映画、Dr.コトー診療所の感想(1回目)

※初日に映画を見てきた感想です。
パンフレットもまだ何も読んでません。
ただただまっさらな自分の感想を残しておきたかったので、他の人の感想すら見てません。
何を言ってもネタバレになりそうなので、ここから先は映画を見た人だけ読んでくださいね。
(1回見ただけの記憶だよりなので台詞の細かい部分は間違ってるかもしれません。ニュアンスで見てください)

◇コトー先生の信念

私はこの映画で初めてコトー先生を恐ろしいと思いました。
ドラマでいつか和田さんが「あの人はまるで何かに取り憑かれたみたいに(人を救っている)」って言葉を言ってたと思うんだけど、その一端を見た気がします。
自分がどうなろうとも、人を救う。
そのことだけを考えて自分の体を動かす。
狂気にも似た「救ける」という思い。
倒れ伏しても立ち上がって、みどりさんの手術をしたとき、ああ、コトー先生はどこまでいっても医者なんだ、と感じました。
手術中、「みどりさんの命……」と先生が呟くシーンがあります。
あれが凄く見ていてつらくて……でも、たとえ自分の体がボロボロで倒れてしまいそうになっても、ああして目の前で消えかけている命を必死に見つめて、救おうと懸命にもがくことがコトー先生の生き方だし信念だから、あの場面にコトー先生の全てが込められているような気がしました。

◇諦めないこと

「医者じゃなかったから救けられなかったと思うのなら、君は医者にならなくて良かった」
コトー先生が剛洋くんに伝えた言葉は誰よりも厳しいものでした。
でもあの言葉の真意は、"たとえ医者じゃなくても人を救うことはできる"というもの。
だって、剛洋くんはこれまでもコトー先生を救けたことがあったから。
そしてコトー先生自身も、色んな人に救けられてここまでやってこれたから。
だから医者であるハント先生が諦めてしまった心臓マッサージを、医者ではない剛洋くんが諦めずに続けて奇跡を起こしたとき、コトー先生の言葉の意味がわかったんじゃないかな。
コトー先生が無言で剛洋くんの肩を叩いたのは、きっと剛洋くんが自分の力で人を救けた事実を心に留めておいてほしいと思ったから。
「そういうことなんだよ」ってコトー先生の手に込められた言葉を剛洋くんは感じていたんじゃないかな。
最後に剛洋くんがもう一度医者を目指してくれて良かった。
大事なことに気づけた剛洋くんは、きっとこの先、真っ直ぐに進んでいくんじゃないかな。

そんな剛洋くんの父親である原さん。
冒頭の大怪我に驚きましたが、コトー先生がかけた「諦めないでくださいね」という言葉を原さんはちゃんと受け止めて、コトー先生に返してくれました。
「俺は諦めねぇぞ!」原さんが病室では言えなかった返事を倒れてしまったコトー先生に叫び、呼応するように体を起こすコトー先生。
先生の体を思うとつらい場面だったけれど、諦めない患者さんを前にコトー先生は寝てられない人だから……。ましてやそれが原さんならなおさら。
うまく言えないけど原さんとコトー先生の関係って不思議で、心のどっかで互いを支えにしながら生きてるような2人だと思うから、原さんの言葉に力をもらって立ち上がるコトー先生に胸がいっぱいになりました。
諦めなかったコトー先生と、諦めなかった原さんと剛洋くんがいたから、あの場面は切り抜けられたんだと思います。

◇ハント先生

異分子である彼は、ドラマの中でかつて咲さんが言ってた言葉を大勢の人に投げかけていました。
「たまたま五島先生みたいな人がいたから​───」
それは間違いじゃない。どう考えても正論。
医者が自己犠牲を繰り返して、みんながコトー先生に寄りかかってしまったから、先生が疲れてしまった。
そうなんだろうな……と思う。
僻地医療の現実。離島の医師の現状。
異分子で、なんとなく傍観者であろうとしたハント先生は巻き込まれながら自分の主張の正しさを理解しつつ、それでも諦めない人が起こした奇跡を前に、最後は頭を下げていました。
そして彼が出した答えは、当事者になること。
「2ヶ月の腰掛け」と言っていたけれど、最後にあの場面にいるってことは、あの島でコトー先生を支える医師の一人になろうっていう決意があったんだと思う。
自分が並べ立てた正論で諦めをつけるんじゃなく、島の現実をなんとかして変えるためには傍観者ではなく当事者として関わっていく、そんな決断をしたハント先生は立派な医師になるだろうなと思います。

◇星野家

コトー先生の新たな家族として描かれた星野さん、昌代さん、彩佳さん。
卵焼きに喜んでるコトー先生は無邪気で可愛かったし、子供の名前をいくつも考えてなんとか自分の名前を入れようとする星野さんも愛おしかった。
餃子を一緒に作ったり、髪を染めてもらったりする星野さんと昌代さん、本当に素敵な夫婦。
昌代さんは手術の間も祈るように卵焼きを作っていました。
きっと、3人が元気に帰ってきて「美味しい」って言ってくれるのを信じて。
自分のことを顧みずに、統廃合のこととか島での対処療法のこととかを考えてるのを見て、3人はきっと心底怖かったと思う。
どこまでも医師としてのこの島に尽くそうとしているコトー先生のことが。
家族として大事だから、コトー先生にも自分を大事にしてほしかったんだよね。
「この島で生きていきたい」
ドラマでは色んな患者さんがこの言葉を口にしていた。
内さんやゆかりさん、あきおじ……その言葉の意味をこんなかたちでコトー先生が本当に理解することになるのは悲しいけれど、あれは五島健助としての心の叫びだったと思う。
抱きしめる彩佳さんの手、優しかったなあ。

◇人を救って人に救われて、ずっと、ここで生きてきた。
そして、ここに生きている。

「僕はこんなかたちで見送りたくない!」
自分もボロボロのいつ倒れてもおかしくないような状態で、それでも心臓マッサージを続けるコトー先生の言葉。
少し驚いた言葉でもありました。
コトー先生にとって、本当に島のみんなが家族なんだって。
だってこれは医者の言葉じゃなくて、家族の言葉に聞こえたから。
ここまで1日ずつかけがえのない時間を過ごして、大切に関係を築いてきた相手じゃないとこの言葉は出ない。
かつて鳴海先生に「医者は患者と家族になれない。なってはいけない」と言われたコトー先生。
それでも、この島で医師として島民のみんなを診て、時には家族を失うような痛みを感じながら、でも同じように島のみんなに癒されて生きてきた。
コトー先生は医者として一番辛い道をこれからも歩み続けていくけれど、同時にそれができることは幸せでもあるのかもしれない。

うまくまとまらないけど、とりあえずここまで。

※2回目、行ってきました!
↓こちらの感想もぜひどうぞ。


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