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バーチャルイベントは、リアルな体験を越えることは難しいのだろうか?

こんにちは!先日「バーチャル丸の内」というバーチャル上で開催されたイベントに参加してきました。

エンターテイメントにおけるバーチャルな体験は、「リアルな体験」を越えにくいのではないかと参加して感じました。今回は少し厳しい目線で、「なぜリアルな体験よりも劣ると感じたのか」の考察をお届けします。

withコロナ時代で加速し始めた、バーチャルイベント。

去年よりも世の中的にも混乱が落ち着き、少しずつ前と同じような生活に戻りつつあると感じています。ですが、「完全に元のような状態に戻ることは、今後果たしてあるのだろうか?」とも感じます。おそらく今後も一定の距離を取りながら、イベントやライブを粛々と行う未来が予想されます。

そんな想いを反映させるかの如く、ここ1〜2年で急速に進化し始めたVR(バーチャルリアリティ)。最近はスマートフォンアプリとして、VRを提供するサービスが浸透し始めています。場所を選ばずイベントに参加できるという手軽さがメリットですが、リアルな体験での臨場感や興奮にはどこまで近づけるのでしょうか。

「バーチャル空間のプラットフォームを提供している"cluster"」

「cluster」は、スマートフォンや PC、VR 機器など様々な環境からバーチャル空間に遊びに行くことができる、マルチプラットフォーム対応のバーチャル SNS です。音楽ライブや発表会などのイベントのほか、いつでも参加できるバーチャルワールドでチャットやゲームを楽しめます。また、アプリ版でもPC/VR HMD 版と同じ環境に参加できます。

今回、私と同僚が参加したバーチャル丸の内も、このclusterのアプリを使ってイベントに参加するというスタイルで行われました。

「バーチャル丸の内」に参加して感じた正直レビュー。

「バーチャル丸の内」は、丸の内をバーチャル上に再現した配信プラットフォームです。ユーザーは世界中のどこからでもイベントに参加することが可能で、アバターを介してコメント機能のほかエモーション機能によりハートや拍手を送ったり、様々な色のペンライトを振ったりするなど反応や感情を伝えることでイベントをより楽しむことができます。

上の説明を読む限り、「丸の内ビル」をバーチャル上で再現しつつ、自分自身はアバターに扮した状態で色々なイベントを開催するという趣旨のようです。オープニングイベントとして、よしもと有楽町シアターと共同でコラボレーションをしているとのこと。予備知識のない状態で、アプリをDLし、イベントに参加しました。

2月21日(日)13:00~19:10(予定)
・第1部 13:00~15:10 ネタ祭り(1)、歌うま芸人による歌謡ショー
・第2部 17:00~19:10 ネタ祭り(2)、ゲーム対決

レビュー①バーチャル丸の内のコンセプト、ターゲットユーザーが見えない

「丸の内ビル」がバーチャルな空間で提供されている、ということは理解できるものの、「どんな人向けなのか・どんなメリットがあるのか」はイベントを通じて見えてきませんでした。

おそらく丸ビルとしては以下の狙いがあるのではないか、と仮定します。

・丸ビルの認知拡大
・オフライン時に丸ビルに足を運んでもらう動機付け

ただ、今回のオープニングイベントは丸ビルの1Fイベントステージエリアで、よしもとのお笑い芸人が「ネタを披露する」だけで体験のストーリーが完結しており、「ネタを披露する会場がたまたま、丸の内ビルだった」だけと見受けられてしまいそうでした。

丸の内ビルの1Fスペースの再現度はかなり高く感心したものの、ビル全体のお店に絡めたプロモーションではないため、このスペースでイベントに参加しただけになってしまい、その次のアクションにつながる「足を運んでみたい」「気になる」という動機付けにはなりにくいと思いました。

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今後アップデートしていく際には、丸の内ビルがバーチャル空間で訴求できることを考えていく必要がありそうです。

(例えば、芸人がネタを作るときに丸の内ビルのテナントで売っている商品を絡めつつ、画面上に表示された商品をお気に入り追加して、後で購入できるフローを作ったり、その画面キャプチャを後日リアル店舗に持参すると特典がもらえたりなど、「丸の内ビルそのもの」に興味を持てる仕掛け作り)

レビュー②イベント上での仕掛けが惜しい

このイベントは、よしもと所属の芸人によるネタや、歌の披露がメインですが、メインステージから少し離れた場所に芸人と一緒に撮影ができるパネルが用意されていました。

ただ、当日使えるアバターは「デフォルト」の設定しかできず、ロボットのようなアバターの表面に自分のアカウントの画像が反映されただけのものでした。

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推し芸人と写真を撮ろうと何度か挑戦するものの、アバターが正面に向かない・アバター自体の存在感が薄いので一緒に撮っている感覚にならない、などの状況になってしまいました。

また、最終的に面白かったチームを判定するときも、アナログな判定だったことに驚きました。面白いと思ったチームの色エリアに移動して、その面に存在している人をアナログな形式で数えるというもの。オンラインならではの自動解析などを活かせておらず、最後の集計に関しても曖昧さを感じてしまう結果となりました。

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レビュー③拍手などのリアクションは多種多彩でよかった

その一方で、お笑いをみて面白いと思った時に反応できるリアクションは一通り揃っており、イベントステージにいる芸人たちは会場のユーザーの反応を見ながら進行している姿が印象的でした。ユーザーはその進行を見て「自分も一員として参加しているんだ」という意識は生まれますし、拍手ができることで会場で一緒に体験しているという臨場感は若干生まれます。リアルなイベントでは「ここで無理にでも笑っておくべき?」など周りの同調圧力を感じてしまう場面もありますが(日本人ならではの忖度でしょうか...笑)オンラインでは、いい意味で周りの目を気にしないで行動しやすいという利点はあるのかもしれません。(つまらなかったら退出できる、という所も)

レビュー④誰かと一緒に参加したときの感情の共有が難しい
私がリアルイベントを越えにくいと感じた最大のポイントは、その場にいる他者との関わりでした。リアルなイベントでは誰かを誘い、一緒に何かを楽しむということができると思うのですが、今回のイベントにおいてはその「楽しさの共有・一緒に共有している臨場感」を感じられなかったのです。

オープンチャットで見ず知らずの人が垂れ流すコメントはありつつも、一緒に参加している友人とのクローズドなコミュニケーションがとれない状況だったので「もうすぐ出る?」「この芸人のネタ面白いね」といった一種の実況に近いやりとりができないという点は非常に気になりました。

ライブなどでも、参加して楽しかったー!というありのままの感情を一緒に参加した人と共有し合う行動は、リアルな体験において非常に重要な要素だと捉えています。それらをバーチャルの空間上でも体現できないと、リアルな体験以上のUXを届けることは難しいのかもしれません。

今回はスタートしたばかりで、どれぐらいの人が集まるのだろうか?など様子見な部分もあるとお見受けしています。今後丸の内ビルとしてイベントを発信していくのであれば、複数人で参加したときの楽しみ方を考えていく必要がありそうだ、と期待を込めて辛口レビューとさせていただきました。

まとめ

リアルで体験できる臨場感を生み出すための仕掛け作りを行動フェーズごとに提供できれば、今後バーチャルなイベントならではの楽しさが増していくのかもしれません。少なくとも、今回参加したイベントでは「もっと楽しくできそう」と課題点はたくさん感じました。

(上記で色々と辛辣に書いてしまったのですが)リアルな商業施設が、潜在層にリーチしていくための有効な手立てでもありそうです。ポジティブに考えれば、百貨店や商業施設が開拓できるアプローチ方法はたくさんあるとも捉えられるでしょう。

この記事を読んで頂いて、デジタルフィジカルな体験作りのサポートにお困りの場合はぜひお声がけいただければと思います。本日も記事を読んでいただき、ありがとうございました。それでは、また!

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