fujiko

詩と短歌。詠う人妻。

fujiko

詩と短歌。詠う人妻。

マガジン

  • 短歌アパート『 うただ荘 』

    • 945本

    短歌に親しまれる方のためのバーチャル居住空間(マガジン)です。 記事を格納なさりたい方はここへどうぞ。

最近の記事

深夜の妄想族vol.3

短めの言葉で済ますレスポンス枕の横で光る携帯 完全に心と身体離されて今夜も君と繋がる矛盾 君が知る背中のほくろ胸のあざ君が知らない昼間の私 「帰るわ」と君が言うのを待っている体温以外いらない夜は 面倒な駆け引き全部ない代わり好きになったら試合終了 Vol.3テーマ セフレの心得

    • 深夜の妄想族 vol.2

      「待っとって」うつむく君の横顔を三分後には電車がさらう 君の声綿菓子雲に消えていく夢と別れと蓮華のティアラ ポッケから不意に出てきたぬくもりは君が最後に使った軍手 東京は君にやさしい街ですかわたしは今日も田んぼに居ます 菜の花も桜も鳥のおしゃべりも君を失くした四月は嫌い vol.2テーマ 春の別れ

      • 深夜の妄想族 vol.1

        煮込んだり花を生けたりしないけどあなたが欲しい愛だけあげる 帰る場所間違えたまま笑うのねダチョウは家族を忘れるらしい 物憂げな「じゃあ」も今更いらないしもっと乾いた愛を頂戴 寒空に最後の言葉貼りつけた星になったら剥がしに行くわ 渇愛と書き添えられた閻魔帳釜で煮られて喰われるみたい vol.1テーマ 道ならぬ恋

        • またね。

          帰省した家族を庭先で見送る 若さ眩しい息子夫婦と 小さな手を振る孫 遊びに来た友を駅で見送る 長話したはずなのに電車に乗るまで ふざけ合ってる 突然倒れたあの人を病院で見送る 冷たくなるまで体をさすって 頭を撫でる 見送ればいつも 少しの寂しさと少しの安堵 晴れた空が みんなを繋げる 元気で居るかな どうしてるかな ちゃんと空へ還れたかな 目に見えないものほど 伝わるよね またね。の後の青い空が好き またね。の後の澄んだ空気が好き

        深夜の妄想族vol.3

        マガジン

        • 短歌アパート『 うただ荘 』
          945本

        記事

          雨に想う

          雨降りに傘は持たない 濡れたくて 私の汚れが 私の業が 私そのものが 洗い流される 全部全部 私不在のただの生命になって 軽やかに生きなおそう どうせなら目も開けられないくらい どしゃぶりがいいね

          雨に想う

          【詩】冬眠

          体が動かなくても心は動くんだね 無にはなれないから生きてるみたい むずかしい事はもう考えられない 美味しかったものが喉を通らなくて 今までできていた事がろくにできなくて 情けないね 少しずつでいいって言い聞かせても ゆっくりでいいって言い聞かせても もどかしいね あばらが浮き出た体をスウェットで隠して 青白い顔にパックする 心配顔のあなたに笑って「おかえり」 ほらいつもの私でしょう 大丈夫 春まで眠ろう 大丈夫 春まで眠ろう

          【詩】冬眠

          絶望は 左脳が生んだ絵空事 今日も生きてるそれだけでいい

          絶望は 左脳が生んだ絵空事 今日も生きてるそれだけでいい

          さよならに 説明なんていらないわ 夜通し灯す痩せたキャンドル

          さよならに 説明なんていらないわ 夜通し灯す痩せたキャンドル

          空近く 掴めそうだねオリオン座 ひと飲みしたら輝けるかな

          空近く 掴めそうだねオリオン座 ひと飲みしたら輝けるかな

          とりあえず なめこおろしを突き出しに 天ぷらを待つ夫とビール

          とりあえず なめこおろしを突き出しに 天ぷらを待つ夫とビール

          あと二枚 めくれば終わるカレンダー 明日が来ない時のいたずら

          あと二枚 めくれば終わるカレンダー 明日が来ない時のいたずら

          夕空は 黙っていても優しくて 愁いを溶かす紫ピンク

          夕空は 黙っていても優しくて 愁いを溶かす紫ピンク

          秋日和 こたつ布団が喜んで 共に干される縁側昼寝

          秋日和 こたつ布団が喜んで 共に干される縁側昼寝

          真っ直ぐに 空に向かった穭稲 十五枚目の履歴書を書く

          真っ直ぐに 空に向かった穭稲 十五枚目の履歴書を書く

          缶コーヒー 煙草の煙あなたの手 カーテンはまだ開けない気分

          缶コーヒー 煙草の煙あなたの手 カーテンはまだ開けない気分

          冷えるねと 枯れた体を抱き寄せる 心は今も無花果の赤

          冷えるねと 枯れた体を抱き寄せる 心は今も無花果の赤