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逃運。
性格のいい悪魔は、彼女の願いを渋々受け入れた。
「本当に、知りたいんだね?」
性格のいい悪魔は長い人差し指をぴんと立てて、彼女に警告をした。彼女はとても草臥れた様子で、薄幸に頷いた。
「運命の人がこの先にいることが分からないと、もう生きる気力が沸かないの……」
性格のいい悪魔は彼女の承諾を確認すると、長い指を互い違いに絡ませあって、祝詞を唱え始めた。悪魔がアクセスできるのは、その対象に運命の人は何人いるのか(どれだけ神様が錯乱していても、1人以上は必ず存在する)、そしてその運命の人とすでに出会っているかという現状までだ。
「……!」
性格のいい悪魔は溜息を何とか飲み込んだ。
「ねえ、この先にいるんでしょう?」
性格のいい悪魔は、嘘をついた。
「うん、たった一人の運命の人が、君の存在を待ってるいるよ」
彼女の全身を貫いていた緊張感は弛緩して、笑みがこぼれた。たった一人の運命の人が、クラブの喧噪で掻き消されていたことは露も知らないで。性格のいい悪魔は、彼女のことを愛していた。
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