fujiko

詩と短歌。詠う人妻。

fujiko

詩と短歌。詠う人妻。

記事一覧

短歌五首【あの頃】

体内の半分以上は水だってあれだけ泣けば納得できる 失えば何かを得ると聞いたけどあれは空耳だったのでしょう 絶望が衣替えする十月に君の匂いが想い出になる 飛び込ん…

fujiko
4日前
1

短歌五首【名前】

居酒屋の賑わう声に聞き返す新酒みたいなあなたの名前 「おーい」とか「ハイボール」とか何なのよ名前呼ぶまで返事しないし 二軒目を出てから名前呼びになるあなたが一歩…

fujiko
6日前
4

短歌五首【あなた】

水臭い早く言ってよ出会うなら夜の埠頭で死ぬとこだった 運命かなんて生きてる間には分からないけど一緒がいいね 指輪でも花でもなくてメロンパン「ほら」ってよこすあな…

fujiko
11日前
2

短歌五首【離婚】

大切に積んだジェンガのタワーからあなたが抜いた愛と信頼 家族分洗濯物は畳まれて別れ話を横で聞いてる 色々と言いたい事はあるけれどひとついいかな?「妻を舐めるな」…

fujiko
2週間前
2

短歌五首【失恋】

最後まで優しい言葉探してるあなたを好きになって良かった カルピスを好きに薄めて飲む自由手に入れた日の空が泣いてる 「好きな人できたんだ」とか無理だから上手に嘘を…

fujiko
2週間前
1

短歌五首【雨】

折り畳み傘は無かったことにして「忘れちゃった」とあなたの傘へ 君色のペディキュアだけを身に纏う気だるい夜に強く降れ、雨 寝返りを打てばあなたの横顔と小さな寝息雨…

fujiko
3週間前
4

短歌五首【女心】

車道側歩いてくれてありがとう夜は続くよBARまでの道 相談に解答じゃなく相槌を泣いたらそこのティッシュを二枚 どうしても今夜会いたい許してね私じゃないの満月のせい …

fujiko
3週間前
2

短歌五首【僕の彼女】

落ち込んだ僕に黙って頷いたジャイアントコーン差し出しながら 好きなんて甘い言葉はないけれど寝落ちに毛布君はやさしい どちらかと言えばサッパリした君の愛とおにぎり…

fujiko
1か月前
1

短歌五首【告白】

これまでの長い付き合いすっ飛ばし君を知りたい恋人として 好きだって言ったらなんて返すかな波打ち際でふざけてる君 友達の時になかった緊張で君を見つめるこれは恋だな…

fujiko
1か月前
7

短歌五首【ドラマ「東京タワー」】

最後だと微笑む君の唇にそっとキスして始まる二人 ビルの森刹那の愛に仰ぎ見る淋しい顔の東京タワー 叶わない恋でも君を奪いたい出会ってしまう運命ならば 「あなたには…

fujiko
1か月前
6

短歌五首【Number_i「Blow Your Cover」】

薄月夜ぼやけた愛の輪郭を確かめていくkissの刻印 溢れだす「君さえいれば」飲みこんで溶け合う体求める零時 頂戴と耳元近く囁いて僕の理性をねじ伏せる君 人魚姫声を失…

fujiko
1か月前
3

短歌五首【曖昧な関係】

短めの言葉で済ますレスポンス雑に置かれた携帯電話 完全に心と身体離されて今夜も君と繋がる矛盾 君が知る背中のほくろ胸のあざ君が知らない昼間の私 「帰るわ」と君が…

fujiko
3か月前
1

短歌五首【春の別れ】

「待っとって」うつむく君の横顔を三分後には電車がさらう 君の声綿菓子雲に消えていく夢と別れと蓮華のティアラ ポッケから不意に出てきたぬくもりは君が最後に使った軍…

fujiko
3か月前
2

短歌五首【道ならぬ恋】

煮込んだり花を生けたりしないけどあなたが欲しい愛だけあげる 帰る場所間違えたまま笑うのねダチョウは家族を忘れるらしい 物憂げな「じゃあ」も今更いらないしもっと乾…

fujiko
5か月前
2

【詩】またね。

帰省した家族を庭先で見送る 頼もしくなった息子夫婦と 小さな手を振る孫 遊びに来た友を駅で見送る 長話したはずなのに電車に乗るまで ふざけ合ってる 突然倒れたあの人…

fujiko
8か月前
1

【詩】雨に想う

雨降りに傘は持たない 濡れたくて 穢れも業も自我さえも 洗い流して 全部全部 ただの命になって 軽やかに生きなおそう どうせなら目も開けられないくらい どしゃぶりが…

fujiko
1年前
4
短歌五首【あの頃】

短歌五首【あの頃】

体内の半分以上は水だってあれだけ泣けば納得できる

失えば何かを得ると聞いたけどあれは空耳だったのでしょう

絶望が衣替えする十月に君の匂いが想い出になる

飛び込んだ水槽に居たザリガニに食べられました終始ピースで

私から私が抜けていった日の私は自由だったと思う

短歌五首【名前】

短歌五首【名前】

居酒屋の賑わう声に聞き返す新酒みたいなあなたの名前

「おーい」とか「ハイボール」とか何なのよ名前呼ぶまで返事しないし

二軒目を出てから名前呼びになるあなたが一歩踏み込む瞬間

呼び捨てにされたい夜に沈黙を手が触れそうな細い路地裏

ひらがなのなまえいいねとほめられてよろこびましたいいよるでした

短歌五首【あなた】

短歌五首【あなた】

水臭い早く言ってよ出会うなら夜の埠頭で死ぬとこだった

運命かなんて生きてる間には分からないけど一緒がいいね

指輪でも花でもなくてメロンパン「ほら」ってよこすあなたが好きよ

その胸に顔をうずめて目を閉じるセブンスターは落ち着く匂い

ほろ酔いで「お前がいい」と呟いた過ぎた痛みも丸ごと抱くわ

短歌五首【離婚】

短歌五首【離婚】

大切に積んだジェンガのタワーからあなたが抜いた愛と信頼

家族分洗濯物は畳まれて別れ話を横で聞いてる

色々と言いたい事はあるけれどひとついいかな?「妻を舐めるな」

明日から赤の他人になる二人冷凍室に並べたシチュー

神様が用意していたタスクキル別れの朝に最後のハグを

短歌五首【失恋】

短歌五首【失恋】

最後まで優しい言葉探してるあなたを好きになって良かった

カルピスを好きに薄めて飲む自由手に入れた日の空が泣いてる

「好きな人できたんだ」とか無理だから上手に嘘をついて下さい

身に覚えない青あざを押してみる昔誰かに振られた痛み

さよならに説明なんていらないわ夜通し灯す痩せたキャンドル

短歌五首【雨】

短歌五首【雨】

折り畳み傘は無かったことにして「忘れちゃった」とあなたの傘へ

君色のペディキュアだけを身に纏う気だるい夜に強く降れ、雨

寝返りを打てばあなたの横顔と小さな寝息雨の伴奏

沸く鍋にパスタが躍る二人分タイマーかけて雨だけ見てる

ずぶ濡れで良かった泣いてなんかない気づかず行ってそのまま行って

短歌五首【女心】

短歌五首【女心】

車道側歩いてくれてありがとう夜は続くよBARまでの道

相談に解答じゃなく相槌を泣いたらそこのティッシュを二枚

どうしても今夜会いたい許してね私じゃないの満月のせい

戸惑ってくれるくらいが丁度いい分かり過ぎてもなんか嫌なの

「大丈夫」あなたを見ずに言う時は「本当は?」って聞いて下さい

短歌五首【僕の彼女】

短歌五首【僕の彼女】

落ち込んだ僕に黙って頷いたジャイアントコーン差し出しながら

好きなんて甘い言葉はないけれど寝落ちに毛布君はやさしい

どちらかと言えばサッパリした君の愛とおにぎりでかくて丸い

不意打ちの濡れ髪なんて反則で締めたばかりのネクタイ外す

全方位シャイで媚びない君がいい女の顔は僕の前だけ

短歌五首【告白】

短歌五首【告白】

これまでの長い付き合いすっ飛ばし君を知りたい恋人として

好きだって言ったらなんて返すかな波打ち際でふざけてる君

友達の時になかった緊張で君を見つめるこれは恋だな

「話しって何?」から五分経っている氷の溶けたアイスコーヒー

キスしたり寝起きの君を見る権利僕に下さい大事にします

短歌五首【ドラマ「東京タワー」】

短歌五首【ドラマ「東京タワー」】

最後だと微笑む君の唇にそっとキスして始まる二人

ビルの森刹那の愛に仰ぎ見る淋しい顔の東京タワー

叶わない恋でも君を奪いたい出会ってしまう運命ならば

「あなたには未来がある」と言う女の隣に僕はいつも居なくて

抱き合って君の全てを欲しがって一人になった夏の代償

短歌五首【Number_i「Blow Your Cover」】

短歌五首【Number_i「Blow Your Cover」】

薄月夜ぼやけた愛の輪郭を確かめていくkissの刻印

溢れだす「君さえいれば」飲みこんで溶け合う体求める零時

頂戴と耳元近く囁いて僕の理性をねじ伏せる君

人魚姫声を失くしたSeabed涙の訳を聞けない夜に

「またね」とは言わない君を抱きしめた二人を別つ朝焼けの街

短歌五首【曖昧な関係】

短歌五首【曖昧な関係】

短めの言葉で済ますレスポンス雑に置かれた携帯電話

完全に心と身体離されて今夜も君と繋がる矛盾

君が知る背中のほくろ胸のあざ君が知らない昼間の私

「帰るわ」と君が言うのを待っている体温以外いらない夜は

面倒な駆け引き全部ない代わり好きになったら試合終了

短歌五首【春の別れ】

短歌五首【春の別れ】

「待っとって」うつむく君の横顔を三分後には電車がさらう

君の声綿菓子雲に消えていく夢と別れと蓮華のティアラ

ポッケから不意に出てきたぬくもりは君が最後に使った軍手

東京は君にやさしい街ですかわたしは今日も田んぼに居ます

菜の花も桜も細い畦道も君の後ろを歩いた四月

短歌五首【道ならぬ恋】

短歌五首【道ならぬ恋】

煮込んだり花を生けたりしないけどあなたが欲しい愛だけあげる

帰る場所間違えたまま笑うのねダチョウは家族を忘れるらしい

物憂げな「じゃあ」も今更いらないしもっと乾いた愛を下さい

寒空に最後の言葉貼りつけた星になったら剥がしに行くわ

渇愛と書き添えられた閻魔帳釜で煮られて喰われるみたい

【詩】またね。

【詩】またね。

帰省した家族を庭先で見送る
頼もしくなった息子夫婦と
小さな手を振る孫

遊びに来た友を駅で見送る
長話したはずなのに電車に乗るまで
ふざけ合ってる

突然倒れたあの人を病院で見送る
冷たくなるまで体をさすって
頭を撫でる

見送ればいつも
少しの寂しさと少しの安堵

晴れた空が
みんなを繋げる

元気で居るかな
どうしてるかな
ちゃんと空へ還れたかな

目に見えないものほど
伝わるよね

またね

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【詩】雨に想う

【詩】雨に想う

雨降りに傘は持たない
濡れたくて

穢れも業も自我さえも

洗い流して
全部全部

ただの命になって
軽やかに生きなおそう

どうせなら目も開けられないくらい
どしゃぶりがいいね