閏人。
「まるで、閏みたいな関係だね」
「うるう?」
聞き返して、すぐに後悔をする。私は関係のどこを形容しているのかを尋ねたかったのに、これでは閏そのものを知らなかったみたいだ。私は彼にまた見下げられる。
「閏っていうのはね、」
知っている。
「暦の歪みを調整する為の時間なんだ」
説明を改めて聞くことで、私は彼が何を言おうとしているのかが分かった。理解しているふりをするのは、私の悪い癖だ。この癖まで見抜いて、彼は私を見下げているのかもしれない。
「暦を正しく積み重ねていかないと、後々大きなずれに繋がる。8月にかまくらで餅を焼いたり、サンタクロースが熱中症で倒れるかとに繋がるかもしれない」
「そんなに、大切なんだ」
「うん……つまりね、頻度とかそういうのって、すごく些細な問題だと思うんだ。僕は何より、君と過ごす時間を大切にしているんだよ」
閏人は魅力的だから厄介だ。その〝たまに〟が、平時の人生を掻き乱すことは分かりきっていても。
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