoinのビットコイントレードの場合、最小注文単位は0.0001BTCとなっています。
仮に1BTCが100万円の場合、日本円にすると約100円から取引することが可能になります。
この最小Lot数に関しては取引所によっても違いますし、取り扱う通貨によっても違うので、入念にチェックしてください。
証拠金取引においてレバレッジが特に注目されがちですが、Lot(ロット)との関係においても利益と損失は大幅に変わってきます。
なので、初心者の方は特に勉強しておくべき項目です。
③レバレッジを入力
国内業者を使うと固定で2倍なので、レバレッジはあまり触ることが無いと思います。
ただ、海外業者を使うと125倍や500倍など自由にレバレッジを選ぶことができます。
ギャンブル的なトレードをする人の中には、500倍だとかハイレバレッジで一攫千金を狙う人もいます。
ゼロカットルールがある業者なら、最悪資産が0になる程度なのでギャンブラー的に考えるなら、この戦略はある意味有効と言えるのかもしれません。
ただ、自分の資産を守りながら安定的に勝ち星を重ねていくのが目的なのであれば、レバレッジを自由に設定できる業者を使ったとしても、そこまでレバレッジをいじる必要は無いと思います。
レバレッジの設定の仕方次第でも勝率に随分影響をするので、海外業者を使おうと考えている人は特に勉強の必要があると思います。
④証拠金を入力
注文方法を選び、取引量(Lot)やレバレッジを入力、そして最後に証拠金を入力すると、これでやっとショート(空売り)のポジションを持つことができます。
仮想通貨におけるショート(空売り)のタイミングについて
ショート(空売り)のタイミングを掴むのも一筋縄ではいきません。
そのタイミングを掴むために、あらゆる相場分析手法があると言っても過言ではありません。
ただ、ショート(空売り)を成功させるのに、王道的な方法はいくつかあります。
これはレンジ場からネガティブな情報が入り、ブレイクアウトをして下落トレンドに入ったパターンです。
このブレイクアウトからポジションを取れれば大儲けなのですが残念ながらブレイクアウトのタイミングは大口投資家にしか分からないパターンです。
しかし、大きなトレンドが出てから最初に移動平均線付近に戻ってきて、そこが次のエントリー候補になるのは有名な戻り売りのパターンです。
この例の場合は、そこまで伸びるようなトレンドにはなりませんでしたが、大きなトレンドからの戻り売りはそれなりに高確率なショート(空売り)の手法です。
長く続いたトレンドの高値の更新に失敗したポイント
上昇トレンドが終了したポイント、高値の更新に失敗したポイントを狙って、「もう上昇することを無いだろう」とショートポジションを取るのも比較的多くの投資家がやる空売り手法です。
この例の場合、トレンドラインに沿って綺麗にトレンドが形成されていました。高値の更新に失敗した後に素直にトレンドラインをブレイクをしています。
投資経験者の方は既にお気づきだと思いますが、これはトレンドラインブレイク以前に非常に有名なダブルトップのパターンです。
結果的にそれほど大きな利益にはなっていないのですが、このように複数のパターンが絡んでいたので、多くの投資家が注目していたポイントである事は間違いありません。
まとめ
以上、仮想通貨におけるショート(空売り)について説明してみました。
ショート(空売り)に関しては『売りからも入れる』と単純に考えてしまいがちですが、レバレッジも絡む話なので、そのリスク面については特に注意して研究をしてください。
また仮想通貨FXをやる人はロング(買い)とショート(空売り)の速度の違いについても、意識すべきでしょう。
ロングを意識すべき上昇相場の場合はジワジワと上昇していくパターンが多いです。しかし、ショートを意識すべき下落相場の場合は、高い場所からモノが落ちるのと同じように、ストンと価格が落ちるパターンが多いです。
この理屈は諸説ありますが、短期売買が比較的新しい部類のトレードで、「投資といえば伝統的に安いとこで買って、長期間保有するものだ」といった認識が根付いているからだと言われています。
スキャルピングやEAがもっと一般に普及すれば、いきなり「ズドン!」と上昇してジワジワ下がるような相場の動きも、将来的にはあるかもしれません。
CryptoGTのとこでMT5について紹介しましたが、記事にしています。よろしければ是非、こちらも読んでみてください。
支持線・抵抗線などラインの引き方に関しては、ブログの方に書いているので、気になる人は読んでみてください。
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