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Urban Circulation.

朝陽はすっかり昇り、都市の排泄物のような生活をも照らし出している。

「朝ですね」

彼女は休職をしていて、僕は休学をしていた。先人達の飽くなき闘争の果て、僕達は福祉的な休暇を退廃的に摩耗している。幽霊がうっかり僕達を見初めてしまったら、きっと呪われるだろう。僕達は呪いを理由に、閑暇を延長するだけなのかもしれないけれど。

「朝だね」

射し込む陽光と目が合うとクラクラする。そのまま眠りにつける時もある。そうでない時もある。2パターンしかない。物事は簡単に2分できる。好き、嫌い。良い、悪くはない。バター、バターらしくはある。

「眠いですか?」

「ぜんぜん」

「眠くなったら、教えて下さい」

「うん」

空虚な心象の形容詞としてドーナッツを採用するならば、僕達の今は大量に使用されている砂糖だ。コーティングに含まれたチョコレートだ。古くなったら取り替えられるサラダ油だ。でも、それの何が悪いんだろう?

「それの何が悪いんだろう?」

彼女は僕に一瞥もくれないけれど、僕の方へ寄りかかる。排泄がなければ、都市の機能も損なわれる。僕達は知らず知らずのうちに組成され、どうしようもなく影響し合っている。


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