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碑文(XXXX年出土)。

ほとんどの人生は1ページにも満たずに要約できる。産まれ、生きて、死ぬ。平穏な数年間に都合良くトラブルが起こって、それを解決したりしなかったりする。誰かに影響を強く受けたり、誰かを無意識に傷つけたりする。沢山の人から敬われるだけの資産を築いても、その相当額はアルコリズムに従った決定で刹那になかったことになる。だからよく生きようとすることも、悪く生きようとすることも、徒労な思索に過ぎない。不死にはなれないし、なって得られるものなんて何もない。じゃあ、あるがままに……というのにも、大変な技術がいる思考体系だ。この難しさが、人間に与えられた原罪と言えるのかも知れない。かつて蹴落とした生殖細胞達が、その難しさを型取り、復讐を試みているのかも知れない。


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