見出し画像

71 - 純粋ボヤキ回

成長するとともに、私はますます桜から遠ざかった。かならずしも戦争中のイデオロギーに桜が汚染されていたためばかりではなく、石川淳さんのことばを借りれば、私自身が「ほとんど日本一般に背をむけて、海彼の芸文を眺望する姿勢をとることにはなはだ急であった」ためである。そのころ、どうしてあんなに日本的なものが嫌いだったのか、いま考えると不思議なくらいである。しかし若い私には、桜に目を向けている余裕はまったくなかった。(『フローラ逍遥』)

71(*70はこちら

Chantrapas(シャントラパ/以下”C”): 期待とがっかりはセットだからね。

Johnny Cash(ジョニー・キャッシュ/以下”JC”): あぁ。

C: 期待と楽観ちょっと違う。楽観的な人間だとは思うけどね。

JC: 例えばアメリカの選挙の事が明らかになってね、「戦争屋さん」みたいな構図とか、「製薬会社」とか、そういう事が明らかになる、「本当だったんだ」ってなるって事が……すごい楽観的と言えば楽観的でしょう。

C: うん。

JC: じゃなかったらどこいくの、というのがある。当然ね。

C: なんだけど、その楽観は自分の中では無い楽観なんだよね。

JC: そうね……。無いと思ってるんだけど。

C: ははは。あまりにも希望の無い話! 今の物心ついた以上の世代は無理じゃないかな、と。それくらい引きで見てる。

JC: あぁ……。無いだろうなと思う。

C: 普通にしてたらね。ただ……。

JC: うん。いつも言ってるけど、人が死ぬかカネか、だからね。人がばたばた死んでいくか、ドルが崩壊するかしないと分からないよ。絶対に気付かない。人は。

C: 「結果」にならないとね。ずっと微熱とか腕上がらないとか聞くけど、それくらいでは疑えない。その人達にとったら人生の許容範囲。

JC: うん。

C: 「そういう役目を受けてしまった」というだけのね。誰かがなる事だったから仕方ないみたい。そこ自分ごとに出来ないんじゃ……。

JC: そうそう。急に話がドンとなるけど、死……これも前にも言ったと思うけど、死を意識してる人ほど避けたんじゃないかって。普段から意識してる人ほどね。一生懸命生きている人ほど普段から限りなく死について考えるから。そういう人達は当然避けてるんだろうなと思う。死について考えるチャンスがあった人達は。

C: うん。

JC: 「生きる」という事について、ポジティブなイメージを世界的に作り上げ続けたのが戦後のその……命の価値観。

C: うん。

JC: ど・ポジティブにしていく。そのピークの時に「これやったら死なないですよ」ってなると、当然そっちピークだから……みんな「生き続けられる」という方に脳みそが行く。まぁ……よく出来てるよね。

C: 「信じる」。

JC: そうそう。そうなんです。

C: すごいことだね。最近もうぼうっとしてる。話してみると嘆きしか出て来ないね。

JC: 一応チェックはするけどね。絵のこと考えるか子供のこと考えるかくらい。

C: 映画で「ウチの女房と子供だ」って内ポケットから写真を出す気分?

JC: あぁ。そういう渦中にいるんじゃないかな。うん。男の人はそれくらいの覚悟でいなきゃいけなかった。「男がちゃんとしてないからこんなことなったんだ」って言われたらそこまでだもん。良くも悪くも男の属性の部分ね、政治観、歴史認識……バカだから夢中になれる世界だからね。

C: その通りなんだろうな。

JC: 「戦争中だ」という意識。戦争中……戦争とはどういうものかと分かって戦争の時期が来てるか、分かんないまま時代を迎えてるか。大きな違いだろうな。

つづく


2022年8月25日 doubles studioにて録音

ダブルス・ストゥディオ
Johnny Cash (thinker/artist) & Chantrapas (designer/curator)
#doubles_studio_talk でトーク部分を一覧で表示出来ます。
ニュース解説はじめました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?