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焼き肉。

焼き肉を食べるといつも、あぁ自分もこんな風に死ねたらいいなと思う。自分の生きた肉体を余すこと無く、黒ずんだ内臓まで丁寧に下処理を施され、大皿に載せられる。頬張られてしまった方が自然の摂理に叶っているように思うし、あの無機質な箱に収められて焼き付くされてしまうより(地獄の業火にしか見えないあの炎が昔から嫌いだった)、焼き目が付くくらいの温度が丁度いいのではなかろうか。僕は網目を塞ぐ焦げに、いつも羨望の眼差しを向けていた。

僕は時々真剣に、それを行動に移したくなる。だから、網をオマージュしたマットレスを作った。その上に肉体を載せると、幾分かその欲求が満たされる。もしこの部屋で火事が起きたら、僕は真っ先にこのマットレスの上に寝っ転がる。僕はそういう生き方がしたい。

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