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【24】インプットの仕方を変えるとアウトプットが変わる(2)

前回からの続きです。

インプットの仕方を変えれば、必然としてアウトプットも変わってくるのですが、ではどうインプットを変えればいいかというと、まずは「量(視点の数)を増やす」ことが重要だというのが前回までのお話(関連記事【22】 【23】)。

今回は、インプットの仕方を変えるもう一つの要素、「質を変える」ということについて解説します。

インプットの質を変えるというのは、一言で言うと、ポジティブにインプットする、ということ。

至ってシンプルなのですが、ポジティブであろうとするがために結果的にネガティブになっているケースも多いように感じるので、そのあたりを動作学的な視点から整理したいと思います。

変えられることと変えられないことを区別する

さっそくですが、動作学の基本的概念「知覚行為循環/インプット・プロセス・アウトプット」をおさらいします。

下記はもう何度も登場している図ですが、改めて説明させてください。

あなたから出てくる感情や感覚は、この図でいうとアウトプット(右下の囲み)の部分です。アウトプットは、インプットとプロセスという過程を経て出てきたことで、一度出てきたことを変えることはできないし、出てきたことそのものには良いも悪いもありません。

そのようにして出てきたアウトプットをどう捉えるかは次の段階、この図でいうとインプット(左下の囲み)の部分です。自分の捉え方次第でポジティブにもネガティブにも変えられるのはここなんですね。

先ほどの図に補足を加えるとこんな感じ。

たとえば、怒りや苛立ちなどは、出てきたアウトプットですから、もう変えようはありません。

が、意外と多くの人が、ポジティブであろうとして、「怒らないように。冷静にならなきゃ」とか「イライラしないように。落ち着かなきゃ」といったような葛藤をしているように思います。

でも、それってポジティブであろうとして、実際にはポジティブではないって、わかります?

まず第一に、そもそも変えられないことを変えようとしている、もしくは出てくるのが自然であることを抑えようとしていていますから、絶対無理なことにパワーを使っていて疲れるばかりになっています。

さらに言うと、出てきたアウトプットはただそういう結果が出てきたというだけのことで、それ自体には良いも悪いもないんです。

それを変えよう、抑えようとするのは、どこかに「怒りを出すのはよくないこと」「イライラするのは悪いこと」という意識があるから。

つまり、出てきたことが「よくないこと」「悪いこと」だとネガティブに捉えてしまっているんですね。

禅問答みたいですけど、まずは感情や感覚などアウトプットとして出てきたことには、そもそも良いも悪いもないということを改めて理解することが第一段階としてすごく重要なのです。

ポジティブな視点を探してインプットする

出てきたアウトプットには良いも悪いもないと認識したところで、次の段階です。

物事をポジティブにインプットするとは、具体的にはどういうことでしょうか。

怒りや苛立ちが出た時の例で言うと、それを「まあ、この状況だとそうも感じるよね」と肯定的に受け止めたら、それはポジティブなインプットになります。

もっと言うと、怒りや苛立ちとは別に、その状況をポジティブに見られる視点を探すことができれば、それがポジティブなインプットになるんですね。

ここが間違いやすい点なのですが、出てきた怒りや苛立ちをどうにかしようとするのではなく、それはそのまま受け止めて、「他にどういう見方ができるかな?」と探してみるということなんです。

たとえば、「無理難題を押し付けられて腹が立つ(それはそれ)。が、それだけ期待されていると見ることもできる」とか。

「全然、話が通じていなくてイライラする(それはそれ)。が、コミュニケーション力を鍛えるいい機会だと考えることもできる」とか。

このとき、物事に対して多くの視点を持てるほど、ポジティブなインプットがしやすくなります。

というのも、見える視点が多ければ、その分、肯定的に見ることができる視点も増えるはずだからです。

ただ、そうは言ってもポジティブに見られる視点が見つけらない、と感じることもあるでしょう。そういう時の秘策は、その状況と直接的には関係のないことでいいからポジティブに見られる出来事を見つけていくこと。

どういうことかというと、「夫婦喧嘩して最悪の気分から抜けられない。けど、今日のお天気は悪くない」とか、「仕事で大失敗して落ち込まずにいられない。けど、ランチのパスタの店は良かった」とか、なんでもいいからあなたの周りにある、ポジティブに見られる出来事を見つけていくのです。

それを続けているうちに、「以前にも同じくらい最悪な出来事はあったけど、その後むしろあれがあって良かったと思えたなぁ。今回のこともそうなるかも」などと、自然と出てくるアウトプットが変わってきます。

もちろん、最悪の気分になっていいし、落ち込んでもいいし、怒っても、苛立ってもいいんです。

繰り返しになりますが、アウトプットそのものには良いも悪いもありませんし、そもそもアウトプットというのは何であれ、自分の生命(いのち)のシステムが必要あって出してきていることなんですね。

まとめると、インプットをポジティブにするというのは、「出てきたアウトプットを抑え込んだり変えようとしたりするのではなく、その状況の中でポジティブに見られる視点を探す」ということ。

これを地道に実践していくと、いろいろと変わり出して、インプット・プロセス・アウトプットの概念を体感で理解できる時がくるはずですので、ぜひ楽しみながら続けてみてください。