【童話】また会えたね

プラスチックのプラプラは工場生まれ。
さてボクは、いったいどんな商品に変身するのだろう。

車の部品?家電製品のパーツ?
それともペットボトルか、お菓子のパッケージ?

期待に胸を膨らませていたプラプラが変身したのはレジ袋だった。
たくさんの仲間とともにコンビニエンスストアに運び込まれたプラプラ。

今度は誰の手に渡るのだろう。
仲間たちが次々に送り出され、プラプラの順番がやってきた。

プラプラを手にしたのは一人の少年だった。
プラプラには肉まんとジュースが入れられていた。

このまま少年の家に行くのだろうと思っていたプラプラ。
でもそうはならなかった。
少年は公園で肉まんをがぶり、ジュースをごくり。

夢中になるあまり、少年はプラプラのことなど忘れていた。
そのとき風がスーッと吹いて、プラプラはふわりと舞い上がった。
ふわふわとあたりを漂うプラプラ。

人に蹴られ、車に踏まれ、木に引っかかり、また風で飛ばされる。
そうするうちに、プラプラは小さく千切れていった。

やがて雨が降り、プラプラは川に流され、そのまま海へ。
波に揉まれてプラプラの身体はどんどん細かく砕かれていく。

小さくなったプラプラはまるでプランクトンのよう。
だから小魚は間違えてプラプラを食べてしまった。

その小魚を大きな魚がまた食べた。
大きな魚は漁船の網に捕まった。

魚は港から市場へと運ばれる。
そしてスーパーに並べられ、客に買われていく。

魚の身体の中にはまだプラプラがいた。
そのままお皿に乗せられ食卓の上へ。

お箸を手にプラプラを見下ろす少年には見覚えがあった。
プラプラは思わずにんまりと笑いつぶやいた。

「やあ、また会えたね」


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