ジェンガ欲

お盆休み最終日、何故かジェンガを買った。
スーパーの買い物中、陳列を誤って崩した彼女を見て、急に遊びたくなってしまったのだ。
(うわ〜、ジェンガやりて〜)
善は急げ、その思いが湧き出たと同時に、オレは買い物カゴを彼女に渡した。
「ジェンガ買ってくるから、残りの買い物よろしく」
彼女も意味が分からなかっただろう。
オレだって、ノリだけで動いているから意味なんざ分かっちゃいないのだ。
ただ、そのスーパーにジェンガは置いていない。
なので、オレはダッシュで近所の雑貨屋へとジェンガを買いに向かった。
到着し、棚をチェックすると、残り一個。
お盆の暇つぶし目当てなのか、皆んな割と買うのね。
値段も見ず、レジを通してみると価格は三千円。
思っていたより、高めの値段設定なのね。
購入を済ませたオレは、改めてスーパーへと戻り、彼女と合流した。
突拍子も無い発案から、本当にジェンガを携えている姿を見て、多少ヒく彼女。
だろうね。
でもいいんだ、やりたかったから。
帰宅後、箱を開け、早速積み上げてみた。
木製ブロックの色味や匂いも相俟って、何だかキャンプファイヤーみたいだ。
そして、ジェンガ処女の彼女とジェンガセカンド童貞のオレでゲームを開始する。
久しぶりにやると、奥が深くて結構楽しい。
どうせやるならと、公式ルールにしっかり則ったことも興に一役買っただろう。
シンプルなクセに、丁度良い塩梅の縛りが堪らない。
ちなみに調べてみた所、ジェンガのブロックは、一本ずつ数ミリ程、厚さが違うらしい。
へー。
だから軽いブロックと重いブロックであるんだ。
開発者やるな〜。
そこから、彼女としばらく遊び続けて、お盆休み最終日は締め括られた。
その途端、ふと襲って来る虚無感。
長期休暇の最終日、予定がジェンガだけで埋まって果たして本当に正解だったのだろうか。
何となく、積んで詰んだ気がしたのだった。

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