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連載小説「転生ビジネス・カオスマップ」第七部 第31話 アンドロイド・ワールド

 高速巡洋艦が四次元空間からワープアウト。
 アンドロイド・ワールドに突入した。

 満天の星々が煌めく宇宙空間。
 煌めく……きらめく……ん!?

「いや、これ、星の煌めきじゃないよね?」

 どの光もパッと明るく輝いたかと思うと静かに消える。
 よく目を凝らすと、小さな光の矢が無数に飛び交っている。

「気をつけろ。もう、ここは戦闘区域だ」
「ええー!?」

 どうやら、光の矢は重力子魚雷やレーザー砲が飛来する光。
 瞬く大きな光は戦艦が被弾した時の閃光らしい。

「もう、宇宙戦争の真っただ中に飛び込んだってこと?」
「仕方がない。この異世界は非戦闘区域の方がむしろ少ないくらいだ」

 もう、勘弁してよね。

「艦長。戦闘に巻き込まれないように、戦艦密度が低い宙域にルートを」
『アイアイサー』

 それでも、光の矢は四方八方に飛び回っている。
 AIは小刻みに巡洋艦の軌道を調整し、それらの光に当たらないように、そして戦艦たちに囲まれないように、慎重に戦場を駆け抜けていった。

 幸い、大した火力を持たない巡洋艦だ。
 執拗に追い回してくるような戦艦はいないようだ。
 なんとか、過密な戦場を潜り抜ける。

「やっと、戦場を抜けたか?」

 目の前には大きな黒い領域が広がる。
 そこには、戦艦が被弾する閃光も魚雷の光もない。
 
 ……あれ?それにしても、暗すぎない?

 すると、AIが答えた。

『はい。アンドロメダ・ワールドの中心部に近づいてます』
「中心部は戦闘はないのか?」
『はい。目の前は世界最大級のブラックホールです。
 これ以上近づくと飲み込まれます。
 通常はこの付近では戦闘は行われません』

 ……ちょっと待ってよ?

「ぶ、ぶ、ブラックホール?」

 私はユナと目を見合わせる。

「ちょっと。じゃあ、私たちも早く反転しないと……」
『安心してください。
 まだこの距離であれば吸い込まれずにブラックホールを周回する低軌道に乗ることができます。
 そして、その軌道上に設置されたコロニーが目的地。
 アンドロメダAGの本社になります』

 ……もう、あきれるしかない。

 ブラックホールの低周回軌道に本社を立てるなんて、どんな変人かしら?

#異世界転生
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