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八月の眼球。

なんや今日、目ェぱきぱきするなって思っていたら、眼球が転げ落ちてしまった。でもそこに痛みはなかったし、視界にも変化がなかったから、それが現実事ではないことは分かった。夢なのかせん妄なのか、何なのかは定かでなかったけれど、害のない妄想の類いだろう。でもその割に、眼球の描写はよくできたスケッチみたいに精緻で、重さもぬめぬめとした感触も、とても現実感を帯びていた。なんや変な気分やな。俺は気分が悪くなって目をぱちくりさせたけど、それは奇妙なくらいいつも通りの瞬きだった。

ぱちくりをしばらく続けていると、眼球が蠢きだした。脚がはえ、手がはえた。瞳孔が口になって、俺の掌に向かって唸っている。なんやそういうことかいな。

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