学校教育関係者のための AI×教育(1)
はじめに
2023年の2月頃から、
「ChatGPTの登場による学校教育への影響」
「ChatGPT使って授業しちゃうぜ」
といった話が、SNS上で、学校なり教員界隈でチラホラ出て参りました。
さらには、3月・4月に入りますと、大学においても
「学生の皆さんへ」
ということで、発表が続々と出され、
「ChatGPTと適切にお付き合いしましょう」
「あん?ChatGPT使ったらあきまへんで」
などと、マスコミに取り上げられるようになりました。
学校教育関係者にも、様々な意見があり、極論を申せば、こんな感じで別れるのかなと。
いろいろとありますわな。いろいろな多様性ある意見が出るのは喜ばしいことですが、感情のまま、脊髄反射のままに出てくる「主情主義」。
良くも悪くも、日本的です。
SNS上などでこうした意見を見かけますと、
と、2015年頃より、AIを用いた海外のEdTechサービスを調べたり、海外の学会誌で論文類を眺めている私にとっては、多少の情報の蓄積があり、今回の事態の推移を眺めております。
面白いことに、日本の学会誌なんかで「生成型AI時代の学校教育について」役に立つような論文が無いんです。ビックリ。
海外モノは、2021年から出始めているのに。
今回の ChatGPTに代表される Generative AI (生成型AI、生成AI)は、既存の学校教育において、とんでもないインパクトがあることは確かです。
いわば、ゲームチェンジャー。
極論に思考を左右されないためにも、正しく「AIと教育」「AIと学習」の基礎知識をつけて、生成型AIをいかに学校教育で利活用するかの議論の前提にしないとなぁ、と考えています。
ちなみに、「教育は趣味」レベルの私が記すものですので、読者諸賢の見解を伺いたいと願っています。(Twitterにでもご見解を載せてくださいませ)
1.近年の生成型AIに関する日本の超簡易な流れ
さて、2018年2月に、我らの新井紀子先生が、「『AI』は東大の入試問題を解けるか?」という「東ロボ」くんの研究結果からのお話をまとめられて、センセーショナルな話題となったのですが、それ以降、日本では「AI×教育」について巷間に上がることは、ほとんどありませんでした。
「おや、また『AIの冬』到来っすか?」と言うところに、GPT-3 が登場し、ChatGPTが登場し、「生成型AIってスゲェんじゃね?」って、5年くらいぶりに、AI×教育の話題が巷間に復活したわけです。
デジタル化だ、DXだ、とこれまでのICTとかデジタルとか後手後手っぽい政策動向を眺めておりますと、今回の生成型AIに関しては、平先生、塩崎先生はじめ、自民党PTが先駆けての「生成型AIどうする?」みたいな話から始まり、文部科学省・中教審も安宅先生(下記リンク)にご講演を賜るなど、永田町ー霞ヶ関〜虎ノ門界隈の「知ろう」という動き自体はとんでもなく速いのです。
で、さらに、自民党PTから、文科相に提言がなされて、文科相も、
「(AI利活用に関する)文科省ガイドライン、作っちゃうわ!」
とのことで、政府のAI利活用のガイドラインすら発出されてない中、いわば文科省は「流れ弾」状態で、作成せざるを得なくなりました。
ただでさえ、GIGA政策の人員不足で、かつ、省内で知見は少ないし、中教審で有識者会議を立ち上げようにも、有識者いないし、という三重苦状態。
どうなるんですかね?頑張れ、文科省!
生成型AIに関する有識者ってね、おそらく図1のような構成になるのかなぁ、なんですよね。
学校教育制度は、生成型AIサービスの利用規約に応じて、
・初等教育(13歳未満)
・中等教育(13歳〜18歳:保護者・親権者の同意要)
・高等教育(各大学など、独自のポリシーを発出中)
に分けて考えるといいですし、
テクノロジーは、
・情報学・情報工学の研究者
・開発者
に分けて考えるといいと思います。
マスコミやSNS上で、コメンテーターしている人や、コメントしている人が、どういう属性かを判別して、
「あぁ、この属性(の考え、経験)だけで、この人はモノ言うてるんか」
と判別するのにも、図1は使えそうです。
いちいち発言に対して感情を害したり、脊髄反射しないためにも。
(ちなみに、保護者・親権者による学校教育の正課外における「子育て」は、それぞれの教育観なので、教育基本法第10条に則り、自己責任で)
2. AIに関する海外の教育政策の超簡易な流れ
さて、前述の通り、日本には、「AIと教育」「AIと学習」を知る上で、教科書的な資料、論文が「無い」状態です。我らが新井紀子先生のご著作も、新井先生のご研究とご見解が基ですので、参考にはすれど、全般的で複数の目で捉えたものではありません。
適していそうなもの無いよなぁ、と思いつつ、そういや、北京でUNESCOが「AIと教育」に関する会議やってたよなぁ、の話を思い出し調べたのが、2019年。文科省にもレポートが掲載されましたが、詳細はわからず。
2020年・2021年とコロナ禍で、なかなか国際会議も開催されず、
ed.govも、OECD Eduも、UESCOも、そして日本も、AI×教育 の話が消えて、日本で申せば、GIGAスクール構想のような「リモート教育どうする?」
「コロナ禍の対応・コロナ禍後の対応」一色となった感でした。
おや?海外じゃ、また「AI×教育・学習」の議論が増えてきたぞ、と思ったのが、2021年下半期。
そして、UNESCOから、上述の「AIと教育に関する国際会議」の内容+αが公表されました。
https://unesdoc.unesco.org/ark:/48223/pf0000376709
2021年下半期ものなので、GPT-3も事例に入っているし、国際動向も含めて、すごくまとまっている資料だなぁと、流し読みしておりました。
私、Policy Maker でもないし(笑)
が、前述の通り、「AIと教育」「AIと学習科学」「国際的な動向」という、基礎知識のない上で、急に台頭して(バズって)きた生成型AIにのみ特化する形は、国政から日々の授業活用に至るまで、危険だなぁと思い、ちょっと広めて和訳しなきゃならんよなぁと。
こうした基礎知識の上に、現在の生成型AIがどう位置づくかの議論なり、活用法なりを深めて、初中等教育での授業実践を初めて欲しいよなぁと。
ジャストアイディアなレベルではなく。
上掲の図1で申せば、学校教育制度よりの話のように思われますが、本当にテクノロジーから、政策立案に至るまで(2015年くらい〜2021年くらいの期間の動向が)網羅(図2)されています。
この和訳した仮訳を基にして、「学校教育関係者のための AI×教育」という話を進めていきます。(次回へ続く)
最初の数ページ(サンプル)はこちら。
https://drive.google.com/file/d/18LoH9h86iT99fwJbTFsbpECGt1Am3ONE/view
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