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パスタが有り余る。

毎日、500gのパスタを茹でている。たっぷりのお湯を十分に沸騰させて、塩をひとつまみ。ミックスペッパーを儀礼的に削り落として、円錐を象るようにパスタを投入する。時間は計らない。僕はパスタと会話をする。パスタ1本1本の要望を聞いてはいられないから、無作為な10本のパスタの意見を参考にする。聖徳太子みたいに全員の意見が聞ければどんなに良いかとは思うけど、例え聖徳太子であっても約1000本のパスタの意見全てを聞くことはできないだろうから、裁判員制度的な抽出が妥協点だ。

頃合を見て、茹で上がったパスタをボウルに移す。僕は意見を聞いた10本をはじめに咀嚼する。10本を一緒くたに、反芻をする牛みたいにじりじりと咀嚼する。それを喜ぶパスタもいれば、発狂をして抵抗するパスタもいる。一様な反応は1つとしてないから、僕は毎日パスタを茹でている。

昼と夜はそれぞれ有合いのソースを絡めて食べるけれど、僕は少食だから毎日150gくらいは余ってしまう。生ゴミに混ぜるのは忍びないので、僕はジップロックに閉じて冷凍をする。すぐに冷凍庫はいっぱいになってしまったが、毎日茹でるもんだから減ることがない。だから、我が家には独立した冷凍庫が5つある。だから我が家は、ちょっとしたインスタレーションみたいな部屋だ。

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