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弱ってる人に(相対的に)高いエネルギー値でぶつかってどうする

この感覚を分かってくれる人がどれくらいいるか分かりませんが、弱っている人と接するときのエネルギーの高低の話を書きたいと思います。


ドラマを見ていて感じた違和感

このトピックで書こうと思ったきっかけは、ドラマ『転職の魔王様』でした。

転職エージェントとして働く主人公とそこに訪れる転職希望者とのやり取りを通して人と仕事と人生を描くドラマで、何年も「どう働くか」で苦しんでいる私からすると非常に共感できる内容ばかりでした。20代〜30代の会社員には少なからず刺さる回があるんじゃないかなと思います。おすすめです。
成田凌のツン感、小芝風花の唯一無二のクシャ笑顔、あとおいでやす小田のうっとおしいキャラもわりと良いアクセントになってました。

ただその中で、1つだけ強い違和感を覚えたシーン(回)がありました。小学校教員を辞め10年間引きこもっていた男性が再起する、第9話です。
男性の恋人(婚約者?)だった転職エージェント社長の洋子は、何度拒否されても訪問を繰り返して励まし働き口を紹介し続けます。そして過去の出来事を紐解いたりすったもんだあった末に、最終的に男性は働き始めることになります。
私には(世間的に言われるような)引きこもりの経験はなく専門知識があるわけでもありませんが、『これは違う(非現実的な演出だ)』と直感的に思ってしまいました。

それは、洋子があまりにも高すぎるエネルギー値のまま、彼に接していたからです。
いきなり訪ねて行って「少しずつでもいいから働いてみようよ」なんて言ったところで、それに耳を傾けられる状況ではないのは明白だったにも関わらず。


‘ふつう’ の人も相対的にはエネルギーが高い

「引きこもり」という表現が適切なのか、あるいはオンラインや他の場所に拠り所があるのかもしれない、など色々と思うところはありますが、少なくとも物理的な人との接触を明白かつかたくなに避けている場合、その人の心は弱っている・エネルギーが著しく低下しているという傾向は言えると思います。
で、そういうときって、エネルギー値が(相対的に)高い人と接触するのははっきり言って無理なんですね。対面するとか会話するとかそういう直接的な接触でなくても、例えば同じ空間にいることすらも無理なことが多いと思います。

なんというか、はつらつとしていたり生きる力にみなぎっている人って、何もしなくてもそのエネルギーが体中から発されています。
表情や行動、姿勢、身なり、空気感、、あらゆるものからエネルギーが感じられて、弱っている人からすると受け止めきれません。近くにいること自体が無理なんです。耐えられなくてしんどすぎて、拒絶するしかできないんです。

そしてこれは、陽キャとかめちゃくちゃハイスペックとかいつも明るいと言われるような人だけではなくて、いわゆる普通の会社員や疲弊しながらも一応働き続けられているような人たちもすべて当てはまります。
弱りきってしんどくてたまらない・どうしていいか分からない状態の著しく低いエネルギー値の人間からすると、一般的な人の営みを曲がりなりにもこなせているというだけですでにエネルギー値が高いんです、圧倒的に。
(マイナスの位置から見るとゼロ地点もプラスに見えるという意味)

だから、「いや私は全然特徴のない ‘ふつう’ の人間だから」と、そのままの状態でむやみに接触しようとするのは危ないです。
相手のエネルギー値が著しく低下している可能性があることを頭に入れて接しないと、近寄ってこられた側はあっという間に『火傷』してしまいますから。


精神科医 藤野さんのVoicy配信が素晴らしい

さてここで、このエネルギー値のギャップ感覚を経験的に理解されているのだろうなとよく分かる例があります。
精神科医 藤野さんのVoicy(音声配信サービス)配信です。通常放送であればアプリなし・登録なしでブラウザからすぐに聴けるので、どの放送回でも構いません、ぜひ聴いてみてほしいです。

一言で言うと、藤野さんの喋り方には圧倒的に「覇気がない」です…笑 ふにゃふにゃしています。あまりにも弱々しすぎて時々笑ってしまうことすらあるくらいですが、これが良いんです。
とにかく出だしから終わりまで一貫して低いエネルギー値の喋り方をしている。これは心のエネルギー値が低めの人が聴くことを想定してのことだろうと、私は勝手に想像しています。

Voicyは素晴らしいサービスだし、パーソナリティーも魅力的な人たちが多いです。ということは、相対的にエネルギー値が高い人が多いです。
このエネルギーって声を通しても伝わるんですよね。声色、話すペース、話の組み立て方など、人は声を通して様々な情報を受け取ります。
だから、エネルギー値の高い人の配信を聴くときは、聴く側にもやはり高いエネルギー値が求められる傾向にあります。自分がしんどいときにエネルギーに満ち溢れた人の配信を聴くのはつらすぎて無理なんですよね。

そういう点で、藤野さんの声や話し方は全体的にエネルギー値が低いし、聴くのがしんどくならない短さだし、「ではでは、ゆるい1日を。」の締め方も良いです。



こんな風に、人間のエネルギー値のギャップというのは実はとても大事だったりするのですが、自分自身がメンタル低下で苦しんだ経験がない人だとたぶんこの景色は見えにくいんじゃないかな〜と思ったりします。
苦労したことのない人などこの世にはいないとは思いますが、やっぱり経験を通じて気づいている人とそうでない人はいます。
あっ!て思ったら、周りの人にぜひ話してみてほしいですね。


'23/12/02 最終更新

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