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新幹線。

新幹線は孤独の速度で走る。線路が軋む音だけが響き、乗客の多くは眠っている。起きている人も、車窓を駆け抜ける風景に何かを仮託している。新幹線にはそういう役割がある。認知能力の辺境で、孤独を身に染ます役割を担っている。

「再会を望まない人は、存在しないんじゃないかな」

数ヶ月ぶりでも半年ぶりでも閏年ぶりでも、僕は君と再会することを願っている。あるいは確信している。必ず再び会えることを。運命は手繰り寄せられる。自分がどのように振る舞うか、という問題に過ぎないんだから。 

「もしかしたら、最後なのかもしれないね」 

新幹線がどれだけ速度を上げても空は飛べないし、光を追い越すことなんてできない。でも僕は新幹線に乗り込んで、君を希うことができる。心を置き去りにしても、風で首が吹き飛んでも、僕はどこまでも繋がる線路の先に君がいることを信じている。



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