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オリンピックも終わったが、1964東京オリンピックの頃、日本海沿岸では不思議な噂が流れてい…
1日目 今日よりも澄んだ空を感じたことがなかった。 鳶がその空を飽きもせずに周回している…
「あなたには選択肢があるわ。 一つは、全てを諦めて、自分の意識や感覚を廃棄して、光と音だ…
「端的に言うと、私はあなたを観測できなくなったの。 あなたは、今、世界の間を揺蕩ってい…
ON. 朝。なのか? 意識は戻っているが何も見えない。 水面も森も見えない。 あの不愉快な騒…
「ダー」 楽しそうに少女は筒の中を覗きながら、歓喜の声をあげる。 男は、少女を見ながら、…
少女は筒の中に何を見ているのだろうか。 そんなことを考えることは、この荒野に落ちている石の数を数えるくらい、意味が無い行為だと分かっていても、やはり考えてしまう。 男が筒の中に見た空虚が、現実の景色と変わりがないのなら、少女が楽しそうに見ているものも、また現実と変わらないのだろう。
この世界では、生きること以外は、無駄なものだ。 生存欲。 男を動かしているのは、それ…
男は、追い払うことすら面倒なので、少女を相手にしていなかったのだが、男がどこへ行こうに…
少女は相変わらず筒を覗いている。 なぜ、俺はこの女と一緒にいるのだろうと、男は思う。…
せめて、妄想くらいは良いだろうと、男はかつて見た海や森を思い浮かべたが、それが現実とな…
「贅沢をしたい」とか「幸せになりたい」などという欲望は、「生きる」という行動には邪魔で…
この世界で出会う者の大半は、彼と同じように、これといった目的も持たず、その日を生きのび…
しかし、男が置かれている身は、ただ今日を生き延びる、それだけのためにわずかな食料と水を求めて、この荒れ野を放浪する毎日だ。 面白いのは、戦争後や、大災害の後となると、闇の勢力やら、モラルの無い者たちが闊歩するものなのだが、時に男が人間にあっても、そのような者はいなかった。