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[SDGs×絵本]に思う #1

SDGsとは何か?について述べることが、今回の主旨ではありません。ググれば、今や多くの文献や資料が見つかるでしょう。私は、その道の専門家ではないので、あくまで一人の絵本好きとして、SDGsがなぜ気になるのか?どうしたいと思っているのか?について記したいと思います。

(1)SDGsで、一番惹かれたこと

私が、SDGsという言葉を始めて聞いたのは、2,3年前のことだと思いますが、そのとき最も興味を持ったのは、17のテーマのどれかではなく、「ひとりも取り残さない」というSDGsの前提となるフィロソフィーでした。

教育活動には、10年以上関わってきて、インクルーシブや多様性という考え方には、共感していたので、「ひとりも取り残さない」(leave no one behind)という基本の考え方を知ったとき、数値目標の達成という外形的な評価・判断以上に、質そのものの追求というか、在り方そのものを問うという姿勢があると強く感じました。それが、SDGsというものに惹かれた一番の理由だと思います。

(2)絵本は多様性の存在そのもの

数年前のことですが、私が絵本の可能性を感じたエピソードを紹介します。

絵本の活動を始めるとだんだんその数が増えたので、整理しなければと思っていました。意を決してやりはじめたのですが、どうやっても、うまくいかないのです。本棚に並べるとしても、単行本ならある程度大きさもそろっていますし、難なく並べることができると思います。しかし、絵本は判型もバラバラで、タテに長いのもあれば、ヨコに長いのもあります。結局、どう並べてもまとまり感がなく、もはやあきらめムードで、床にそれらの絵本を並べて見たのです。

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すると不思議なことに、一見バラバラに見える絵本たちが、まるでパズルのようにきれいに並んだのです。その時、思いました。絵本は一冊一冊、形が違ってバラバラに見えるけれど、全体ではひとつにまとまっている。これって人といっしょで、絵本たちは、人類の理想の形を体現して、示してくれているのではないか?そんな風に思ったのです。(えほん未来ラボHPより)

(3)[SDGs×絵本]を掲げる

上記のような体験を経ながら、絵本の持つ多様性や奥深さをいろんな場面で感じるようになった私が、えみラボ(えほん未来ラボ)を立ち上げるに当たって、取り上げるテーマを考えたとき、[SDGs×絵本]という発想が、すぐに浮かびました。

今だから書きますが、SDGsという「流行りに乗る」という気持ちは、間違いなくありました。SDGsを掲げれば注目される可能性が高まるという考えです。一方、それは「質を問う」という自分のこだわりとは、逆行しているという認識もありました。

しかし、手放そうとは思いませんでした。手放すには、あまりに魅力的で、かつ根源的な何かを内包している、それがSDGsに思えたからです。「SDGsウォッシュ」(※注)に陥らず、絵本とSDGsの関係性を提示できるかをチャレンジしてみたいという思いが強くなりました。

SDGsウォッシュ(SDGsウォッシング)とは、国連が定める17の持続可能な開発目標(SDGs)に取り組んでいるように見えて、実態が伴っていないビジネスのことを揶揄する言葉。実際はそうでないにも関わらず、広告などで環境に良いように思いこませる「グリーンウォッシュ」が元になっている。(WEBマガジン IDEAS FOR GOOD より引用)

(4)[SDGs×絵本] さてどこから取り組むか

[SDGs×絵本]と掲げてみて、最初に浮かんだ切り口は、17のテーマごとに絵本を選書してみるというものでした。これは、わかりやすい切り口ではありましたが、同時に《A=A》 みたいに物事を一面的にとらえて終わるという弊害を生むもことあると感じました。つまり、SDGsの課題を単純化しすぎてしまったり、絵本の奥深さを感じることなく表層的に消費してしまうことへの懸念がありました。

そこで、最初にやりたいと思ったのは、選書ではなく、昔話を活用したワークショップでした。これは信頼する経営コンサルタントの友人とブレストする中で発案したものなのですが、「ももたろう」のような昔ばなし絵本をよみきかせして、その物語から、SDGsのテーマを拾い出してみるというような内容です。

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例えば、「おじいさんは山にしばかりに、おばあさんは川にせんたくに行きました」のくだりには「⑤ジェンダーの平等」 への問いが生まれるかもしれません。あるいは、きびだんごと引き換えに、サルやキジやイヌたちを家来にするというシーンは「⑧働きがいと経済成長」、鬼を征伐に行くシーンには「⑯平和と公正」などが出てくるかもしれません。

物語(絵本)を楽しみながら、SDGsを多面的にとらえ、自分の日常に落とし込みながら、次のアクションまでを考えるようなワークショップができそうな気がしていました。

今年2~3月に予定していた、えみラボ(えほん未来ラボ)のキックオフイベントでは、実際にワークショップを開催する案も出ていたのですが、新型コロナ(COVID-19)の影響でついには、お披露目できないまま、お蔵入りしてしまいました。

残念ではありましたが、結局、えみラボ(えほん未来ラボ)としては、テーマごとに選書するという切り口で、まずは発信しようというアクションに切り替えました。しかし、テーマで選書するということへの懸念が解消されたわけではないので、手探りの状況は変わりませんでした。

次回は、実際にどのように絵本の選書を行ったか?選書してみて、どうだったかなどについて、記してみたいと思います。

                         (文:ドンハマ★)

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