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「あり方」を見直すって?

物事を動かしていく時には「やり方」と「あり方」があって、「やり方」ももちろん大事なのですが、「あり方」はそれ以上に大切というか、「あり方」こそ土台であるという話をこのマガジンでもよくしてきました。

でも、今さらですけど、「あり方」って、これまたちょっとわかりにくくないですか?

辞書を引けば「今の状態」あるいは「あるべき状態」だと意味はわかりますが、じゃあ、「今の状態」や「あるべき状態」を「見直す」とか「変える」っていうのはどういうことでしょう?

動作学を学ぶ面白さは、こういう、ともすると精神論っぽくなりがちな話が、実はヒトの生命の仕組みという科学で語れることが見えてくること。

科学で語れることが全てではないとは思っていますが、理屈がわかると意図的に使えるようになるのが楽しいんですよね。

というわけで今回は「あり方」について最近の学びです。

あり方=Being=知覚行為循環

ヒトの生命の仕組みで見ていくと、「あり方」というのは存在そのもの「Being」のこと。

「Being」というのは、今まさにこれを読んでいる瞬間も行われているインプット・プロセス・アウトプット(知覚行為循環)のことでもあるし、その仕組みを通して出てきているアウトプット(今の状態)のことでもあります。

そのように整理すると、「あり方」を「見直す」とか「変える」には何をすればいいか、明快です。

1)インプットの量・質を変える

2)プロセスにかかわるフィルター(前提、常識、信念)を見直す

つまり、「あり方」を見直すとはインプットとプロセスを見直すこと、「あり方」を変えるのはインプットとプロセスを見直した結果としてアウトプットが変わること、なんですね。

世の中にはあり方を変える手法がたくさんありますが、どの方法も本質を突き詰めていくと、インプットの量もしくは質を変えること、あるいは、プロセスにかかわるフィルターを見直すこと、このいずれかに分類されると言っても過言ではないと思っています。

ただ、最近、思ったんです。

私たち(というか私なのですが)は、変わりたいあまりに、インプットを変えたりプロセスを見直したりに懸命になるがあまりに今の感情を感じることの大切さを見失いがちだ、と。

今の感情というのは、これまでのインプットとプロセスを経て出てきている現時点のアウトプットの一つです。

ただ、その感情を感じていることが自分にとって居心地悪い場合、早くそこから出たくて、インプットを変えよう、プロセスを見直そう、とつい動き回ってしまう…。

もちろん、インプットやプロセスの見直しは必須なのですが、一方で、動くことで居心地の悪い感情を感じなくて済むようにしようとしている癖もあるって気がついたんです。

なぜ感情を感じることが大事なのか

たとえば、傷つくことがあったとするじゃないですか。

傷ついたという自覚はしたから、それはちゃんと受け入れて、その上で、「いつまでも落ち込んでいても仕方ないし」と気持ちを切り替え、「この経験がもし自分にプラスだったとしたら?」というふうにポジティブな視点をインプットする…これがアウトプットを変える、つまり自分の状態を変える王道のセオリーではあるのですが、それによって傷ついたつらさはそっちのけになっていること、結構ないですか?

でも、本当は、そこで、傷ついた自分の感情をちゃんと味わうことがすごく大事なんです。

なぜ大事かっていうと、動作学的に説明ができて、感情をちゃんと感じることは「現状把握」になるからなんです。

つまり、感情をちゃんと感じることで、今の自分の状態が正しく認識されるんですね。

現状が正しく認識されることが大切なのは、現状こそが目標に向かうためのスタート地点になるからなのですが、もう一つ見逃せないのは、そもそも現状把握ができていないと、「じゃあ、どうしたい?」という願望もまた本来目指したいところからずれる可能性があることです。

願望(ゴール)というのもアウトプットとして出てくるものだから、今の自分の状況をどうインプットしているかによって出てくる願望が変わってくるし、より現状に忠実なインプットしているほど、より自分と環境にフィットした願望(ゴール)が出てくるはずなんです。

ただ、前回も書いたように、落ち込んだとか、腹が立ったとか、いわゆるポジティブでないと考えられている感情をちゃんと感じるのって案外難しい…だから、これもまたあえて意識して取り組む必要があるかもって思うようになりました。

感情に振り回されたり飲み込まれるのではなくて、ただちゃんと感じる、ということをしてみる。

「感じていても状況は変わらないじゃん!」って昔の私なら思ったでしょうが、ノンノン、「あり方」を見直して自分の状態が変わったら状況は変わるのです。

そして、「あり方」を見直す最初のステップが現状把握。今の感情をちゃんと味わうことなのです。