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【38】心理的安全性について押さえておきたいこと(1)

組織づくりにおいて、心理的安全性を作り出すことの重要性が、注目されています。

心理的安全性とは、組織の中に所属する全ての人が、自分の考えや気持ちを、組織内の誰に対しても安心して発言できる状態のこと。

この概念は、もともとは、組織行動学を研究するエイミー・エドモンドソン教授が提唱したもので、その後、Google社が行った調査(2012年「プロジェクトアリストテレス」)によって、心理的安全性が高い組織は生産性が高いという研究結果が出たことで組織づくりにおいても重要視されるようになりました。

動作学が提唱する強い組織「自己進化型組織」を作るにあたっても、組織の中に多種多様な意見が存在すること、すなわち誰もが自分の考えを言える環境であることは必要不可欠ですから、そのためにも心理的安全性を作ることは非常に重要です。

では、どうやって心理的安全性を作り出すか?

これについては、手法は一つではなく、正解も一つではないので、ここでは追求しません。

ただ、心理的安全性を作り出すためにどのような方法を講じるにしても、押さえておきたい基本事項は共通していますので、今回はそれについてお話ししたいと思います。

心理的安全性を作る責任は100%上層部にある

まず何よりも第一に押さえておきたいのは、組織における心理的安全性を作る責任は100%経営者やリーダーたち、すなわち組織の上位レイヤーにいる人たちにある、ということ。

そして、その組織において心理的安全性があるかないかの評価は、上位レイヤーがするのではなく、部下たちがそう感じれるかどうかで決まる、ということです。

これはつまり、上層部のリーダーたちが、どんなに頑張って心理的安全性を作っているとしても、部下が思ったことを思ったように発言できないと感じているのであれば、それは心理的安全性がある状態ではないということです。

同じ職場環境で、意見を言う部下がいる一方で、意見を言わない部下もいると、言わない部下の方に対して「もっと勇気を出して意見を言ってほしい」という気持ちになったり、その部下の性格や資質のせいにしたりしがちですが、そうではなくて、一人でも意見を言わない(言えない)部下がいるのであれば、上司であるあなたが心理的安全性を作り出せていないのだと考えなければなりません。

ちょっと厳しいですが、上層部のメンバーが、心理的安全性を作り出す責任は100%自分達にある、というマインドセットで臨まないことには、組織における心理的安全性はまず作り出せない、ということを認識することが、最初のステップとして非常に重要です。

上司はどんなにいい人でもストレッサー

組織において心理的安全性を作り出す責任は100%経営陣、上層部の上司たちの責任である、ということを認識した上で、上司と呼ばれる立場にいる人たちに知っておいていただきたいことはもう一つあります。

それは、どんなに頑張って良好な関係を築いたとしても部下にとって上司はストレスの素であるということです。

上司が同じ部屋にいると、部下のストレスホルモン(コルチゾール)の分泌量が増えるということは研究でも明らかになっています。たとえどんなに仲の良い上司でも、人間的に尊敬できて大好きな上司でも、です。

ですから、部下にとっては自分はいるだけで心理的安全性を下げる要因であるということを上司は理解しておく必要があります。

言い方を変えると、上司と部下という関係があるだけで、もうすでにその組織の心理的安全性はマイナスだということ。そこから心理的安全性を作るということはゼロからのスタートではなく、マイナスからのスタートなのです。

ですから、いわゆる上位レイヤーにいる上司たちは、ちょっとやそっといい雰囲気を作ったくらいでは心理的安全性は生みせないということを心しておかねばなりません。

では、そんなマイナススタートのところから、心理的安全性を構築していくために、上司と呼ばれる人たちは、どんなことを心がければいいのでしょうか。

動作学では、以下の3つの項目が重要だと考えます。

1)部下が話しかけやすいような雰囲気を常に醸し出す

2)部下に対して自分が目指す姿を共有する

3)自分は完璧ではないという謙虚な姿勢を忘れない

それぞれ具体的にどういうことか、各論は次回、解説したいと思います。