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ネコノテ。

猫の手も借りたかったから、思い切って借りてみることにした。

「力を貸してくれませんか」

猫は立ち止まってすらくれなかった。でも、事態は喫緊を要するから、へこたれている暇はない。営業時代からこういうのは慣れっこだし、何しろ猫の手も借りたい状況なのだ。

「すみにゃせん、ちきゃらをかしてくれにゃせんか」

猫は立ち止まり、怪訝そうに僕を見つめた後、またどこかへ行ってしまった。しかし、大きな前進だ。しどろもどろな猫語を混ぜてみたら、立ち止まってくれた。これ以上ない前進だ。

「にゃゃおぉぉぉん」

猫は飛び上がると、途端に駆け出した。これ以上ない反応!ここで退いてはいけない!!僕は四足歩行でにゃんこをおいきゃけちゃ……にゃん?


「……バケモノッ!」

食いちぎられた猫の手を咥えたバケモノを見て、私は護衛銃を向けた。

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