見出し画像

ルッキズム?いえ、私の性格が悪いだけ

 最近、私は数十万単位の大きな買い物をしました。

 公的な書類やら、手続きやらが必要で手順の多いタイプの買い物です。

 買った商品の担当者さんは、何というかオラオラ系と言えば良いのか、体育会系と言えば良いのか、そういう快活そうなタイプの見た目をしていました。前に話題になっていた"日体大コール"を最前列でやっていそうな見た目です。

 基本的に私はこういったタイプの外見の人は苦手です。なぜなら、人の精神的に或いは距離的なパーソナルスペースにズケズケと土足で上がるような雰囲気を感じてしまうのです。見た目で圧倒されてしまいます。現に"日体大コールさん"は声も低くて、それでいて良く通る、俗に言うドスの効いた声だったので尚更気圧されてしまいました。

 しかし、私自身は既に『買おう』と決めていた商品ですし、これも巡り合わせ、何かの縁と思い、この担当者に一通りのやり取りを任せる事にしました。

 最初に買うと決め手はいたものの、現物確認も担当者に頼まれました。が、担当者の立ち合いは無し、説明も一言二言くらいで、私がある程度その商品に精通しているとは言えども、なんか…こう、あるPRあるでしょうよ?と思いつつ購入の意思を伝えて書類関係の手続きに移ったのです。

 書類のやり取りも、正直言えばスマホアプリの利用規約ページのように流して見聞きするような部分ではあるものの形式として"仕方なく"耳を傾けるフェーズがあるはずなのです。が、この店員さんは、説明しなくても分かりますよね。後で読んでください。サインだけ書いてくださいね。代筆にしますか?くらいのノリなのです。

 ありがたいけど、正直普段なら眠たくなる話だからちょっとありがたいけど、金額も金額だからしっかりやりましょうよ?代筆はダメでしょ。と、内心思いつつ、書類にサインを書いてハンコを付いて売買成立です。

 こういう心の引っ掛かりは、時間が経つにつれて心に黒い影を落とします。次第に私は不安になって来ました。私がハンコを押した書類は本当に正式な売買に必要なものだったのだろうか?実はこの担当者がとんでもない借金をしていて私は実はその保証人になる書類にサインをしたのでは無いか?付いたハンコの陰影を不正利用されているんじゃないか?と、次から次へと心配事が飛び出してきます。書類の不正利用の事例や、対策、判例なんかを夜な夜な調べてよりモヤモヤしたり、もっとしっかり書類に目を通せば良かったと後悔まで出て来ます。仕事中やプライベートでもふとした時に、モヤモヤが襲い掛かり、落ち着きが無くなります。

 一番ギョッとしたのは、売買成立してから数週間後に購入物が届いていた事です。最初に書いた通り、数十万単位の買い物です。このお店は売買の流れとして原則後払いです。と言うか、本来であればお金と買った物の交換です。ところが、今回は私が数十万円を支払う前に品物が届いたのです。
 急いで日体大コールの担当者に電話をしました。すると『早く手元に来た方が良いですよね!』の一言のみ。

 確かにそうだけど、私まだ一円も支払ってない!!

 そして、所有者が私になったという書類も入っておらず、またしても不安が…。やっぱりハンコやサインを不正利用して、別の書類に利用したのでは無いか、この私が買った物も所有者を別人で登録して、私がネコババしたように仕向けたんじゃないかと、最早被害妄想とも言える位になっていたのです。

 電話で所有権の書類の受け取り、つまりは支払いの期日を決定し、その日まで私のモヤモヤが続きました。


 今週、ようやく支払いを済ませて所有権が私になった書類一式を受け取りました。書類もしっかり私の名前と住所になって一安心です。領収書のサインも『書いておきますね。』の一言で日体大コールさんの代筆だったので最後の最後までモヤモヤはありましたが、ひとまずこれにて一件落着しました。

 購入した物を眺めながら、気を揉みに揉みまくった一通りのやり取りを思い出します。

 振り返ってみると、そこまで気を揉む必要は無かったのではとも思えてきます。確かに手続きの要所要所は煩雑ではあったものの、仮に私のサインや印鑑を不正利用するにしても、後に明らかにバレてしまうこんなバレバレなタイミングで犯罪を犯すのはいくら何でもマヌケ過ぎます。何より、所有権の書類が届く前に自宅に商品が納品された事が決定的です。私は一円も支払っていないのに、商品が届くんですから、あの日体大コールさんは、いくらなんでも"性善説"に身を任せ過ぎなまであります。私が一円も払わずにトンズラするリスクを考慮していなかったのか、最早、私が向こうに対してリスクマネジメントが無さ過ぎて逆に心配になります。

 余談ですが、この"日体大コールさん"。納品後も連絡がマメだったり、後に送付された納品請求書の内訳を見ると、見えない部分で色々サービスしていたようで、かなりやり手のセールスマンでした。何だか変に勘ぐって色々聞いてしまった事が後々申し訳なくなり、感謝の気持ちを込めて後日私は、菓子折りを持って行きました…。

 全ては私が担当者のルックスに気圧されてしまったのが、今回の出来事で気を揉みに揉みまくったキッカケなのです。これが担当者が神木隆之介のような見た目だったら。適当さを感じる一連のやり取りも『面倒な部分は端折ってくれて顧客の気持ちが分かる人だなぁ』という印象になっていた事でしょう。

 担当者が粗雑な部分もありましたが、今思えばここまで気を揉む必要は無かったのです。

 逆に私は"日体大コールさん"とは相対的なルックスをしていますが、だからこそ粗雑な対応を取ってしまうと"ただの態度の悪い人"になってしまいます。(そう考えるとルックスがチャラチャラしている人と言うのは第一印象でマイナスからのスタートになるので、通常の接客業務をしているだけで自ずと高評価を得てしまいそうな気もしますが…ゴホンゴホン)

 私も仕事に接客を要素を含みます。従って、今回の出来事は私も勉強になりました。"ルッキズム"と言ってしまうと、私の勝手な人見知りを棚に上げた言い方になってしまいます。接客をする上で、その人の見た目と言うのは今後のビジネスの継続においても重要な部分になります。しかし、それはまた逆も然りです。相手の言動云々を言う前に"お客様としての態度"と言うのも存在します。売る側・買う側が逆の立場ならあなたを或いは相手をどう思うか、そういう事を意識するとカスタマーハラスメントなんて言葉も無り気持ちの良い取引が出来るようになるのでは無いかと、私は思うのです。

いいなと思ったら応援しよう!