燃える。

深く吸いすぎた煙草に、脊椎は指令をだした。雪に落ちた煙草の、何かの叫びに似た火柱に消える音が鼓膜を揺らす。それくらい静かな夜だった。風は音を立てずに雪の肌を撫で、枯れ木は果敢なる沈黙を貫き通す。僕の吐く息は雪を溶かすには心許ないけれど、一片の結晶を殺すには十分なほど熱い。熱い。指の中腹がそう訴える。熱い。僕はそう呟いてみる。熱い。熱い。雪は僕の背よりも高く、地球を深く抱きしめるように振り積もっていた。

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熱い。全身を炎に包まれるイメージ。皮脂がつんとした煙を立たせ、毛が散り散りに朽ちる。熱い。