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連載小説「転生ビジネス・カオスマップ」第七部 第24話 お買い物

「とにかく無事でよかった」

 私もハルトも、ようやく落ち着いて胸をなでおろした。

「おれも警戒していたのに、拉致を許してしまうとは……すまない」
「いいえ、私も警戒していたのに……相手は相当の手練れだったわ。
 助けてくれてありがとう」

 私は、ハルトに、そしてユナにもお礼を伝えた。

「それにしても、誘拐の目的がわからないわ。
 金銭目当て?それとも、ヴァーゴCFOと知って狙った犯行?」

 これは最大の問題だ。
 いくらなんでも、今回の出張はトラブルが多すぎる。
 単なる偶然の金銭目当てではないかもしれない。

「これだけいろいろ続くと、一連性を懸念する気持ちはわかる」

 ハルトは顎に手を当てて眉間にしわを寄せる。

「でも、アルゴ・ワールドに来ることは取締役会でも銀行でも、誰にも言っていないからなぁ……」
「たしかに……」
「とにかく、今は考えていても仕方がない。
 この町のマフィアに狙われた危険な状態ということだけは確かだ。
 全員一緒に、リムジンで移動してさっさと用事を済ましちゃおう」

 こうして、私たちは光学迷彩を施したリムジンに乗ると、軍艦をリースしてくれる会社に向かった。

 その間、リムジンで予備服に着替えると、運転をするユナが涙声で謝ってくれた。

「すみません、私が買い物をしていたから……」
「いいのよ。ユナの隠し武器にはいつも助けられているんだから。
 で、今回は何を買ったの?」

 ユナはもじもじ照れながら答えた。

「はい。
 ひとつは、先ほど使った重力子銃です。
 それともう一つ。隕石で作られた日本刀。ずっとほしかったんです。
 それと……九尾鞭も……」

 ……ユナって、武器オタクだったのね。
 ん?九尾鞭って、武器なんだっけ? 

 私はどうしても気になったので質問してみた。

「その鞭は、ユナが使うの?使われるの?」

 ユナは顔を真っ赤にして操縦桿を握りしめる。
 質問には答えてくれなかった。

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