"身の丈"に合った服
急遽スーツが必要となった。
私の仕事は接客も含まれてはいるものの、普段の業務ではスーツを着用しません。
専ら会社支給の制服です。従って、スーツを着用する機会なんてのは冠婚葬祭くらいであり、ここ10年弱は全く着る機会がありませんでした。
人を見る目の無い勤め先は
遂に私に"役職"を付けてしまった
今の部署に異動してからは目立ったミスは無かったものの、日々綱渡り的に適当に仕事をこなしてきたので、上司から昇格の話を受けたときは真っ先に人を見る目を疑い冗談半分で辞退を申し出ました。
当然、辞退なんて受け取られるハズもなく、昇格式という社内行事に参加する事となり、凡そ10年ぶりにスーツを着用する事となってしまいました。
このnoteを書いている時には昇格式はもう既に終わっているのですが、実際は話を受けてから昇格式までは1週間しか猶予が無かったんですよ。
何とかなるでしょ!なんて思っていればあっと言う間です1週間なんて!!
10年弱で変わる私の体。
先述した通り、滅多にスーツを着用しません。実家に私のスーツを届けて欲しいと連絡をしたが、案の定まず見つからないという事から始まりました。
結局手元にスーツが届いたのが昇格式3日前です。
クローゼットの奥から、久々にそういった礼服やスーツを出すと体が入らないといった話はよく耳にする。そして私も例にもれずにその人種の1人になりました。
10年前に比べれば大なり小なりアクティブにはなった甲斐もあってか、秋先から太もも自体はスルっと通りました。何なら少しブカブカであった。『なんだこのまま履けそうだな』なんて思ったのも束の間、おなか(ウエスト)が全く閉まりません!
おなかを引っ込めたら何とかとかそういうレベルでは無いです。
ジャケットも袖を通す事は難なく出来たが、どうしても!どうしても!!ボタンが閉められない。アラサーにもなってくると"空気中に脂質が含まれる"という嘘も信じたくなる程に代謝が落ちてきているのを自覚はしていたし、それなりに週末や空いた時間に運動はしていたものの、それでも自らの今までの不摂生の積み重ねを恨みます…。
どう考えても履けない上に残された日数も少なかったが、たまたま昇格式の2日前に有給休暇を申請していたので、スーツを新調する事となりました。
スーツを買いに行くといっても
安い買い物ではないです
それなりに採寸してもらって、色だ柄だ何て拘ればスーツなんてのは4、5万円は当たり前にします。普通に手痛い出費です。
しかし、10年弱ぶりの着用なんだし"折角なら良い物を"着たいという気持ちもあるし、どうせ10年後にまたスーツを着た時に今回と同じように着れなくて買い直す羽目になるんだから中古品店か何かでギリギリ着用出来そうな安物でも良いのではという考えもあります。
結局パートナーの薦めもあり"良いスーツ"を買いに行く事にしました。
スーツ屋では例によって丁寧に全身を採寸されて、私の希望のカラーリングなどを聞かれて、ご希望通りのスーツに仕立て上げられそうになりました。しかしボトムスの丈の長さが合いません。
上下で4万円弱少しだったので頭で考えていた金額よりかは安かったものの、裾詰めには日数がかかってしまうとの事で今回は"良いスーツ"を買う事を断念する流れとなりました。
ところが中古品店を回ってもなかなか自分の体に合致するスーツが出て来ません。
我ながら自分の予測の甘さを恨みます。
中古品店を出て目の前をふっと見ると、某有名ファストファッション店がありました。スーツは最悪職場の同僚から借りよう。せめてワイシャツ位は新調しよう"と某有名ファストファッション店へ入る事にしました。
売っているのである。上下で8000円スーツが。
当然、サイズは豊富だし、丈の長さも選べます。カラーバリエーションも豊富です。なんとなくこれかな?というサイズを手に取り試着をします。ドンピシャで着れます!
ついでにワイシャツを買っても1万円と少しです。質感だって素人目に分かりません。確かにさっきまで着用していた"良いスーツ"に比べれば重厚感や肌触りは劣りますが、逆に言えば着心地が軽いので、今回の昇格式が終わってしまえば私服の1部として取り入れる事も可能と考えれば"良い買い物"では無いでしょうか??
私は"良いスーツ"と買うのを諦めて"安いスーツ"を自分の中で"良い買い物"として購入する事にしました。
いよいよ昇格式の日となった。
ただ、昇格式というのは名前を呼ばれて返事をしてまた座って社長の"ありがたいお言葉"を聞くという至極退屈な式です。午前中で終わるのが幸いです。これが昼食後の午後一とかであれば間違いなく私は夢の世界へ旅立ち、後で役員や上司からお小言をいただきます。
昇格式を終えて勤め先の支店へと戻る。上司から
『スーツよく合ったね、久々に着るとサイズ合わないでしょう?』
と聞かれたので
『いやいや新調しましたよ!丈もピッタリでしかもこれ上下で8000円なんですよ!助かりましたよ~』
なんて答えたのですが
『そんな事だと思ったよ。まさに身の丈にピッタリだなハハハ』
と返され、そのダブルミーニングさに、ぐうの音も出ませんでした。
ちょっと自分をよく見せようと良いスーツを買おうとしたが、結局変えずファストファッション店のスーツで済まして、丈はピッタリ、お財布もギリギリ助かりました!
良い事ずくめと思っていましたが、もしも相変わらず勤め先が人を見る目が無くて、またしても昇格式に参加する機会があるのであれば、次は"良いスーツ"を着て並べるそういう"身の丈"のある人間になりたいなと思った出来事でした。
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