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ガチパラっ! (7)

「清常さん ” キ・ヨ・ツ・ネ ” ですよね」

「そうです!なにかあるんですか?」

「いえね、お世継ぎというじゃないですか。世を継ぐ。継ぐとはつまり継ぎ足す」

「はい…あっ…」

「気がつかれましたか?
“世(よ)”を足したら、キヨツネになるのだとしたら、“ヨ”を抜いたら…」

「キツネ!!!」

「そう、ここ ” 伏見稲荷神社 ” の神様ということになります」

昔は、天皇ともなれば時の頂点であり、絶対権力者

皇太子、世継ぎともなれば、常に命だけでなく、様々な計略や危険に晒され

それを護る一族や担当が「清常(キヨツネ)」と呼ばれていた

キツネ、つまりはお稲荷様の化身で「常に清く」という思いも込められていたとかいないとか

「へぇ、てことはアナは、妖怪かもしれないってわけだ」

アナの顔が一瞬だが、ハッと固まったように見えたのが気になったが、宮司の話に関心しただけだろう、と、このときは受け流した…

ーーー

スマホは「神社」だ!

なんのことやねん?
そういうアプリ?

まぁ、少し聞いてやってくださいよ

昔も昔、千年ほど前の神社は、さながらショッピングセンターだったという

神社の周りには露店や商店が建ち並び、食べ物や薬が売られ、何かしら祭りや催しものが行われ、日々、活気があった

東京の浅草寺のお膝元の浅草や、八坂神社を根元とする京都の祇園などを思い浮かべてもらったらいいだろう

小さな神社は、言うなればコンビニエンスストア…「コンビニ」

現在でも、稲荷神社が全国約 32000 軒
双璧を成す、八幡神社が 44000 軒もあるという

全国一位のセブンイレブンの店舗数が、全国でだいたい 20000 軒

二位のローソンが約 15000 軒だから、それよりも圧倒的に多い

その元となる神社チェーン、稲荷も八幡も、同じ人物が創設したとされている

その人物とは、秦河勝

秦氏と呼ばれ、聖徳太子の時代に活躍し、本人は秦の始皇帝の生まれ変わりだと言い張り

当時の天皇もそれを認め、重用された

全国に拡がるコンビニチェーン…もとい神社チェーンのオーナーにして、エンターテイメントプロデューサーでもあった

いまとなっては間延びした、唄なの?なんなの?

などと思ってしまうかもしれない「能(のう)」

伝統芸能、それこそ「芸能」という言葉の語源でもある「能」をつくったのも、この秦河勝だとされている

いまでも、雅楽など、天皇家に纏わる芸能の末裔たちは、この秦河勝の子孫だということがブランドになっていて

能の宗家である「金春流(こんぱるりゅう)」の家元は、81世、つまりは81代目の秦河勝

ルパンが3世だから、その歴史の違いは歴然

血筋は、のちに世阿弥という天才芸能プロデューサーを生み出し、観世流(かんぜりゅう)という新たな流派として分かれ、いまではそちらの方が有名

能は一番弟子にだけ、秘密の教えを伝授する「一子相伝」で、その秘伝の書が流派ごとにあり

それが明治時代に外部に流出してしまい「風姿花伝」という書物として、いまでは電子書籍としても読むことができる

700年以上が過ぎた いまでも、芸事だけでなく、あらゆる分野の参考になる脳科学や心理学のテクニックが満載

というだけでも驚きなのに、KindleUnlimitedで無料で読めるというから、さらに驚きだ

能に関しても、別にわざわざ間延びした独特の発声方法がやりたいのではない

まだスピーカーやアンプのない時代に、広い神社の境内の端から端まで声を響かせるために生み出されたテクニックだった

何を言っているのか、セリフまでハッキリとわかるように

ただの境内ではない
能を楽しみしてきた満員の聴衆のガヤガヤとした喧騒の中でも、遠くまでハッキリと聴こえるようにだ

能は、まさに芸能、いまでいう映画でありドラマであり、コントであり、時事ネタを扱うニュースでもあったから、皆、楽しみにしていた

いまでいう「メディア」
神社は、劇場であり、テレビだった…いまだと「スマホ」!

秦氏はメディア、つまりは「情報」を握っていた
当然「情報操作」による「大衆心理操作」もできたってことになる

村を出ると「キツネに憑かれる」という、ほら噺…もとい ホラーストーリーで、みんなを怖がらせて 移動を制限した

定住させることで「税」を取り立てやすくしたという

「村にいれば、キツネに憑かれない」

「お稲荷様が護ってくれているからね」

「あの稲荷神社より先には行ってはいけないよ」

境という境に、稲荷神社がつくられた

境は「堺」であり「界」

少年ジャンプのマンガでよく見かける「結界」という言葉もここから生まれ…

ーーー

神社…ではなくスマホがブルブルと…基本的に電話は嫌いなのだが、この人からの連絡だけは、仕方がない

「って、なんで京都におんねん?」

「怨念がおんねん…ってことで、お祓いを…なんちゃって」

「・・・」

「こないだの銀座の鮨屋でさ…」

はたして、こないだの鮨屋でのことが、この巨乳で童顔の人妻への釈明になるのか定かではない…

(8)に続く☟

11月23日、今日は「牡蠣の日」
読むだけで世界一うまい牡蠣が?!☟


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