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2023五島トライアスロンレポートその⑦【ラン編】

T2

五島のT2は、アイアンマンよろしくボランティアのバイクキャッチャーが受け取ってくれる。だがここでバイクのガーミンをちゃんと操作しておかないとデータが宙ぶらりんになるので、降車してすぐマウントからガーミンを外し、走りながらストップ・保存の一連の操作をやっておく。

そしてランバッグを受け取るのだが、ここでのボランティアの高校生の皆さんの働きにはいつも感動する。手前から番号を確認して大声で伝達する。それをバッグエリアの担当者にさらに伝え、瞬時にバッグを探し出して完璧なタイミングで渡してくれる。

しかしバイク終了までトイレを我慢していたのでここでトイレに行っときたい。前回、それを優先したところ「あれ?バッグ掘り出したのに、来ないな、、、間違いだったのかな」という状態になったらしく、トイレから出て来てしばらくランバッグが行方不明になるという小事件があった。

トイレ

それを思い出し、まずは迅速に出て来たランバッグを受け取ってからトイレへ。しかしこれが7時間分だからなかなか止まらない(歳のせいもある・・・)。まぁここで10秒20秒慌てたところでどうにもならん。そして着替えテントへ駆け込む。

メットを仕舞う、ランキャップかぶる、ゼッケン前に回す、ポーチつける、BCAA飲んでソックス・シューズ履き替える、ボトルポーチは・・・この天候なら要らん!!・・・とやってたらもう山Mさんが来た!うーむあの後の距離で数分差がついたかどうかだな、、、これはランの序盤でたちまち抜かれそうだ。

ちょうどその時、アナウンスが「ゼッケン○○○、岩T選手です!」とコール。てっきり後からバイクゴールしたのかと思ったが、実はランゲートを通過したタイミングだったようだ。

トランジション完了!走るぞ!腕のガーミンのラップ押してスタート(実際のランスタートは道路に出てゲートを潜るところだったので、ちょっと押すのが早すぎた)。いよいよ最終にして最も過酷なランパートだ。

ランスタート

今回はバイクパートが短かったとはいえ、やはりこれまでブリックランを散々練習してきたかいがあって、走り出すこと自体は全く辛くなかった。5分台前半で余裕。なんならもっと加速してもいいけど、どうせ後で潰れるのは見えてるから無理しない、無理しない。

しかし、また再びこのランコースを走れることが嬉しくて仕方がなかった。街を抜ける辺りまでは思わず笑みがこぼれた。やった、ついに戻って来たぞ。

しかし、笑っていられるのもそこまでだった。橋を越えてジワリ上り、直線をへて集落の方へ右折するころにはいつもの「キツい、、、キツい、、、」という感覚が蘇ってくる。前半のこの程度のアップダウンでもやはり地味に効くようだ。

ここを右折して集落の方へ

この辺で先行していた岩Tさんを抜いた(実はウェアを把握してなかったので、抜いて声をかけてもらうまでわからなかった・・・)。グータッチして励まし合う。程なくして後ろから山Mさんがすごいスピードで追いついて来てあっという間に先行。「マイペース、マイペース」と言ってるが、そのマイペースがキロ5ぐらいで、全然ついていけない。やはり役者が違いすぎる。

神社前を右折

神社前を右折すると、しばらくして一つ目の峠。ここは手前側はいいが向こう側の下り(つまり復路の上り)がキツい。上りは歩幅を狭めてピッチで上り、下りはストライド広げてガシガシ降りるようにして、この頃までは前の方にまだ山Mさんが見えていた。

そこを過ぎて4キロ前後のエイドで左折。エイドごとにしっかり水やコーラをもらい、かけ水を頭にかぶる。そんなに暑いわけじゃないが、しっかり冷却しないとキツくてとてもやってられない。

4キロ付近のエイドを復路側から。向こうから来て右へ行く

ここからしばらく平坦な道を刻んでいく。民家は無いので住民の方の応援は少ないが、ここでパンダ5人組が現れた!スピーカーで何か歌謡曲掛けて盛大に踊りまくっている。応援することを心から楽しんでくれている様子で、見ていて嬉しくなってしまった。それにしても元気だなぁ(走ってる方から言うのもなんだが)。

アップダウン

このあたりから、なかなかに厳しいアップダウンがいくつか責めてくる。サラ脚ならどうにかなるだろうが、この疲れたバイク脚ではどうにもならなかった。たちまちペースは6分超え。いや、焦るな焦るな、まだ後半の復活もありうる。上りで踏みすぎるとあとで潰れる・・・

もうしばらく行って7キロ過ぎ。もうRuiさんが折り返して来た!速い!ハイ5で元気をもらう。「もうダメです、二周目で待ってますよ」などと三味線を引いてる。JETTerだなぁ。いくらなんでも6キロ近く差が付いてるんだから待ってるも何も無いッショ!笑

No.2

まだこの時点では、下りで再度加速してペースを戻すことができていた。しかし「ソレ」は急にやってきた。「ゴロゴロゴロ・・・」天からではなく、腹からだった。ウッ・・・これは・・・無理なやつや・・・まずい、まずい・・・

天の配剤か、しばらく我慢してたら8キロ付近のエイド手前に公衆トイレの案内が!助かった・・・!!というのも、ウェアがワンピースタイプだからBigなやつの場合は上から全部脱がないといけなく、そういうややこしい作法をあの仮設トイレの中でやるのは嫌だなぁと思っていたのだった。

「フー・・・助かった・・・」しかしこれで確実にタイムロス。またもロングのランでサブ4の夢がグラリと傾く。いや、もうあれこれ考えるのはよそう。この後に最善を尽くすだけ。

当たり前だが、数分間座っていた分、脚が回復してコース復帰後はやたら元気だった。シーポの田中社長にも威勢よく挨拶。もうあちこちの会場でお馴染みなのでそろそろ顔を覚えていただいてる感じがしてきた。

ここを右前方に入れば10キロ地点、折り返しはもうすぐ

折り返し

しかし、これまた当たり前ながらそんなカラ元気もあっという間に売り切れ。一周目折り返しに近づく頃にはまた「地獄の道行き」感が強まってくる。ここで山Mさんとスライド。速いな・・・折り返し地点は、いつもものすごく遠く感じていたのだが、今回はわりとあっさり近づいた気がした。

以前、ランが自身で最も強かった頃は少なくとも一周目終わりまでは力強く走れていたが、今回は一周目の復路から既に「もうダメ」感が押し寄せて来た。特にアップダウンへの対応力の弱さが際立っていた。考えてみれば当たり前である。年間のラン練のほとんどをトレミで(傾斜つけてたとは言え)やっていたのだから・・・

復路では、また再び岩Tさんを抜く。「あれ?後にいたんですか?」「そうなんですトイレで数分ロスしました」まだこの頃はそれなりに走れていた。その後、M上さん、既に二周目に向かうRuiさん、G田さん、KS石さん、Y山さんの順で会った。M上さんは元気そうだったが、後の3人はちょっと苦しそうだったので心配だ。

二周目

ゴール地点に向かい、折り返し方向へ右折。チクショー、絶対もう一度戻ってくるぞ。周回チェックの蛍光ストラップをパチーンとつけてもらう。ヨシ!これを見せびらかしながら走るのだ。と気合を入れたのは良いが、もう脚がついてこなかった。一周目にくらべペースはガタ落ち。

そうしてるうちに岩Tさんが追いついて来た!「ウワーやられた!もうダメです、ゴールで会いましょう」「いや、がんばりましょう!」ジリジリと離されていく・・・悔しいけどもう脚に力が入らない。みるみるうちに見えなくなってしまった。

エイドごとに水を被りまくり、コーラを飲み、梅干しやオレンジを貪り食ってなんとかまた走り出す。苦しい・・・キツい・・・歯を食いしばって進むしかない。でも、やはりパンダ5人組のところでは思わず笑ってしまった。本当にありがたい。

Last Hope

また、ランでダメだったなぁ・・・アップダウンで鍛え直さないとなぁ・・・と思いながらもジリジリと30キロ付近までやってきた。あと折り返したら帰るだけだ!と、ここで腹のポーチにカフェイン入りのマグオンとカフェイン錠を入れていたことを思い出した。そうだ、最後の頼みの綱があった。これを投入!!効くかどうか知らんけど!

最後の折り返し、ボランティアさんたちにお礼を行って踵を返す。あとは帰るだけ、帰るだけ・・・と、、、ゼッケン番号が近い数人に次々に追い越された。アッこれは、、、抜かれたらアカンやつや!・・・しかし脚が出ない。ここで無理したら潰れる。落ち着け、落ち着け・・・

エイジ争い

彼らとは、エイドで距離が詰まったり、時折抜いたりしつつもまた先行を許し、数百メートル離される、、、という展開が続いた。ちくしょう、少なくとも3人分、エイジの順位が落ちてしまう・・・もう表彰台などあり得ない雰囲気だからどうでもいいかもしれないが・・・

そうこうしながら残り5キロくらいになった頃だったか、次第にまた脚に力が戻って来た気がした。気のせいか?いや、気のせいじゃない!ストライドも再び伸びて、ペースが戻って来ている!サブ4はもうダメだが、最善を尽くそう!

奇跡の回復

それまで6分半前後に落ち込んでいたペースが、再び5分半前後に回復している。先行を許していた同エイジと思われる数人をすこしずつパスしていく。最後の一人も、残り3キロあたりでついに追いつき、集落を出るあたりで先行した。よし、ここで彼の心をヘシ折るために下りで加速だ!(嫌らしいな〜)

一気に4分半ペースまで上げて、そのままの勢いで後の上りをこなせば、あとはゴールまでは下り〜平坦しかない!持ってくれ!俺の脚!!祈りながら走り続けた。

この橋を渡って左折すればあと1キロ

最後のエイドは当然スルーした。脚は信じられないほど動き、ロングのランの最後とは思えないようなすごいペース(キロ5)で走れていた。当然、ヘロヘロになったBタイプを含む周りの選手たちを次々にブチ抜きながら。こんな走りができるんなら、もう少し早くスイッチ入ってくれよな・・・でもこれが自分の実力なんだろうな・・・

ゴール

うま亭の前、ターミナル前を左折すればゴールエリアへ!

しかし、この最後の1キロはとても長かった・・・やった、ついにやった、帰って来た!嬉しさがこみあげてきた。サングラスを上げてレッドカーペットに飛び込む。いつものアナウンサーが名前をコールしてくれている。そして両側の観客とハイタッチ・・・これだ!これがトライアスロンのゴールだ!

「バーラモーンキーング!」

ランパート:4時間15分20秒(95位)
総合:10時間44分35秒(95位/M55エイジ7位)

これまで何度も走ったけど、再開の喜びもあってか、今回が一番嬉しかったように思う。本当に厳しかったけど、最後出し切ることができた。ああ・・・長かった、、、長い一日がおわ

ってない。ゴール後、総括編につづく(まだ、続くんかーい)

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