仮面の告白②


就職をした。

理由は、おもしろそうだったから。


大きな目標とかない僕には特に理由などなかった。
なんとなく選考うまくいったし、気に入られたし。

簡単な理由である。


しかし僕は早々に社会の闇を知る

話のうまい奴ばかり上にいること。

そして上がっていくということ。


学生のときは確かにそうだった。

スクールカーストという言葉がある。

いわゆるイケてる奴らはモテるし、カーストの上位にいる。

僕はどちらかというと、いや確実にイケてない部類の人間だった。

でもそれは学生だから。

会社ではそんなものは通用しない。

実力のあるものだけが、上にいく。

それが社会だ。

だから社会は厳しい。


そう思っていた。

なのになんだこれは。

なにも変わらないじゃないか。

だが僕だってもう学生じゃない。

れっきとした社会人だ。

伊達に就活をやってきたわけではない。

何か武器があるはずだ。


気付いた。

いや。
もっと前からわかっていた。

自分には武器がない。

むしろ人より劣っていることのほうが多い。


今まで夢中になれるものはなかった。
努力をしたことがなかった。

なぜか?

自分の無力さを痛感するのが怖かったのだ。

どんなに努力したって、勝てるわけがない。

結局は、イケてる奴らにもってかれる。

だから僕には武器がない。

武器なんて見つからない。


学生のときはそれでもよかった。

嫌な思いをすることはあったが。

しかしここは会社。

無能は淘汰される。

武器がない。

せめて生きる道を探さなければいけない。


見出した道。

数字。

数字の前では全員が平等になる。

どんなに詭弁を並べても、数字がすべて。
数字だけが導いてくれる。

僕はそう考えるようになった。

必死に学んだ。

努力した。

本当に寝る間を惜しんで勉強した。

夢中になった。

そして手に入れた。

それが唯一の武器となった。


だけど気付いてしまった。

どんなに数字に強くても、
どんなに使いこなしても、
正確な分析ができても、
表現できなければ意味がない。

壁。

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