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使いたい言葉

 定期的に使いたい言葉が出て来る。最近は「ケレン味がある」を使いたくて堪らない。かっこいい。「奇を衒った」とか「奇抜な」と言う意味の言葉である。が、いまいちどのタイミングで使うか分からない。どちらかと言えば、日常会話よりも批評的な文章を書く時に使う言葉だろう。ケレン味、いいよね。「甘味」とか「塩味」みたいだ。ポイフルは、おそらく「ケレン味」だと思う。

 先々月ぐらいまでは、よく「老婆心」と言う言葉を使っていた。とりわけ使いたい言葉だったわけでもない。しかし、一度使ったらクセになってしまった。老婆心中毒者、いやな漢字の並びだ。「老婆心」と言う言葉はめちゃくちゃ便利で、お節介な自分の性格に合っていた。嫁や後輩にアドバイスする時、なんでも「老婆心ながら」「老婆心ながら」と予防線のように付け加えた。言われた側は、めちゃくちゃうざかっただろう。世が世なら、オレは今ごろ姥捨山だ。

 似たような話で、前に勤めていた会社の社長は、「ドメスティック」と言う言葉を頻繁に使っていた。横文字やビジネス用語に取り憑かれた人は本当に多い。ただ、その時は聞き流していたけれど、あれはおそらく「ドラスティック」と言いたかったんじゃないだろうか。「ドメスティック」では「家庭的」だ。悲惨な震災の状況に対して、「非常にドメスティックな変化が起きた」と言っていた。イクメンかよ。

 使いたい言葉は難しい。使い慣れていないと、それが如実に伝わる。そう言えば、さらば青春の光で「インスパイア」を使いたがるネタがあった。あれの「最近覚えたん?」と言う切り返しは、超秀逸だと思う。加えて、「ケレン味」や「老婆心」がそれに該当するわけではないが、そう思われていた可能性やそう思われる可能性は否めない。オレが逆の立場だったら、浅はかなヤツだなと鼻で笑ってしまう。道聴塗説しないよう気を付けたい。もちろん、「道聴塗説」は最近覚えたばかりだ。

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