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第20話 女心

 おれたちは、四次元リムジンに乗り込んだ。

「ユナ、スリーサイズ教えてくれ……」

 ぼこっ!

「スリーサイズなんて教えられるわけないじゃないですか!特にバストサイズなんて、絶対にお教えできません」
「そ、そんなこと言ったって、データがないと運転できないんだぞ、このリムジン」
「だからってスリーサイズは絶対に教えられません。体重なら構いませんけど」
「……え?だって女性ってスリーサイズは良くても体重はダメなんじゃ……え?」

 どうなっているんだか。
 まったく、女心、わからん……

 かくして、ユナの体重を入力してリムジンを起動、手動運転で無事にセクスタンス・ワールドに向けて四次元空間へワープし始めた。

「ユナ、運転を交代できるか?」
「もちろんです。私は国家1級資格を持つメイドですので、一通りのことは何でも嗜んでおります」
「本当にメイドって何でもできるんだな。ありがたい、ちょっと頼む」

 こうして、ユナに運転を任せ、おれはリビングでメイと向き合った。
 
 色々あったけど、メイはこれからセクスタンスに行き、ヴァーゴCFOとしてセクスタンス買収の最終ビッド大会でプレゼン(演説)することになる。
 視聴者はセクスタンス社の社長を含む取締役たちだ。

「プレゼンの準備はできているのか?」
「……それが、この騒動で、なかなかまとまらなくて」
「おれでよければ、アドバイスをしようか?」
「本当ですか?助かります」

 メイは嬉しそうに、プレゼン内容を説明した。

 対抗となるのはヘラクレスカンパニー、業界No1のシェアと金の力で幅広い異世界転生ビジネスを展開している。
 一方、ヴァーゴはハイエンド層に特化している。
 全方位戦略のヘラクレスに対し、ヴァーゴと組めばお互いの領域が、セクスタンスはミドル層、ヴァーゴはハイエンド層をそれぞれ補完しあうができる。

「……どうですか?」
「……うん、言っていることは正しい。でも意外性と面白みに欠けるかな」
「そうですよね。私、どうしても頭が固くて、常識的な発想しか浮かんでこないんです」

 ……そうか?いつも、結構、非常識……もとい、破天荒なこと言ってる気がするけど……まあ、それはおいといて。

「まず、金額ではなくて事業メリットに焦点を当てるのは正解だと思う。今回で引退する社長だけじゃなく、今後も経営に残る取締役たちがいるからね」
「やっぱりそうですよね」
「うん。でも、事業メリット、いわゆるシナジーにはもっと具体的な広がりがほしいね」
「広がりですか……どんな内容が良いのでしょう?」
「両社で取り組むM&A戦略なんかいいんじゃないか?」

 こうしておれたちは、セクスタンスに着くまでの時間を、メイのプレゼン内容検討に費やした。

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